イチゴは野菜? それとも果物? メロンやスイカやバナナは?

2023年2月15日(水)5時0分 ウェザーニュース

2023/02/15 05:00 ウェザーニュース

イチゴが旬の時季を迎えています。青果店の店先には全国各地で収穫された大粒のイチゴがたくさん並ぶようになり、真っ赤な甘いイチゴをおいしく味わった人も多いと思います。
スーパーマーケットでも温州ミカンやリンゴなどと並んで「果物コーナー」に置かれているイチゴですが、農林水産省の基準では「野菜」と定められているようです。イチゴに秘められた謎を、野菜ソムリエプロの吉田謹子(よしだ・のりこ)さんに解き明かして頂きました。

イチゴは果物? 野菜?

日々の生活感覚ではイチゴは果物ですが、農林水産省の基準では、イチゴは果物ではなく野菜のようです。これはどのような理由に基づくのでしょうか。
「一般的に果物と呼ばれる植物は、正式には『果樹』に分類されて『野菜』と区別されています。農水省の定義では、果樹は『果実を食用とするもの』としていますが、それに加えて『概(おおむ)ね2年以上栽培する草本(そうほん)植物及び木本(もくほん)植物』という条件があるのです。
農水省ホームページの『果樹とは』という項目でも、『一般的にはくだものとは呼ばれていないと思われる栗や梅などを果樹としている一方で、くだものと呼ばれることのあるメロンやイチゴ、スイカ(いずれも一年生草本植物)などは野菜として取り扱っています』と、明記されています。
植物・園芸学では、木本植物の木の実は果物(果樹)、草本植物の草の実は野菜と分類します。これによって草本植物であるイチゴなどは野菜とされて、農水省の作物の統計調査でも野菜に含まれているのです」(吉田さん)

「果実的野菜」と呼ばれることも

メロンやスイカも「野菜」なのですね。ほかにも私たちが果物と思っているのに野菜と分類されているものはありますか。
「バナナやパイナップルも草本植物ですので、野菜に分類されています。逆にアボガドは野菜のように料理の食材として使われるケースが多いのですが、実が木に成る木本植物なので果物です。
ただし、イチゴをはじめとして、メロン、スイカ、バナナ、パイナップルなどは農水省も販売状況や食生活の実態などに合わせて『果実的野菜』と呼んでいます。
農水省以外の省庁や青果市場などでは、イチゴはどのように扱われているのでしょうか。
「総務省の家計調査ではイチゴは『生鮮果物』として扱われています。バナナやスイカ、メロンも同様です。
また、東京・豊洲など全国38都市・50ヵ所(2022年6月現在)にある中央卸売市場の青果市場は農水省の管轄ですが、統計上イチゴなどは野菜でなく、ミカンやリンゴなどと同列に『果実』、つまり果物として記載されています。
海外ではトマトを果物として扱っている国もあり、イチゴを含めて果物と野菜についての明確な定義は存在していないと言っていいでしょう」(吉田さん)
考え方によって果物でも野菜でもあるイチゴは、確かに「果実的野菜」とするのがすわりがいいのかもしれませんね。このようなイチゴの一面を思い起こしつつ、味わってみてはいかがでしょうか。

写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)

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