自然災害を人間が予想できない、たった一つの理由

2月15日(土)7時0分 文春オンライン

なぜ人は“自分は中流”と信じたがるのか から続く


 人が判断をくだすとき、先入観や偏りから陥りがちな「心理バイアス」がある。経営学、認知心理学、行動経済学から導き出された101の心理バイアスの中から、壊滅的な事態を引き起こしかねない「ブラックスワン・黒い白鳥の罠」を紹介する。


◆◆◆


「自然災害は極めて低い確率でしか起こらない」と思ってしまう理由


 ブラックスワンは文字通り「黒い白鳥」のことで、「そのようなものは存在しない、あるいは極めて低い確率でしか存在しえない(起こらない)」と思われているもののことを指します。



 ブラックスワンが大きな問題になるのは、金融業界や自然災害です。たとえば金融業界では、リスクとは平均からのバラつきのことをさし、基本的に正規分布の世界を前提にしています。このような世界では、リーマンショッククラスの悲劇は、数十年あるいは100年に1回起こるかどうかという計算結果になります。 しかし現実の金融の世界では、100年に1回も起こらないはずのことが、もっと頻度が高く起きてしまっています。





 つまり上の図に示したように、極端な出来事は、正規分布以上に実際によく発生するのです。その正確なメカニズムについては原因が多岐にわたり、また不明な部分も多いため一概には言えませんが、経済や自然現象といった、複雑な要素がさまざまに絡み合っている世界では、工業製品を作るときのような単純な正規分布にはならないのです。 これを見落とすとどうなるでしょうか?  自然災害であれば、本来取られるべき施策が取られなかったり、必要な予算が低めに抑えられたりします。



経済や自然災害など、複雑系の世界のリスク


 実際にめったに起きないこと(例:東日本大震災など)をどの程度見込んで対策を立てておくかの判断は非常に難しい ものがあります。しかし経済や自然災害など、複雑系(相互に関連する複数の要因が合わさって全体としての挙動につながる系)の世界では、ブラックスワンは予想よりも多いという前提で用意しておかないと、足をすくわれかねないのです。 「そんなこと、生きている間に起こりやしないよ」と、根拠のない楽観を真に受けると痛い目に遭いかねません。



ブラックスワン・バイアスの定義:確率が極めて小さい事象について、過度にその確率を小さく見積もる傾向



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あなたはこの心理バイアスを見破れますか? 「ビジネス思い込み度」チェック5問


他にもさまざまな「心理バイアス」が……


【イケア効果】なぜ人は論理的に判断ができないのか

【生存バイアス】なぜ「デキる人」の言うことを聞いてしまうのか

【アンカリング】数字は先入観にこびりつく

【リンダ問題】確率は直感に反する

【授かり効果】人は失うことを過剰に嫌う

【ギャンブラーの誤謬】なぜ人は根拠のない勘で判断をしてしまうのか

【直線本能】人は「明日も昨日と同じ」と信じてしまう

【計画バイアス】とにかく人は楽観的に考えてしまう 


他、全部で101の「心理バイアス」は『 MBA 心理戦術101 なぜ「できる人」の言うことを聞いてしまうのか 』をご覧ください。



「上司に君のことを推薦しておいたから」小さな“貸し”を作っておくと何倍も得をする へ続く



(グロービス)

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