牛に海藻を食べてもらうことが地球温暖化抑制に高い効果を発揮するという研究結果(オーストラリア研究)

9月5日(木)9時30分 カラパイア

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Image by ArtTower from Pixabay

 今、オーストラリアの研究者は、赤紫色の海藻の養殖に熱い視線を注いでいる。とは言え、お味噌汁の具材として導入しようというのではない。ウシに食べさせるのだ。

 牛などの草食動物のゲップやフンには、地球温暖化の主な原因と言われている温室効果ガス「メタン」が含まれている。だが、牛の飼料に約2%の乾燥させた海藻を混ぜることで、メタンが完全に発生しなくなるというのだ。
・牛のゲップと温暖化の関係

 過去100年間で見てみると、大気中に含まれるメタンは、二酸化炭素の28倍という高い温室効果を発揮してきた。さらに20年という範囲ならば、100倍以上にものぼる。

 牛をはじめとする家畜に由来するメタンは、人為的な温室効果ガスの14.5%(牛はその内の65%)を占めているという現実がある。牛のげっぷは温暖化の大きな要因と考えられているのだ。

 そのため、畜産国の多くは、牛や羊のげっぷを抑制するという温暖化対策を進めようとしているのだ。

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Image by Dominik Schraudolf from Pixabay

・海藻を餌に混ぜることで、牛の胃の中のメタンを抑制

 サンシャイン・コースト大学の養殖学者ニック・ポール氏は、2014年に熱帯に生息する微細藻類20種を分析し、それらがメタン発生を抑える力を調べた。

 その中で特に効果的だったのが「カギケノリ(Asparagopsis taxiformis)」という赤紫色の海藻で、牛に食べさせてから72時間でメタン発生を98.9パーセントまで抑制することができたという。

 海藻に含まれる化学物質が、牛の胃の中に潜む細菌を減少させるために、メタンたっぷりのげっぷが出なくなるのだ。

 しかも牛の飼料に2パーセントほど乾燥させたものを混ぜれば良いという。

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Asparagopsis taxiformis Jean-Pascal Quod/wikimedia commons

・海藻を世界的に養殖する方法を模索

 難しいのは、カギケノリを大量に生産し、オーストラリア中の、最終的には世界中の牛たちに食べてもらう方法を確立することだ。

「世界中の関心を集めています。牛を健康で、肉や牛乳の品質を確保したい世界の畜産関係者のね」とポール氏は話す。

 だが、そのためには海藻を世界的な規模で、かつ持続可能なやり方で生産する方法をきちんと見つけ出さねばならない。

 これを実現するために、ポール氏らは、屋外に設置した水槽でカギケノリを育てながら、その最適な育成条件や、これに含まれる有効成分の濃度を最大化する方法を模索している。

 中でも難題なのは、海藻がたくさん生えているクイーンズランドの海岸以外の環境でもきちんと成長してくれるような品種を作ることだそうだ。

 困ったことに、この種はそれほどたくさん生えているわけではないという。だから、ただ海から採るだけではなく養殖していかなければならないそうだ。


Methane reducing seaweed

 ちなみにハワイでは、新鮮な魚介類にこの海藻を混ぜる「ポケ」という料理があるそうで、カギケノリは牛だけでなく人も食べることができるようだ。

 日本人は海藻を消化するための腸内細菌が存在しているようなので、食用としていけるのかも。



References:Burp-free cow feed drives seaweed science at USC | University of the Sunshine Coast/ written by hiroching / edited by parumo

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