ゴーンもピコピコやってた? 外国人が増える留置場で「ポケトーク」が流行中

1月9日(木)6時0分 文春オンライン

「体調はいかがですか?」


「ヨクナイデス。ハヤクデタイデス」——。


 年末にレバノンへ逃亡した前日産会長のカルロス・ゴーン被告は、拘置所にいる時にこんなやり取りをしていたのだろうか?



©getty


ゴーン被告も使っていた?ポケトーク


 2020年1月8日の22時(日本時間)、 ゴーン被告はレバノンの首都ベイルートで行った会見で、日本の司法制度への不満を滔々と語った。


 被疑者が逮捕されると、警察署の留置場か拘置所に送られる。18年11月に逮捕されたゴーン被告は東京・小菅の東京拘置所に送られ、昨年3月に保釈、再逮捕されて4月に再び保釈されていた。拘置所にいる間、ゴーン被告は面会人とポケトークを利用してやり取りしていた話があるという。


 面会だけではなく、実は今、拘置所や留置場の一部でポケトークが利用されている。


 ポケトークは小型の携帯用翻訳機。翻訳の性能が格段に向上したポケトークの登場で、18年は“翻訳機元年”とも言われた。



 全国の警察署の留置場に留置される人数は、年間延べ312万人に上る。そのうち外国人は10%を超える延べ33万人に達している(「警察白書」平成30年版)。もちろん全国の留置場に一律10%の外国人がいるわけではなく、バラバラ。外国人が最も多い留置場の1つが、成田空港を管轄する成田国際空港警察署の留置場である。


 昨年、この留置場に入っていた40代後半の日本人男性が話す。


「千葉県内では大きな留置場だと聞きましたが、2人部屋を中心にして十数部屋しかなく、30人も入れば満杯でした。その半数以上は外国人だった印象です。欧米人が多く、アメリカ、ドイツ、フランス、スペイン、オランダ、それにリトアニア人もいました。メキシコ人も多かった。東南アジア人も多く、夜な夜な泣いているスリランカ人とか、母国から薬物を勝手に送り付けられて逮捕され、途方に暮れているラオス人とか。彼らの口から出る言葉が何語なのかさっぱり分かりませんでした」


 最も困っていたのが言葉だった。



「オスシヲタベタイデス」


「入ってきた時は通訳付きで身体検査をして留置場のルールを教わるのですが、興奮しているし、覚えられるものではありません。入った後に何かあれば看守(留置場では「担当官」)が逐一教えるのですが、言葉が通じないので大変そうでした。それに外国人は食べ物にせよ何にせよ、すぐに看守を呼ぶんです」(同)


 この男性が入っている時に、ポケトークが導入されたという。


 看守が最初に試したのはフランス人の高齢男性だった。ポケトークを操作して「何を食べたいですか?」と吹き込むとフランス語に変換された。1回目は通じなかったが、2回目に通じ、フランス人がフランス語を吹き込み、変換されて発せられた日本語は「オスシヲタベタイデス」だったという。


「看守は丁寧な人が多く、外国人の面倒もよく見ていて、通じたと分かった瞬間、周囲がドッと沸きました。私がいた時、ポケトークは1台だけだったようですが、その後は1日中、あちこちでピコピコやっていました」(同)


 男性はその後千葉刑務所内の拘置所へ移送された。



千葉刑務所内の拘置所にも導入


「そこにもポケトークがありました。しかし、留置場には看守が4人いて交代で留置人を見ていたのに対し、拘置所は看守の数が少ない。食事を出したり洗濯したりするのも、受刑者が拘置人の面倒を見るため、看守と拘置人の間に距離がありました。ポケトークはあまり利用されてなかったようです」


 ほとんど利用されていないようだとはいえ、千葉刑務所内の拘置所でもポケトークは導入されていた。千葉県で驚きの広がりを見せているポケトークだが、まだまだ局地的なトレンドだという。


「千葉県警は一部でポケトークを試験的に導入していますが、本格導入は未定のようです。警視庁を含めて他の県警で導入している話は聞きません」(社会部記者)


 日本社会の多様化が進む今、全国の留置場や拘置所でポケトークをピコピコする光景が当たり前になる日もそう遠くないのかもしれない。ゴーン被告が日本に戻る可能性は低いが、戻ればすぐに留置される。その時、ポケトークは導入されているのだろうか?



(清水 俊一)

文春オンライン

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