トランプに「武器を買え」と迫られ購入のイージス・アショアは2350億円! 健康被害や経済損失に懸念も安倍政権は住民軽視

2月2日(土)14時0分 LITERA

防衛省・自衛隊ホームページより

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 安倍政権が2023年度の導入を推し進めている、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」。先月29日には、米国務省がイージス・アショア2基の日本への売却を承認。関連費用を含めた価格は約2350億円と発表された。トランプ米大統領は昨年9月26日、安倍首相との会談後の記者会見でこう述べている。


「私が『日本は我々の思いを受け入れなければならない。巨額の貿易赤字は嫌だ』と言うと、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」(朝日新聞より)


 本サイトでも以前からお伝えしてきたように、安倍首相からトランプ大統領への“貢物”の最たるものがこのイージス・アショアの購入であるわけだが、当初は1基あたり800億円とされていた。目を疑うような価格高騰だ。


 しかも、発表された「2350億円」は発射装置や施設整備の費用を除いた金額なのだから、騙されてはいけない。現に、防衛省は昨年7月末、イージス・アショア2基の配備費用が総額約4664億円となる見通しと発表している。だが、これもまた「つくりました、はい終わり」では済まない。イージス・アショアが搭載する新型迎撃ミサイル「SM-3ブロック2A」(1発あたり40億円前後)や建屋などの施設整備費が重なり、〈基地建設費なども含めれば8000億円近くに達する見込み〉(「週刊朝日」18年11月9日号/朝日新聞出版)とも言われている。


 さらに、前陸上自衛隊武器学校長の市川文一氏は、〈アショアの維持管理費が将来、想定以上に膨らむ可能性が高い〉(「週刊新潮」18年11月8日付/新潮社)と指摘している。市川氏によれば、ソフトウェアの更新等の維持管理費は導入時には最低限の費用で見積もられるが、そこには〈故障した場合の修理費、システム全体が新しくなった場合のバージョンアップ費用は、事前に見積もることができないので含まれない〉という。


 ようするに、米国にふっかけられたイージス・アショアには無茶苦茶なカネがかかり、その運用にもじゃぶじゃぶと血税が投入され続けるのが目に見えているのだ。


 しかも、問題は費用だけではない。元海上自衛官で軍事評論家の文谷数重氏が、本サイトの取材に対してこう解説する。


「安倍首相は、イージス・アショア配置の“必要性”として北朝鮮の弾道ミサイルの存在をあげてきました。ですが、周知のように南北、米朝関係は和平ムードに好転。弾道弾発射が途切れ、国際圧力は緩和し、経済改善の目が出はじめたなか、その“必要性”は薄れています。そもそも日本はイージス艦を7隻持っており、これはアショアとほぼ同性能です。アショア配備が多少遅れても、ミサイル防空に穴はあきませんから、住民の反発を無視して急がねばならない理由もなくなりました。少なくとも、計画の不適切な部分は見直すべきでしょう」


●心配される電磁波の影響 しかも住宅地がレーダーの捜索範囲に…


 文谷氏が指摘する「計画の不適切な部分」というのは、政府が住民にしっかりとした説明をせず、配備先候補地を秋田県・山口県に決め打ちしていること、そして、アショアによる電磁波への懸念のことだ。


 そもそも、政府はイージス・アショアの候補地として多数を立てて絞り込んだのではない。最初から秋田市と萩市に決めていたのだ。なぜか。


 実のところ、イージス・アショアの日本配備計画はアメリカにとっての安全保障上の理由が大きい。たとえば、年始から地元紙・秋田魁新報が掲載している「イージス・アショアを問う」というシリーズ企画によれば、米国の代表的シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)は、昨年5月に発表したレポートのなかで「(アショアは)米国本土を脅かすミサイルに対し、前方に配備されたレーダーの役割を果たしうる」としている。


 実際、秋田市は北朝鮮とハワイを結ぶ直線上に、萩市はグアムを結ぶ直線上にそれぞれ位置している。2017年8月10日の国会閉会中審査では、当時の小野寺五典防衛相が、北朝鮮がグアムに向かってミサイルを発射した場合、「米側の抑止力・打撃力が欠如することは、日本の存立の危機に当たる可能性がないとも言えない」として集団的自衛権を行使できると答弁。安倍政権は明らかに、米国の防衛を重視して超高額なイージス・アショアを買い、それを秋田市と萩市に押し付けようとしているわけである。


 加えて大問題なのが、イージス・アショアが発する電磁波の存在だ。施設からは大出力の新型レーダー「SSR」からの電磁波が発せられ、それによる健康被害や電波障害、ドクターヘリ運用への弊害などに住民から懸念の声があがっている。政府は近く秋田市と萩市で電波の影響調査を実施するとしているが、なぜかイージス・アショアに搭載予定のSSRではなく、それよりも出力の小さい陸自の対空レーダーを使うという。SSR実機での調査は配備地として決まった後で行う予定だ。住民軽視にもほどがあるだろう。


「電波の影響はありますよ。だからこそ、イージス艦は陸地から離れてから電波を出す約束となっていますし、そのときは危険防止のため乗員を屋外には出しません。ドクターヘリへの影響は、米軍のXバンドレーダーでも示されているとおりで、輻射によって飛行機が飛べなくなるため、急患時は実際に輻射を停止しています。レーダー付近では『鳥が焼き鳥になる』ほどエネルギーが強いのです。その点、日本のアショア配置の候補地は最悪でしょう。秋田市の陸上自衛隊新屋演習場は、住宅地まで最短で1kmもなく、秋田県庁までは3kmほど。その上、市街地大部分が半径5km以内に入ります。山口県の場合、設置候補は萩市にある演習場ですが、隣の阿武町のほぼ全体がレーダーの捜索範囲に晒されることになります。健康被害への不安は当然です」(前出・文谷氏)



●イージス・アショア配備でポーランドの経済損失は900億円!


 しかも、イージス・アショアの設置は、その土地の環境や価格等にも悪影響を及ぼす。共産党の穀田恵二衆院議員が機関誌「前衛」2018年9月号で、秋田市と同じく市街地付近でのイージス・アショア配置計画が進んでいるポーランドの事例を報告している。


 ポーランドでは2020年より、北部・スウプスク市の中心部から4kmに位置するレジコボ基地にて、アメリカ軍によるイージス・アショアの運用が始まる予定だ。共産党は、イージス・アショア配備にあたって、米国とポーランドの両政府間で合意した「基地周辺の土地及び空域の使用に関する規則」と題する文書を入手。そこには、レーダー等を妨げないために基地周辺に設けられた複数の制限が記載されていた。


〈例えば、「基地から三五キロ圏内では、建物の高さを一五・二四メートル以内にする」、「基地周辺の空域は飛行を制限する」、「基地から四キロ以内では、風力発電施設の建設を禁止する」というものです。〉(「前衛」より)


 こうした内容は政府間で合意されるまで市側に明かれなかったというが、これらの規制によって、スウプスク市が被った経済損失は、25年間で900億円にのぼるとの試算が出ている。


 また、前出の軍事評論家・文谷氏は「アショア自体に防衛能力がないとは言わないが、それは心理的効果、つまり“お守り”程度でしかない」という。実際、イージス・アショアを導入したとしても、飽和攻撃(迎撃可能数を上回る大量一斉攻撃)によってほぼ無意味化するという指摘が専門家からもあがっているし、米朝韓の関係が融和に向かったいま、文谷氏の言うように、現実には大衆の心理的安心感を少しばかり高めるぐらいの効果しかないだろう。


 ありえないほどの費用高騰、「米国の盾」となるための候補地の決め打ち、おざなりな電磁波対策、説明する気がない土地への影響、そもそもの配備必要性の減少……。それでも、安倍首相はイージス・アショアをはじめとする“貢物”で、トランプ大統領に尻尾を振る。国民の血税が無暗に垂れ流され、配置候補地の安全と安心が逆に脅かされているにも関わらずに、である。通常国会で徹底した追及が必要だ。
(編集部)


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