安倍自民党が新型肺炎の不手際対応を「憲法に緊急事態条項があれば」と改憲にスリカエ!玉川徹は「問題は政府の能力」「どさくさ紛れ」と批判

2月1日(土)6時59分 LITERA

31日放送『羽鳥慎一モーニングショー』に出演する玉川氏

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 安倍政権が新型コロナウイルスによる肺炎への対応の杜撰さ、遅れを露呈させつづけている。安倍首相は今朝になって感染症法に基づく「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令施行を2月7日から明日に前倒しすること、中国・武漢からの帰国者のチャーター機利用の自己負担を政府が負担にする方向で検討すると発表したからだ。


 本日31日、本サイトでもお伝えしたように、政府は第一便のチャーター機で帰国しホテルでの経過観察を希望した帰国者に対して部屋数不足を理由に「相部屋」を強要し、相部屋になった人のなかから2人に感染が確認されるという事態を招いた。さらには経過を観察するために必要な体温計まで足りておらず、昨日15時までは検温できなかった人がいたことも発覚している。


 安倍政権には危機管理意識が欠如しているとしか言いようがないが、しかし、そんな後手後手の対応をしておきながら、安倍自民党は問題をすり替え、「憲法に緊急事態条項があればこんなことにはなっていない!」と大合唱をはじめている。


 たとえば、29日には自民党の中谷元・元防衛相が谷垣グループの会合で、政令施行の2月7日まで強制入院措置が取れないことに触れ、「法律を守り人が死ねば元も子もない。非常事態や緊急事態の場合は検査、隔離、監視、拘束する必要がある」「法律で対応できれば一番いいが、できないとなれば改憲議論が必要だ」と述べたという(産経ニュース1月29日付)。同様に、伊吹文明・元衆院議長も30日におこなわれた二階派の会合で、「緊急事態の一つの例。憲法改正の大きな実験台と考えた方がいいかもしれない」と話し、「(施行までに)周知期間を置かなくてもいいことにするためには、憲法を変えてもらわないとできない」と言及した(東京新聞1月31日付)。


 また、松川るい参院議員も昨晩、〈予算委では、新型コロナウィルスについて指定感染症の施行を早めるべきとの声が相次ぎました。憲法に緊急事態条項があれば!〉とツイート。さらに本日午前には、小泉進次郎環境相が会見でこうした意見が出ていることについて、「私は憲法改正論者だ。社会全体の公益と人権のバランスを含めて国家としてどう対応するか、問い直されている局面だ」などと述べて追随した。


 まったく何を言っているんだか。松川氏や伊吹氏の「緊急事態条項があれば政令施行日を早められるのに」という主張は、本日、安倍首相が前倒しを決定したように、緊急事態条項がなくても可能な話だ。だいたい、政令施行の前倒しは、国民民主党・森ゆうこ参院議員が参議院法制局に確認したところ、制定日と施行日が一緒にしても結果として適法であるという判断が最高裁でなされていると昨日30日の参院予算委員会であきらかにしていた。それを「違法・適法の問題ではない」と言って施行前倒しを拒否したのは安倍首相だ。


 しかも、そもそも今回の新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、憲法を改正して緊急事態条項を設ける必要など、まるでない。実際、専門家がそう断言しているのだ。


 今朝放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、司会の羽鳥が「(入国者に検査は)強制できないですよね?」と述べると、元国立感染症研究所研究員である岡田晴恵・白鴎大学特任教授が「いや、できます」と言い、こうつづけた。


「1月28日に(新型コロナウイルスによる肺炎を)指定感染症にして、それから検疫感染症にしているんです。だから疑わしきは検査できるんですね。これが、法律の運用が1月28日に決まって10日間の空間があるんですが、2月7日からはそうなります。だから憲法改正は関係ないんです。いま私たちが望むことというのは前倒しをして運用してくれっていうだけで解決します」


 この発言のあと番組では速報として、政府が施行の前倒しを検討していると発表したことを伝えたのだが、つまり、感染症の専門家も現行法で対処できる問題だと見解を示したのだ。


 実際、検疫感染症に指定されたことで、法律上、感染が疑われる入国者に対しては検査を指示することができる。また、2013年に施行された「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を適用すれば、さらなる措置も可能となる。この特措法による措置としては入国者の検疫強化(隔離・停留・健康監視等)が実施されるほか、不要不急の外出の自粛要請や検疫のための病院・宿泊施設等の強制使用、臨時医療施設開設のための土地の強制使用などが指示できるようになるといったようにかなりの強制力がある。この特措法じたい広汎な人権制限が定められているという問題があり、当然、運用には慎重さが求められる内容だが、緊急事態条項を新たに憲法に盛り込まずとも、すでに現行法で十分対応は可能なのだ。


●玉川徹は「問題は政府の能力」「能力の低い政府が緊急事態条項を行使するほうが恐ろしい」


 にもかかわらず、安倍首相が後手後手の対応をとっておきながら、国民の不安につけ込んで「憲法改正をして緊急事態条項を設ければ対応できる」と叫ぶ安倍自民党……。姑息にもほどがあるが、こうした安倍自民党のやり口について、『モーニングショー』では玉川徹氏がこう痛烈に批判した。


「先生がおっしゃったように、今回の問題にかんしては憲法の問題ではないですね。すでに法律はあって運用の問題だと。仮に法律が足りなかったとしても、それは内閣が各法を出して国会で議決すればいいだけの話」
「こういうどさくさ紛れのところに、ほかの自分たちの野望をこの件で実現させようという動きというのは、僕は不誠実だと思います。はっきり言って。いまなにが問題かというと、政府の対応が後手に回っていたり、不十分だったりしているという政府の能力の問題が重要なんであって、これ仮に緊急事態条項が憲法にあったとして、そういう能力の低い政府・政権がそんな諸刃の剣を持っていたら一体何をやらかすかっていう、僕はそっちのほうがよっぽど心配ですよ」


 まさに玉川氏の言うとおりだろう。そもそも、症状がない人の感染が確認されたいま、重要なのは、今後の感染拡大に備えた専門医療機関や保健所といった医療体制の強化であり、そして国民に無用な不安を煽らず、感染を防ぐための手洗い、うがい、マスク着用といったすぐにできる対策をさらに周知徹底させることだ。


 だが、憲法改正をしたくてたまらない安倍首相にとっては、これほどの「渡りに船」もない。実際、安倍自民党の動きと連動して、御用メディアの産経新聞はさっそく「新型肺炎 憲法の「緊急事態条項」新設論が活性化」などと改憲を煽る記事を掲載。日本会議政策委員である百地章・国士舘大学特任教授が感染症対策について「綿密に対応するには法律だけでは不十分で、憲法に根拠規定を置く必要がある。議論が深まれば国民も重要性を考えるようになるだろう」とコメントしている。ようするに、百地氏をはじめとする日本会議系の極右論客たちはこれまでも東日本大震災を利用して「緊急事態条項」の必要性を声高に叫んできたが、今度は新型コロナウイルスを利用しようと乗り出しているのだ。


 しかし、自然災害に対しては災害対策基本法などの現行法で対応が可能なように、新型コロナウイルスも現行法で対応できるものだ。混乱に乗じた改憲派の卑劣な手口に、ゆめゆめ騙されてはならない。
(編集部)


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