移籍制限、囲い込み…フリー人材にも独禁法適用 公取委、報告書公表

2月15日(木)21時15分 産経新聞

 芸能人やスポーツ選手、フリーランスのプログラマーらの労働環境改善に向け議論してきた公正取引委員会の有識者会議は15日、不当な移籍制限などを一方的に課すことは独占禁止法違反に当たる可能性があるとの初の判断を示した報告書を公表した。

 企業と雇用契約を結ばずに働くフリーランスの労働現場では、力関係の差を背景に企業側が移籍を制限したり、人材を不当に囲いこんだりするケースがあり、トラブルが相次いでいた。

 フリーランスの人は企業と対等な関係で仕事を請け負う契約を結んでいるが、強い立場を利用し取引相手に不利益を強いる行為は、独禁法で禁じた「優越的地位の乱用」に当たる。これまで労働分野への同法の適用はほとんどなかった。

 報告書では、芸能人やスポーツ選手らの移籍を不当に制限したり、プログラマーらに過剰な秘密保持義務を課す事案を問題視。独禁法を改正せず、現行法でも適用対象になると指摘した。公取委が認定すれば、排除措置命令の対象になる可能性があり、公取委は関係業界に自己点検を促す。

 有識者会議では昨年8月から、芸能人やスポーツ選手だけでなく、システムエンジニアやデザイナー、コンサルタントなど幅広い職種を念頭に、個人の労働分野で独禁法が適用できるか検討を進めてきた。

 公取委の山本大輔経済調査室長は「事案の内容や悪質性を踏まえ、厳正に対処する必要があると判断されれば適正に取り組む」と述べた。

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 「フリーランスの人全体の働き方改善に向けた大きな転機となる」。移籍トラブルなどの労働問題に詳しい河西邦剛弁護士は、報告書についてこう評価する。

 働き方の多様化で、フリーランスは会社員などの副業も含めて1千万人超に上ると推計される。芸能界やスポーツの分野では移籍や契約をめぐるトラブルが後を絶たず、労働基準法など労働法の保護を受けにくい「法律の空白地帯」の解消が懸案だった。報告書は事実上の指針と位置付けられ、今後、特定の業界で長らく常識となっていた不当な慣行が見直される可能性がある。

 芸能界ではすでにトラブルを回避するため、契約書のひな型の見直しなどに着手。国内最大の業界団体「日本音楽事業者協会」の中井秀範専務理事(59)は「改善すべきところは改善し、契約についての範を示したい。健全なビジネスだということを広めてきたい」と話している。

産経新聞

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