高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 米国とイランの一触即発 日本が取るべき方策は...

1月9日(木)17時0分 J-CASTニュース

トランプ米大統領(C)FAMOUS

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新年早々、3日(2020年1月)のイラン司令官殺害を契機として、米国とイランが一触即発の状況だ。国際情勢を見るとき、マスコミ情報に頼る時には細心の注意が必要だ。

左派系は殺害されたイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を英雄視している。右派系は同司令官をテロリスト扱いだ。これは、反米で結果としてイランを擁護する立場なのか、親米の立場で米の言い分を報じるかの差である。



トランプ大統領のレッドラインは「米国人の生死」



海外マスコミは左派系も右派系も両方あるので、それらを見比べればいいが、日本のマスコミは左派系が多く、それらは海外の左派系マスコミをソースとすることが多いので注意しなければいけない。今のところ、どちらかが真実に近いのかは検証できない。特に軍事に関わる話は、一次情報がかなり限定されるので、真偽を見極めるのは困難だ。過去の紛争においてもでっち上げはいくらでも枚挙できる。


もっとも、これまでの経緯から、トランプ大統領のレッドラインは米国人の生死であることがうっすらと浮かび上がってきた。トランプ大統領は、昨年6月にイランへの空爆を実行直前に中止した。その空爆では、米国側死者なしだがイラン側に150人の死者がでるとの報告を受けたからだ。その中止が結果として、昨年9月のイランによるサウジアラビア石油基地への攻撃につながったといわれているが、死者なしだったので報復はなかった。


ところが、昨年12月27日、イランが支援するとされる武装勢力の攻撃によって米民間人1人が死亡、米兵4人が負傷したことで、司令官殺害に至った。


イランは、報復すると宣言し、実際に1月8日、イラク国内の米軍基地を十数発の弾道ミサイルで攻撃した。はじめの一報では、米軍で20人の死者がでたと報じられ驚いたが、実際には米軍はミサイルの発射を探知し、兵士らを安全な場所に避難させたということで、死傷者はないらしい。



ホルムズ海峡は日本経済の生命線



米国もイランも長期的には戦争を望まない。ただし、短期的には偶発なものを含め紛争の可能性は低くない。


イランとしてソレイマニ司令官は国民的英雄なので、報復しないと国民向けに示しがつかない。しかも、イランは2月に議会選挙を控える。


米国トランプ大統領も自身の弾劾潰しとともにオバマ政権時代の中東政策を弱腰と非難し、米国経済が石油価格が上がってもダメージがない上に、今年11月の大統領選を有利に進めたいという思惑もあるだろう。


こうした中で、日本の立ち位置はかなり微妙だ。何しろ、ホルムズ海峡は日本経済の生命線でもある。石油備蓄は200日以上あるので当面の心配はないが、米国・イランの紛争が長引くと、日本経済にも影響がでてくるので要注意だ。


しかも、日本は米国の同盟国だがイランとも歴史的に友好関係だ。このため、米国とイランの真ん中の立ち位置を求められる。日本政府のコメントが遅いとかマスコミは喧しいが、拙速にして結果として真ん中の立ち位置を取れなかったら問題だ。後出しジャンケンでいい。米国とイランの両方にパイプのある日本の出番が来るまで、様子を見極め慎重対応しなければいけない。




++ 高橋洋一プロフィール

高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「韓国、ウソの代償」(扶桑社)、「外交戦」(あさ出版)など。



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