高地で生きるため、オオカミの遺伝子を受け継いだ犬、チベタン・マスティフ(米研究)

9月12日(木)11時30分 カラパイア

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Image by Laures/iStock

 まるでライオンのような威風堂々とした姿で、「東方神犬」との異名を持つ超大型犬チベタン・マスティフは、普通の犬では生きられないような空気の薄い高地であっても生存することができる。

 この驚異的な低酸素耐性は、大昔に彼らがオオカミから遺伝子を譲り渡されたことで獲得したものだということが、新たなる研究で明らかとなった。
・オオカミから受け継いだ遺伝子

 『Molecular Biology and Evolultion』(7月30日付)に掲載された新しい研究によると、チベタン・マスティフは、過去のどこかの時点でチベットオオカミと交配し、2つのアミノ酸の情報を持つ突然変異遺伝子を受け継いだという。

 この結果として、彼らの体内に流れる血液の酸素吸収・放出能力がアップグレードされたのだ。

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Image by Laures/iStock

・低酸素でも生きていけるようヘモグロビンをアップグレード

 チベタン・マスティフが他の犬種にはないアミノ酸を作り出す遺伝子を持っていることは以前から知られていた。

 今回、新たに判明したのは、このアミノ酸によって、血液の中で酸素を運ぶ役割を担う「ヘモグロビン」が変化したことだ。

 研究では、チベタン・マスティフとチベットオオカミのヘモグロビンを他の犬種のそれと比較した。すると、前者は空気が薄い状況でも酸素の吸収・放出能力が高いことが明らかになった。

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チベットオオカミ Image by:Stanzinnamgail/wikimedia commons

 「高地では酸素が少ないために、その補給が問題になります」とアメリカ・ネブラスカ大学リンカーン校の生物学者トニー・シニョーレ氏は述べている。

 彼によれば、ヘモグロビンは酸素をくっつける磁石のようなもので、チベタン・マスティフのそれは単純に普通よりも強力な磁石であるのだそうだ。

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Image by ~User7565abab_575/iStock

・かつて、チベットオオカミに起きた突然変異

 遺伝学的な調査によれば、大昔、チベットオオカミの体内で、なんらのタンパク質情報もコードされていない不活発なDNAに突然変異が起きた。

 そしてどこかの時点で、これらの突然変異が活性遺伝子にコピーされ、これによってヘモグロビンが変化したと考えられるという。

 こうして低酸素状態に耐えられるようになったチベットオオカミの個体は、標高の高いところへと移動するうちに、やがて一族の中で主流を占めるようになった。

 そうしたオオカミの遺伝子が、今度はチベタン・マスティフに受け継がれ、同様に彼らの間で広まっていったのだそうだ。

References:Tibetan Mastiffs Bred with Mountain Wolves to Survive at Super-High Altitudes | Live Science/ written by hiroching / edited by parumo

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