警察官が見当たり捜査で注目する「顔のパーツ」年をとっても変わらないのは?
2025年1月1日(水)11時0分 ダイヤモンドオンライン
警察官が見当たり捜査で注目する「顔のパーツ」年をとっても変わらないのは?
写真はイメージです Photo:PIXTA
「生き方や感情は顔つきに現れる」という楠木新さん。著述家として多くの人を取材し、さまざまな「顔」に接してきた経験から、いつしか「顔の研究」がライフワークになったと言います。『豊かな人生を送る「いい顔」の作り方』第7回は、同一人を確認する“身分証明”としての「顔」の役割について考察します。
顔は“同一人”を証明する材料
気がつけば、顔認証技術はずいぶん身近なものになりました。
つい先日も、街角のインタビューで、おばあちゃんが「化粧を落としたら顔認証が効かなくなったの」と笑いながら話していました。シニア世代にも顔認証が浸透し始めています。
まもなくすれば、鉄道の改札口やコンビニのレジで、手ぶらで移動して買い物ができる時代がやって来るのでしょう。顔とはそれだけ“同一人”を証明する材料として高い精度を備えています。
同一人の確認という作業は、顔認証のほかにもIDカードやパスワードの入力、住所や生年月日、印鑑や手書きの署名などもあります。私は30年前に法人営業の仕事で外国の銀行を担当したときに、小切手の払い出しがサインで行われていたことに驚きました。マネができるのではないかと考えたのです。
これらは取引などによって事前に提出した資料との照合という面が強い。そういう特別な関係がない時には、やはり顔が同一人確認のポイントになるでしょう。
ミステリー作家である横溝正史の『悪魔の手毬唄』や『八つ墓村』(共に角川文庫)では、囲炉裏で顔に大やけどを負った人や顔マスクを被った人が、同一人かどうかがポイントになっています。解剖学者でもある養老孟司は、指紋の個人識別に気づく前には、頭の骨の形を計測して犯罪者の記録としていたと書いています。顔を含む頭部は変わらないからでしょう。
今回は、最近のマスコミ報道を中心に、同一人確認の際の顔の役割について検討します。