生き残るため。様々な植物が他植物から遺伝子情報を盗み、それを取り込むという戦略を利用していた(英研究)

2月22日(金)9時30分 カラパイア

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 また植物の新たなる一面が明らかとなった。科学者によると、野生の草は進化を迂回するために、近くにいる草から遺伝子を盗んでしまうのだそうだ。

 つまり、草は自然なやり方で、自らを遺伝子組み換えしてきたということだ。

・親子間以外の遺伝子の継承

 ダーウィンが進化論を唱えて以来、そのほとんどは、遺伝子が親から子へと受け継がれる中で生じる、同じ血族内での自然選択を対象に考察されてきた。

 しかしイングランド、シェフィールド大学の研究者は、様々な草がこの法則を破っていることに気が付いた。

 彼らは「遺伝子の水平伝播」という進化の抜け道を使い、直接は関係のない遠く離れた種から手に入れた遺伝子を利用してきたようなのだ。

 「草はまさに遺伝子を盗むことで、進化のショートカットを行なっているわけです」とルーク・ダニング(Luke Dunning)博士は話す。

 「スポンジのように、近くにいる生物から役に立つ遺伝情報を吸収しています。こうすることで、普通なら数百万年もかかる適応のための進化をすることなく、仲間との競争に勝ち、危険な生息環境で生き残ることができます。」

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pixabay

・様々な草が他の草の遺伝子を盗んでいる

 ダニング博士らは、アフリカ、アジア、オーストラリアに自生するアロテロプシス・セミアラタ(Alloteropsis semialata)という草のゲノムを、ほかの150種の草(米、トウモロコシ、キビ、オオムギ、タケ等)と比較してDNA配列に類似点がないか調べることで、水平伝播で獲得された遺伝子を特定した。

 さらにアジア、アフリカ、オーストラリアの熱帯・亜熱帯地域に生えているアロテロプシス・セミアラタを調べ、こうした水平伝播がいつ、どこで起きたのかも調査した。

 「遺伝子の偽造は、周辺環境に適応し、生き残る手助けとなる大きなアドバンテージを草に与えます。そして、今回の調査では、こうしたことがアロテロプシス・セミアラタだけではなく、ほかのいろいろな草からも検出されました。」


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他植物の遺伝子を盗み出し組み込むアロテロプシス・セミアラタ
image credit:Flower of the grass species Alloteropsis semialata

・天然の遺伝子組み換え技術

 ダニング博士は、この発見が遺伝子組み換え技術について社会に再考を促すことになるかもしれないと話す。なにしろ、草は自然に同じようなプロセスを利用して、自らを遺伝子組み換えしていたのだ。

 また、こうした仕組みをきちんと理解することで、自然界に流出した遺伝子組み換え作物から遺伝子が水平伝播し、除草剤に耐性があり、繁殖力も強い、いわゆる「スーパーウィード」が出現することを防ぐヒントが得られるかもしれないという。

 今後のステップは、この現象の背後にある生物学的なメカニズムを解き明かすことだそうだ。

 この研究は『Proceedings of the National Academy of Sciences』に掲載された。
How our plants have turned into thieves to survive/ written by hiroching / edited by parumo

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