「空気を変える」賛否両論の小泉進次郎「育休宣言」 取得を決めた本当の理由は?

1月20日(月)6時0分 文春オンライン

 小泉進次郎の「育休」を新聞各紙はどう伝えたか。1月16日の紙面を見てみよう。


「小泉環境相が育休取得へ 『改革にトップダウンも必要』」と伝えたのは日本経済新聞。



1月15日、環境省の働き方改革に関する会議で、第一子誕生後に「育児休暇」を取得する考えを表明する小泉進次郎環境相(左) ©時事通信社


 特別職の国家公務員である閣僚や国会議員には法律で定められた休暇制度はない。なので、


《小泉氏は休業中に給付が出る法制度の「育児休業」とは異なる「育児休暇」を取るため、期間や取り方は自身らの考えで決めた。》


 毎日新聞は、《民間企業に勤める男性の育休取得が伸び悩む中、後押しとなるかどうか注目される。》


 日刊スポーツは《パフォーマンスで終わらせないためには、継続的に育児参加ができるかが、問われることになりそうだ》とも。


結婚や第一子誕生も「個人の事柄」


 噛みついたのは「隠し切れない 進次郎環境相のいやらしさ」と書いた日刊ゲンダイだ。

 

《現職閣僚の育休取得は世の雰囲気を変え、男性育休が進む一つのきっかけになるだろう。》と書きつつ、


《独身時代の不倫報道には「個人の事柄」を理由に説明を拒んだクセに、結婚や第1子誕生など都合の良い「個人の事柄」は、ガンガン情報発信する二枚舌も鼻につく。》


 ゴシップは決して忘れないゲンダイ師匠! 年末に週刊文春が報じた「進次郎 政治資金で『不倫ホテル代』」のことである。



 さらに、進次郎が育休に本気なら昨年8月の官邸での結婚報告以降、堂々と宣言する機会は「ごまんとあった」とし、


《政治家として育休実現の仕組みや法律を整備する前に、自分だけが育休を取得するわけだ。しかも、そのこと自体が、さも職員の意識改革に貢献するような論点ズラシの巧みさには舌を巻く。》


 とガブリ。


 そんななか東スポは「進次郎氏育休宣言も…命名権剥奪」という一面。


 視点が違う。



「進次郎氏 家庭内序列『犬以下』」?


「一連の女性スキャンダルで家庭内では肩身が狭い」ので子どもの命名権は妻である「滝川の方にあるでしょうね」と「永田町関係者」がおせっかいな解説をしていた。


 東スポといえば昨年11月1日付では「進次郎氏 家庭内序列『犬以下』」と一面大見出し。


 い、犬以下?



 今や家庭内での進次郎の立場はあのラブラドルレトリバーのアリスちゃんより下だと解説。クリステル優位という一貫した視点。今回の「命名権剥奪」もまったくブレていない。


今回のヒントは「マイボトルコーヒー駄目?」


 では私は各紙を読み比べてみて、そして進次郎をこれまでウォッチしてきて、「育休」宣言をどう思ったか?


 今回のヒントになる出来事が昨年末にあった。これだ。


「マイボトルコーヒー駄目? 小泉氏、国会の慣例に一石」(産経ニュース12月1日)


 進次郎が衆院環境委員会にマイボトル入りのコーヒーを持参したら「怒られた」というのである。国会関係者によれば「過去に認められたのは、さゆだけだろう」。


 これに立ち上がったのが小泉進次郎なのである。


《国会審議中にマイボトルでコーヒーを飲んではいけないのか—。小泉進次郎環境相が、慣例に縛られた国会のルールに一石を投じている。》


 かっこいい!


 しかし「え、大臣になって改革ってそこ?」とも思う。



 でもいかにも進次郎らしい。相撲で言うなら「自分じゅうぶん」の態勢になったら強い。自分が絶対に勝てる素材への嗅覚はすごい。


 大臣になるまでの小泉進次郎とはまさにそこが売りだった。そこしかなかったとも言っていい。後出しじゃんけんと言われようと永田町とは異なる世間の「空気」を代弁するのが得意。


 実は環境大臣になってからもその嗅覚を発揮しようとした瞬間があった。国連演説である。気候変動への国際的対処について話し合う「COP25」。


 しかし結果は「環境相、官邸説得できず 演説で『脱石炭』見送り」(毎日新聞2019年12月13日)となる。



 エネルギー基本計画との整合性などから首相官邸の了解が出なかったという。あっさり跳ね返された進次郎。大臣として何もできなかった進次郎。その前に、環境問題に興味があったのかという疑問も残る。


 かつて、そんな進次郎と対照的な政治家がいた。



あの政治家のように狂気すら発する政策を……


 小泉純一郎である。


 お父さんだ。若い頃からずっと郵政民営化を言い続けていた。世の中がいくらキョトンとしても本人だけは頑固だった。少数派の期間がかなり長かったが信念と狂気は変化しなかった。よくも悪くも。



 それに比べると進次郎は正反対。喋り方はお父さんに似せているからしばらく世間は「息子もズバズバ言う」と思い込んでいた。見事な処世術だったが、大臣となってよく見たら「あれ、結局何をしたいんだっけ」と皆が気づき始めた。


 今後は父親のように狂気すら発する政策を見つけるしかない。


 そう、それがまず「国会審議中にマイボトルでコーヒーを飲んではいけないのか」だったのである。


 その延長線上に「政治家の育休」があるのだと思う。つまり、自分に風が吹く絶対正義の案件を見つける嗅覚を発揮したのだ。大臣になってようやく。



 マイボトルの件はスケールが小さいし、育休宣言はパフォーマンスという人もいる。しかし先述したように小泉進次郎の武器が「永田町とは異なる世間の空気を代弁する」のだとすれば、それをやるしかないのだろう。


 そう思って今回の「育休」記事を読みなおしてみると、


《小泉進次郎環境相は「育児休業」取得を決めた理由として、真っ先に「空気」を変えることを挙げた。》(東京新聞)とあった。


 やはり自分の得意技はわかっていたのだ。空気。


 本当は環境大臣らしく環境政策で国連でズバッとやりたいところだったろうが官邸に子ども扱いされた。まだ大臣の器ではないのだろう。



 しかし今回の育休宣言に関しては「空気」という自身の得意技に併せ、「ゴシップとの相殺」という政治家らしいしたたかさを発揮した。


 あとは大臣として仕事ができるかどうか。十八番の政策を持てるかどうか。いつまでも「空気を変える」だけでは持つまい。


 さていろいろ書いてきましたが、小泉進次郎さん、滝川クリステルさん、第一子ご誕生おめでとうございます。



(プチ鹿島)

文春オンライン

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