【軽井沢スキーバス事故】85項目の再発防止策に着手 国交省、指導機関設置も人員確保に課題 

1月14日(日)19時30分 産経新聞

 軽井沢スキーバス事故を受けて国土交通省がまとめた、全85項目の再発防止策も動き出している。悪質なバス事業者を早期発見するため、昨夏には民間機関による巡回指導制度も導入したが、指導員確保に苦慮する状況に。「全事業者に対する年1回の巡回」という計画の実現は、数年先になる見通しになっている。

 再発防止策の柱になっているのは平成28年12月に改正された道路運送法だ。無期限で有効だった貸し切りバスの事業許可を5年の更新制に改め、申請時に安全確保のための投資計画などの提出を義務付けた。違反への抑止力を高めるため、業者への罰金も「100万円以下」から100倍の「1億円以下」に引き上げ、違反に関与した経営者ら個人は「100万円以下の罰金」から「1年以下の懲役、150万円以下の罰金」とした。

 また、事故では、国交省の監査が悪質事業者の洗い出しにまで手が回っていなかった実態も浮き彫りになった。このため国交省は29年5、6月、全国10地域に「貸切バス適正化センター」といった名称の民間機関を指定。県バス協会などの業界団体が主体となって設置した各センターは監査の補完的役割を担い、バス事業者の法令遵守状況を確認、指導することで事業者側の自主的な改善を促す。

 一方で、国交省は監査対象を悪質事業者に重点化。センターは巡回で重大な法令違反を確認すれば国交省に速報し、国交省が即座に監査に入るシステムに改めた。

 センターは全国約4100事業者の約5700営業所を2人1組で巡回することで、「全営業所を年1回」訪問するのが目標だ。運営費用などはバス事業者が負担しており、一部のセンターは各県バス協会などに業務委託しながら、運行指示書の作成状況や乗務記録、運転手の過労の有無、車両の整備状況など45項目を確認する。

 全国のセンターにいる指導員は41人(29年末現在)で、多くは監査経験がある同省運輸局OBら。ただ、チェック項目が多岐にわたるため、現状では1日1カ所の巡回が限度で、巡回指導件数(同)は685営業所にとどまっている。国交省は計画通り年1回巡回するには90人程度の指導員が必要で、その実現は数年先になるとみている。

 人手不足の原因は、指導員に求められる専門性の高さだ。国交省の担当者は「巡回指導は安全の根幹に関わる部分なので、指導員の条件は当然、厳しくなる。新人を育成するのはしばらく先になるだろう」との見方を示した。(川畑仁志)

産経新聞

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