CDを超える高解像度「ハイレゾ音源」って一体なに?

GIZMODO9月18日(水)21時0分
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9月初旬、ソニーが「ハイレゾ」対応の高級オーディオ製品群を発表しました。ハイレゾ音源は動画業界でいうところのスーパーハイビジョン(8K Ultra HD)みたいなもので、随分派手なイメージがあります。でも、そもそもハイレゾ音源って何なんでしょうか? また、ハイレゾだと音楽は本当に今よりも綺麗に聴こえるんでしょうか? この記事では、さまざまな角度から「ハイレゾ音源」について紐解いていきます。


新産業のマーケティング・ワード「ハイレゾ音源」


ソニー・エレクトロニクスやワーナー・ミュージックグループともパートナー関係にある全米家電協会(CEA)とソニー・ミュージックは今月、ハイレゾ音源を幅広く推進していくと発表しました。CESにむけた今後の数ヶ月間、みなさんもハイレゾ対応機器の利点についてたくさん耳にするでしょうし、この高級オーディオ機器のためにハイレゾの音楽ファイルを今から大量に集めておく必要性も出てくるでしょう。

これが流行ればみんなハッピー?:機器メーカーは新しい専用機器が売れるし、音楽レーベルは過去の商品カタログをすべてハイレゾ化して再び売ることができます。そしてその結果、もし音楽が今まで以上に綺麗に聴こえるなら、それを買う消費者にとっても嬉しい出来事かもしれません。

さて、「ハイレゾ」と書くと動画の1920×1080ディスプレイ解像度を想起させるので、ちょっと誤解を招くかもしれませんね。音楽の解像度は、サンプリングレート(1秒間にどんな間隔でデータを読み込むか?という時間軸の細かさ)と、ビット深度(読み込んだ各サンプルデータの精細さ)によって表されています。

たとえば写真を使ってパラパラ漫画を作るとき、1秒間あたり5コマでしかも低画質の写真データを使うよりも、24コマで高画質の写真データを使ったほうが当然きれいな情景が再現できますよね。それと同じような感じだと思っていただけると分かりやすいかと思います。

だから、データを圧縮した品質の音楽ファイルだってハイレゾ音源と同じサンプリングレートということもありえるわけで、そのあたりは騙されないように注意が必要ですよ。


低品質MP3とイヤホン文化への反動として登場


ハイレゾ音源の推進において、この高音質ファイルをMP3と同じくらい入手しやすくし、かつ一般的にサポートされる状態にするには10年以上かかりました。EarPodsで音楽を聴きながら道ゆく人々は、思う存分音楽を楽しんでいるかもしれません。でもそれは、この数世代の中で最低に近い音質の音楽を聴いているのです。

MP3もEarPodsも便利で持ち運びに優れていますが、音質がないがしろにされています。MP3はファイルサイズが小さく、EarPodsは安い。だから私たちはそれらの欠点に目をつぶっているだけなんです。ほとんどの人が(あなたでも)、もっと良い機材や音源ファイルを使えば音質が著しく改善されることに気づくことができるでしょう。そしてこれまた重要なポイントとして、「より良い機材」は「より良いファイル」がないと無意味になります。だからハイレゾ音源の時代がやってきたわけです。


意味はざっくり「CDより解像度が高い音」


iPod世代の音楽問題は、単純にファイル形式やひとつの機材で解決できるわけではありません。明確な画像解像度を定義しているUltraHDとは違い、オーディオマニアが実際に採用する音楽フォーマットや解像度はたくさんあるので、ハイレゾ音源には文字としてのスペックや定義がないのです。私の質問に対してCEAがどのように語っているかを例に挙げてみましょう。

CEAは、ハイレゾ音源について明確な定義を持っているわけではありません。我々は、今後の数ヶ月にわたってメーカーやレコードレーベルが発表する関連事項によって、定義に対する感覚を向上できるかもしれません。

前途のメジャーレーベルとソニー・エレクトロニクスは、ハイレゾ音源が44.1kHz/16bitの2チャンネルPCM音源よりも優れた解像度を意味しているという点について合意しています。だからハイレゾ音源は、48kHz/16bitだったり192kHz/24bitだったりするかもしれません。ソニーの新しいハイレゾ対応機器は、たとえなんであれ、その全てをサポートすると約束しています。

データを間引いて圧縮するMP3のようなファイル形式は、この解像度パラメーターを直接的に反映するわけではありません。でも、それは高音質MP3(320kbps)とCD品質(1,411kbps)とのデータ転送量による違いについて考察する場合の話です。


CDより良く聴こえるという人もいますよね


CDの音質すら妥協の産物だと主張するオーディオマニア軍団がいます。こういうマニアの人たちは、CDから非圧縮やロスレスでリッピングするよりも、CD化される前の音源素材まで遡って、そこから可能な限り最大限のデータをリッピングしたがっています。

ニール・ヤングは、CD品質は十分でないと主張するアーティストの象徴的な存在としてこれまで戦ってきました。彼は高ビットレート・高サンプリングレートの音楽ファイルと専用の再生機器を販売する「Pono」と呼ばれるプロジェクトの立ち上げを行い、今月、Ponoは2014年の早い段階で開始されると発表しました。PonoのWebサイトでは、プロのハイレゾ論争についてとてもシンプルにまとめられています。

私たちが取り組んでいる革命について知れる素晴らしい機会だね。(Ponoは)みなさんが著しく改善された方法でお気に入りの音楽を聴いたり感じたりできるサービスだ。衝撃的だって言いたいかい? CDの発明者が宣伝していた「永久的なパーフェクト・サウンド」の約束は反故されるんじゃないかって? そして、iTunesの類やMP3クリエイターによって推進されてきた「CD品質」は、彼らが戦おうとしていたものと同じ欠陥フォーマットだという暗示なのではないかって?

真の信者は存在しています。ヴァイナル・レコードの音を懐かしむ人々と同様、ハイレゾ提案者は192kHz/24bitと44.1 kHz/16bitのデジタル音源の間には、認知できる違いがあると主張しています。彼らは、サウンドステージ、テクスチャ、情感などの形容詞を使ってその音響の差異を説明しています。それらは全体的に至極主観的ではありますが、44.1kHz/16bitには再現できない周波数帯やダイナミックで繊細な機微があると彼らは論じています。技術的にこれは正しく、それを聴いた多くの人も違いが聴き分けられるに違いありません、よね?


一方、同調できないという人たちもいます


客観的には、CDの品質は文句なしです。「ハイレゾ音源はCD品質よりも音質を向上できるものではありえない」と指摘する人々もいます。CD音質のサンプリングレート(44.1kHz)とビット深度(16bit)は、わざわざ私たちの耳を劣化させるためにフィリップ社が考案したでたらめな数字ではないというのです。

ここでは数字の根拠となるサンプリング理論には深く言及しませんが、人間の耳にとって44.1kHz/16bitのオーディオは数学的には完璧なサウンド再現の数値です。それを超える周波数とダイナミクスもあるかもしれませんが、私たちはそれを聞き取れないんですね。

オーディオ・コーデックの専門家モンティー・モンゴメリーは、192kHz/24-bitオーディオを推進するニール・ヤングの計画がニュースとなった昨年、この件についてくわしく解説。彼は、次のように結論づけています。

なぜ192kHz/24bitを突き返したいかって? それは、存在しない問題に対する解決策であり、確信犯的な無知と人々への詐欺行為にもとづくビジネスモデルだからだ。


普及の障壁もあるかもしれません


The Industryによると、ストレージ領域が低価格になり帯域幅も十分となった今、圧縮したファイル形式で妥協する必要がなくなりました。私たちはすでにハイレゾ音源に対応できる環境を手にしてます。でも、そんなに急速には普及しないかもしれません。ハイレゾ音源のファイルはサイズが巨大で扱いにくいですからね(ファイルサイズが手軽に分かる参照表はこちら)。分かりやすく比較すると、192kbpsのMP3ファイルが1分間あたりの音楽データが1.44MBまで抑えられるのに対して、96kHz/24bitの音楽データは34.56MBにまで膨れ上がります。そのためiTunes配下のライブラリサイズは今の24倍に増やさなくてはいけません。そのくらいハードドライブの領域が食われるのです。一方、CD品質のオーディオは1分間あたり10.84MBなので、高音質MP3の7.5倍程度となります。

もしソニーの500GBオーディオ再生機器に1,000ドル(約10万円)払うとしても、もしそれがあなたの全ファイルにとって十分な領域だとしても、その音楽を外に持ち出すのは簡単ではないでしょう。16GBのスマホを96kHzのハイレゾリューション・オーディオで満たすには7時間かかるからです。ストリーミング音楽に代表されるような、現代の利便性は忘れたほうがいいですね。


でも、少なくとも選択肢を与えてくれますよ


私たちは、ハイレゾ音源に対してモンゴメリーほど否定的ではありません。実際、ハイレゾの推進はみなさんの耳に良いものを届ける良い機会です。ハイレゾ音源は、たとえ本当に優れたものであってもなかなか手に入れられない非現実的かつ過剰な行為ですが、おそらくその存在は「手が届くオプション」を人々に気づかせてくれるでしょう。良い機器とポータビリティの両立を考えると、CD品質の音源素材は20年前と同じように抜きん出て入手しやすいということですね。


MARIO AGUILAR(Rumi 米版)
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