東京の地価は五輪バブル、空き家数急上昇

2月13日(水)6時0分 JBpress

図1 全国と東京都の空き家戸数の推移(http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/kekka.html)

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増える空き家と高まる東京の地価

 日本では人口減少に伴い、空き家の戸数が全国各地で増えています。

 平成25年住宅・土地統計調査結果(総務省統計局)によると、平成10(1998)年度は全国で576万4100戸だった空き家は平成25(2013)年度には819万6400戸と1.4倍になりました。

 東京都だけで見ると、平成10(1998)年度の62万4400戸から平成25(2013)年度は81万7100戸で1.3倍と全国平均と同じくらいの推移で空き家が増えています。

 空き家戸数の全国第1位の都道府県は東京都です。2位は大阪府で70万戸弱、3位は神奈川県で50万個弱です。

 つまり、大都市圏ほど人口ボリュームが多いため、空き家戸数も多くなっています。

 そのような状況の中で、東京オリンピックを控えて東京では新築マンションを含めて新たな建物が建設されており、近年地価が上昇しています。

 東京都財政局財産運用部管理課が発行している『平成30年東京都基準地価格』(下図)を見ると、平成20(2008)年をピークにリーマンショック後下落していた地価は、東京オリンピック開催が決まった平成25(2013)年を境に上昇に転じました。

 平成30年には区部の商業地についてはリーマンショック前を上回っています。

 地価の上昇に比べて消費者物価指数はほぼ横ばいであることを考えると、今の東京の地価の高騰は「オリンピックバブルではないか?」と考えることもできます。


東京の人口は増え続けるのか?

 東京都は毎年10万人以上の転入超過となっており、東京一極集中を問題だと捉える人もいます。

 一方で、東京都政策企画局計画部計画課が編集・発行した「都民ファーストでつくる『新しい東京』 〜2020 年に向けた実行プラン〜」によると、東京都の人口は2025年の1398万人をピークに減少することが予測されています。

 ただでさえ空き家が多い東京で、これから人口が減っていくと予測されているにもかかわらずマンションが建てられ続けば、需要と供給のバランスが崩れる日が来るのではないでしょうか?

 相当数の移民を受け入れるなどすれば、東京都も人口を維持できるかもしれませんが、一方で東京一極集中を何とかするために地方創生の施策の中で地方に人を移住させるためにいろいろな政策がとられています。


地方への移住施策

 例えば、私自身も平成22(2010)年2月に東京都の渋谷区から新潟県の十日町市の池谷集落に移住しました。

 その際には総務省の施策によってつくられた地域おこし協力隊の制度を活用して移り住みました。

 地域おこし協力隊とは、都市部から過疎地に住民票を移し、「地域協力活動」を行いながらその地域への定住・定着を図る取り組みで、平成21(2009)年度からはじまりました。

 初年度の平成21(2009)年度は全国に89人だった隊員は、平成29(2017)年度には約5000人にまで増えており、任期終了後約6割が同じ地域に定住していると総務省は発表しています。

 また、隊員の約7割が20〜30代と年代層も若い人が多く、女性も約4割と男女比のバランスも比較的良好です。

 政府はさらに東京一極集中の是正、地方の担い手不足への対処、移住者の多様な希望をかなえることを狙いとして、「地方で起業したい」「自然豊かな地方で子育てをしたい」人たちのために「わくわく地方生活実現政策パッケージ」を策定・実行するとしています。

 そして、6年間で6万人のUIJターンによる起業・就業者創出や、地域おこし協力隊の拡充として6年後に8000人に増やす事を資料に明記しています。

 具体的に東京23区在住者・23区への通勤者が東京圏以外の道府県に移住し、就業または起業した場合に交付金を出す(就業した人には最大100万円、起業した場合には最大300万円)ことを平成31年度に予算要求しています。


若者が地方に向かっている

 こうした政府の方針もあって、まだ数は少ないものの地方に移住したいという人たちも増えてきています。

 ふるさと回帰支援センターが公表している「2017移住希望者の動向プレスリリース」によると、移住相談の件数(面談・セミナー参加などと電話などによる問い合わせの合計)は右肩上がりで増え続けています。

 2008年に2475件だった相談件数が、2017年には33165件と13倍以上になっています。

 2015年には移住相談窓口として移住・交流情報ガーデンもオープンしているため、実際の移住希望者はもっと増えていると考えられます。

 人数が増えているだけではなく、相談者の年齢層も若返っています。

 同じくふるさと回帰支援センターの「2017移住希望者の動向プレスリリース」によると、2008年には約70%が50代以上であったのが、2017年には70%以上が40代以下と完全に逆転しています。

 この間に地方移住が増えているのは社会的な背景も影響していると私は考えています。

 2008年の秋にリーマンショックがありました。私自身もリーマンショックをきっかけとして、お金の信用度の危うさを感じ、生活に必要なものをできるだけ自分で調達できるようになりたいと考えるようになりました。

 その後、2011年に東日本大震災が発生し、原発が大きく社会問題として取り上げられるようになり、子供を安全な場所で育てたいという人が増えました。

 また、東京のスーパーやコンビニからモノがなくなり、いざという時に東京は危ういと気づかされ、田舎暮らしを考える人は増えてきました。

 さらに、2014年からの「地方創生」のかけ声のもと、政策的に地方に目を向けられるようになりました。

 日本全体から見ると少数派ではありますが、地方移住を考える人が確実に増えてきており、それは単なる一時的なブームというよりも、社会的な流れが変わってきていると感じています。


近代社会の耐用年数は80年?

 ここで、一つ興味深いトピックスをご紹介したいと思います。

 この写真は私の住んでいる池谷集落の集会場にあるお米1俵の価格変動史です。

 江戸時代後期の天明元(1781)年から昭和56(1981)年までの200年間の米1俵の金額が毎年どのように変動したのかが全部書かれています。これを眺めると面白いことが見えてきます。

 かつて米の値段は物価の基本指数でしたので米価が上がるときは物価が全体的に変動したと考えられますが、幕末の10年間で米の値段は約10倍になっています(1858年57銭7厘⇒1867年5円29銭)。

 もっとすごいのは第2次世界大戦終戦の前年からの10年間で、米価が200倍以上にはね上がっているのです(1944年19円92銭⇒1953年4272円)。

 幕末の10年間の間で時代は江戸時代という鎖国の武士の時代から開国し、大日本帝国という天皇が国家元首であり現人神の時代になりました。

 そして、近代国家の仲間入りをしたわけですが、世界恐慌に続いて第2次世界大戦が始まります。

 この戦争で日本は敗戦し、大日本帝国から日本国となり、天皇は現人神から人間宣言しました。ここでまた時代が変わったわけです。

 つまり、時代の転換期に経済をリセットするかのように、米の値段が急激にはね上がったという事実があるのです。

 明治維新と第2次世界大戦終戦の間が77年ありましたが、終戦から東京オリンピックの間もほぼ同じ75年です。

 2008年にリーマンショックに端を発した世界同時不況がありました。これも世界恐慌と呼ばれました。

 日本では少子高齢化により年金はほぼ破綻しており、若い人の中には「年金をもらえないのではないか」と考えている人もいます。

 さすがに東京オリンピックが終わったらすぐにハイパーインフレが来たり世界大戦が起こるとまでは思いませんが、これまでの歴史的な経緯を見ると、近代社会の一つの時代の「耐用年数」は70〜80年程度に感じます。

 東京オリンピック後にもしもバブルが崩壊したとしても被害を受けないように今のうちに準備をしておくことが必要だと思います。

 また、これまでの時代の延長線上で物事を考えるのではなく、新しい時代を創り直していくというスタンスで物事を見る必要があるように思います。

筆者:多田 朋孔

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