【朝鮮人追悼碑訴訟】【視点】玉虫色の判決 歴史問題に向き合わず

2月15日(木)13時40分 産経新聞

朝鮮人追悼碑設置をめぐる訴訟の判決で、「一部勝訴」と記した旗を掲げる原告側=14日、前橋市(橋爪一彦撮影)

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 「政治的行事」の有無を最大の争点とする今回の訴訟は群馬県の処分を取り消す一方、10年間の設置期間更新については知事の裁量に委ねるという玉虫色の判決に終わった。どちらが勝ったといえるのか、判断が難しい結果となったものの、集会での「強制連行」を含む複数の発言を明確に「政治的発言」と断じた意義は大きい。

 どのような行為が、守る会と県の間で交わされた「政治的、宗教的行事および管理を行わない」との設置許可条件に違反するのか−。曖昧だった判断基準に対し、前橋地裁は「強制連行」を含む発言をすること自体が、条件に違反すると“境界線”を引いた。守る会が碑文に盛り込む予定だった「強制連行」の文言を県との協議を経て削除した経緯を重要視した形だ。

 物足りないのは、「『強制連行』は一般的に使用され、過去の歴史的事実の表現を超えない」とする、守る会側の主張に対する判断だ。判決は「重要性があるとはいえない」と切り捨て、正面から向き合わなかった。

 守る会側は、法廷で繰り返した歴史認識をめぐる政治的主張は訴訟の「意義づけにすぎない」としてきたものの、集会などでは「強制連行」の文言を多用している。

 県側は「強制連行」を認めない政府見解を引き合いに出して議論に臨んだ。何らかの司法判断を示すことはできなかったのか。

 守る会側は「強制連行」の文言の使用にこだわり、「これからが勝負。新たな戦いが始まった」(角田義一弁護団長)と意気込み、両者の溝は埋まりそうにない。主張の応酬を続ける限り、追悼という本来の碑の趣旨から乖離(かいり)し続けるばかりだ。(吉原実)

産経新聞

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