「そこは想像を絶する場所…」私が体験した悪質な繁殖所の実態

3月20日(月)20時20分 わんちゃんホンポ


繁殖所への往診で見た現実

柴犬の子犬2匹


私はこれまで8年間、動物看護士として動物病院に勤めてきました。
勤めて間もない頃に、ある繁殖所へ狂犬病予防注射の往診へ行く機会がありました。
往診へ行く際に、院長先生は新人の私に「これから行く所は想像を絶する場所だから覚悟して行った方がいいぞ」と言うのです。


その繁殖所へ行ってみると、建物が3つありました。


1つ目は、今回の目的である狂犬病予防注射を受けるシベリアンハスキーが数頭いました。そこは外からも見える普通の檻のような小屋で、特に変な所は見当たりませんでした。


繁殖所のオーナーは、他の建物も案内してくれて、私は院長先生と一緒についていきました。院長先生は、「問題はこの先にある残りの2つの建物だ…」と言いました。


その敷地の奥にある建物に問題の劣悪な環境が広がっていたのです。


引退繁殖犬の最後

金網からこっちを見ている柴犬


2つ目の建物は、まるで牛や馬を飼うような屋根と柱しかない建物に、たくさんの痩せ細った柴犬が放されていました。


「随分減ったな…」と院長先生は言いました。


そこに放されている柴犬達は子供を産めなくなった繁殖引退犬でした。


そこの繁殖所では、繁殖引退犬にはエサ代節約の為に、エサを与えず餓死させていたのです。その子達は、飢えに耐えられず、弱った者から順に共食いまでしているとのこと。私は震えが止まりませんでした。


生きることを諦めた動物達

地面に伏せをする顔アップのハスキー


3つ目は、二階建ての大きな建物でした。ドアを開けると、目を開けていられなくなる程のアンモニア臭と、呼吸が苦しくなるくらい強烈な糞や獣臭で充満していました。


あたり一面に、小さな金網で出来たケースにチワワやトイプードル、ミニチュアダックスフンド、スコティッシュフォールド、アメリカンショートヘアなど、ペットショップによくいる動物がたくさんいました。


そのケース大きさは、方向転換するのも難しいくらい小さなもので、足元は排泄物にまみれ、エサ入れにも排泄物が入り、水の食器には緑の苔が生えていました。足元は金網の為、犬や猫の足裏に食い込んでいて痛々しい様子でした。


瘦せ細り不衛生な環境にいるため全身皮膚病になり毛は抜け落ちていました。


道路に立ち尽くす痩せた犬


その他には、様々な病気になっても治療をしてもらえず、目の傷が長い間放置されていた為に失明している子や、精神的に限界がきた為に、狭い檻の中でずっと回り続け、ストレスのはけ口として自分の尾を噛み傷付けているものもいました。


そこの動物達の鳴き声は、普通の鳴き声ではなく、鳴いても声が出ていませんでした。近所迷惑になるからと、声帯を取られ、鳴くことすら出来ないようにされていました。


動物達は皆、生きることを諦めているようなどこか遠くを見ている表情をしています。誰かに愛されることもなく、名前を呼ばれることもなく、外の世界を知らず、一生を狭い檻の中で暮らし、そして歳をとり不要になれば食事すらもらえず、死を待つ生活なのです。


同じ動物なのに、家でペットとして飼われている子とこんなにも差があるのかと涙が出ました。


そこのオーナーは、動物を生き物としてみることはなく、商売の道具として扱っていました。


使えなくなったら捨てる、壊れたら捨てる、そのような感覚なのです。


ここの繁殖所だけが悪質な繁殖所というわけではありません。このような繁殖所は、全国各地にたくさんあります。


私が勤めていた頃、いろいろな繁殖所やペットショップを見てきましたが、どこも似たようなところが多く感じました。


自力で出産出来なければ死ぬしかない

母の乳を飲む子犬達


またとある繁殖所では、繁殖犬が発情期になると強制的に交配させます。


出産の際、陣痛がきても体格的に産めないこともあります。人間と同じで、陣痛が始まっても産めない場合は至急帝王切開をしなければ母子共に危険な状態になります。


その繁殖所では陣痛がきても産まれないと、一度動物病院に診察に来ることも稀にありましたが、いくら病院側が帝王切開を勧めても手術をしませんでした。


日を改めてその妊娠の動物の無事を確かめると、あれはダメだった、と母子共に亡くなったことを平気で話すのです。


強制的に妊娠させられた挙句、産みたくても体格的に出産出来ず苦しみ、帝王切開はお金がかかるからしない、と見捨てられたのです。


この2つの繁殖所の1つは、オーナーが経営困難で廃業になり、愛護団体が入りたくさんの動物が助かりました。


しかし、もう1つの繁殖所は今も経営しております。


最後に

首にリボンを付けどこかを見る柴犬


私は子供の頃から動物が好きで、ペットショップに行き、ショーケースの中にいる動物を眺めることがとても好きでした。


夢だった動物看護士になりましたが、華やかな表の世界の裏にある悲惨な現状を知りました。


ほとんどの方は、ペットショップや悪質な繁殖所の実態を知らない方が多いと思います。
日本では私達がペットショップからお金を出して動物を買う、売れるからと命でお金儲けをしようとし、無理な交配や悪質な繁殖所も増えているという現実があります。


海外ではペットショップがない国もあり、シェルターから動物を引き取るのをメインとしているところもあります。


命は物ではありません。


たくさんの方にこのような現実を知って頂き、不幸な動物達がいなくなることを願っています。



わんちゃんホンポ

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