見知らぬ犬の無償の愛が奇跡を生む。怪我を負い、川に流されそうになったハイカーを2度救ったアラスカン・ハスキー

6月29日(金)11時30分 カラパイア

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 6月中旬、アラスカ州アンカレジ郊外にあるイーグルリバー沿いのクロウパス・トレイルをハイキング中、1人の女性が滑落した。

 岩に衝突し、そのまま雪の上を滑り落ちた彼女はしばらくショック状態で動けなかったが、そこに突然1匹の白い犬が現れる。

 どこからともなく現れたその犬は、のちに7歳のアラスカン・ハスキーのナヌークであることが判明する。

 ナヌークは彼女を元のルートまで案内してくれただけでなく、彼女に寄り添い、次の日も行動を共にすることに。

 だがこの日、更なる悲劇が女性を襲う。足を滑らせ川に流されそうになるのだ。ナヌークは深く冷たいその川に我が身を投げうってこの女性をもう一度助けた。
 

・川のほとりでずぶ濡れになっていた女性と犬

 アラスカ州警察のエリック・オルセンによると、警察のヘリが始動したのは、イーグルリバー沿いのクロウパス・トレイル付近で救命無線機が作動した3月11日水曜の午後6時15分過ぎだ。

 オルセンとパイロットのタブ・バーネットが現場に到着すると、怪我を負ってずぶ濡れのアメリア・ミリング(21)が川のほとりにいた。そのそばには白い犬が寄り添っていたという。

 両者はヘリでアンカレッジに運ばれ、アメリアは打撲と傷の手当てを受けて解放された。


・岩に衝突し転倒。突如白い犬が現れる

 アメリアはテネシー州の大学生で、ニューヨークのロチェスター工科大学で視覚メディアの勉強をしている。3日間のハイキングの予定で月曜の午後に出発し、すべて順調だったが、トレイルに入ると、予想以上の量の雪に出くわしたという。

 「わたしは南部人なので、雪のことはあまり頭になかったの」アメリアは聴覚障害があるため、通訳を介して木曜にこう語った。

 月曜の夜はキャンプをして、火曜日の朝、イーグルリバーまで下ろうと出発した。だが、ストックをなくしてしまい、制御するものがないまま長い雪渓のスロープを滑り降りようとして岩に激突、宙に吹き飛ばされたという。

 なんとか着地したものの、そのままさらに60〜90メートル雪の上を滑り、負傷してショック状態になりしばらく横たわっていた。

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2018年6月、アメリア・ミリングは、クロウパス・トレイルをハイク中に雪渓を滑落した。
image credit: Amelia Milling

 そのとき、どこからともなく1匹の白い犬が現われたのだ。


・犬のナヌークは自発的にハイカーたちを守っている犬だった

 「最初に思ったのは、"飼い主はどこ?"だったわ。首輪を見ると、クロウパス・ガイドと書いてあって、この子がわたしを助けるために駆けつけてくれたのがわかったの」

 アメリアはナヌークの後について、なんとかトレイルに戻った。彼がちゃんとルートを見つけるのを手助けしてくれたのだ。

 火曜の夜は一緒にキャンプをして、ビーフジャーキーを分け合った。ナヌークはテントの外で眠り、朝になってもまだそこにいた。


・またしてもアクシデント!足を滑らせ川に転倒

 そして水曜の早朝、アメリアとナヌークは、イーグルリバーの浅瀬を進んで川を渡ろうとしたが、冷たく速い流れに足をとられ、渡りやすい場所を探すのに苦労した。

 だが、これは間違いだった。選んだ場所は水深がかなり深く、アメリアは転んで流され、バックルを外したザックにつかまって浮き代わりにした。

 この時期のイーグルリバーは、トレイルを歩くハイカーの腿から腰あたりまでの水嵩(みずかさ)がある。更に水はかなり冷たい。


・ナヌークが冷たい川に飛び込みアメリアを引き上げる

 アメリアが岸に戻ろうともがいていたその時、ナヌークは自ら水に飛び込み、彼女のザックをくわえて、冷たい水から引き上げてくれた。

 ずぶ濡れで凍えていたアメリアは寝袋に入ってなんとか体を温めようとした。数時間後、自分が今、とんでもない苦境に陥っていることを悟った。

 その間ずっとナヌークは慰めるようにアメリアを顔を舐めていたという。

 そしてアメリアは救命無線機を作動させることに成功。救助の到着を待った。

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ナヌークに助けられ、支えられたおかげで生き延びたアメリア
image credit:AMELIA MILLING

・無事救助。犬の正体は近くに住む飼い犬であることが判明

 救助隊は水曜日の午後7時前に、川のほとりにいるアメリアとナヌークを発見した。オルセン警官は、最初、飼い主とイヌだと思ったという。

 だが、イヌがつけていたタグを見ると、飼い主は、トレイル南端近く、ギルドウッドとイーグルリバー自然センターの間、38キロのところにある、クロウ・クリーク・ロードに住むスコット・スウィフトだとわかった。

 「搬送している途中で、ぼくたちはやっとこのイヌの飼い主はアメリアではないことに気づいたんだ」とオルセン警官

 ナヌークは、"クロウ・クリーク・ガイド犬"と記されたタグをつけていて、そこには飼い主のスウィフトの連絡先も書いてあった。

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アラスカンハスキーのナヌークは、冒険好きなイヌだ。クロウ・クリーク・ロードのはずれでスコット・スウィフトと一緒に住んでいる。
image credit:Scott Swift

・特別な訓練を受けていない。自分の意志でハイカーに寄り添う犬

 ナヌークはよくチュガッチまで自らトレッキングに乗り出すのだとスウィフトは話した。ここで、ナヌークはハイカーにつきそって自然センターまで行くという。

 「ナヌークはもう何年もこういうことをしてるよ」スウィフトは言う。

 スウィストによると、ナヌークは夏でも冬でもトレイルを歩きまわって、山の冒険を求めて荒野を行き交うハイカーたちと友だちになるのだという。

 数年間にも、ナヌークは川から若い女性を助けたことがあるらしい。

 「ナヌークが川から溺れそうになっている人を助けたのは、今回で2度目だよ」スウィフトは言う。

 「6年前にイーグルリバー付近で飼うことにしたナヌークは、捜索や救助の訓練はなにも受けていない。彼はこれを自分の意思でやっているんだ」


・この日は事故多発。ナヌークのおかげで助かった

 水曜の救助出動は、この2日間のうち3度目で、唯一のいい結果だったという。火曜の夜は、マタヌスカ川で溺れた母子の捜索、水曜には、行方不明のハイカーを探しにサウス・フォーク・イーグルリバー谷に向かったが、このハイカーはクマに襲われたらしく遺体で見つかった。

 「無事で元気な状態で救出できてよかった」オルセン警官は言う。

 木曜日、アメリアは休養をとって回復しつつあった。怪我はしたが、その他は大丈夫なので、トレイルに戻って、最後まで踏破したいと思っている。

 「たぶん、友だちと一緒にね。ナヌークにまた同行をお願いするかもしれない」


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アメリアと彼女を助けた7歳のアラスカン・ハスキー犬ナヌーク
image credit:AMELIA MILLING

・ナヌークの無償の愛が奇跡を生む

 アメリアは、アパラチア山脈トレイルを32キロ踏破するクロウパストレッキングのために準備はしてきたという。だが、アラスカでの数日のハイキングとはいえ、未開地の単独トレッキングはそれだけでもけっこうな挑戦だった。

 アメリアは、今回トレイルで無事に生きていられたのはナヌークのおかげだと心から感謝している。ナヌークは守護天使に違いないと。

 1度目の転落の後、そのまま彼女のそばを離れなかったナヌークは、なにか予感的なものを感じていたのかもしれない。それが的中し、川に流された彼女をもう一度助けることとなるのだ。

 ナヌークはこれからも常にナヌークとの特別な絆を感じるだろうと思っている。

References:cbsnews / adn/ written by konohazuku / edited by parumo

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