安倍政権が北朝鮮から伝えられた田中実さんら拉致被害者の生存情報を隠していた! これこそ拉致問題の政治利用だ

2月17日(日)16時10分 LITERA

首相官邸HPより

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 なぜ、安倍政権は国民に隠しているのか——。拉致被害者の田中実さんが平壌で結婚し妻子とともに生活していることを、2014年以降、北朝鮮側が日本側に複数回にわたって伝えていたと、15日に共同通信が報じたのだ。


 田中さんは1978年、神戸市のラーメン店に勤めていたところ、店主の男から海外旅行に誘われ、成田からウィーンに出国し消息を絶ったとされる(当時28歳)。政府は2005年、田中さんを拉致被害者に追加認定していた。また、共同通信によれば、田中さんと同じラーメン店の元店員で1979年に行方が分からなくなっていた金田龍光さん(当時26歳、政府は「拉致の可能性を排除できない」としている)についても、北朝鮮側が日本側に「妻子がいる」と伝達していたという。


 共同通信は日本政府関係者の話として報じているが、北朝鮮が田中さん、金田さんの状況について日本側に伝達したという「2014年」以降といえば、あのストックホルム合意のタイミングだ。


 2014年5月、北朝鮮は日本政府との協議のなかで、拉致問題に関する特別調査委員会の設置及び調査を約束、その見返りに日本政府は独自制裁の一部解除を行うとした。しかし、2016年2月に北朝鮮が核・ミサイル実験を行うと安倍首相は再度独自制裁に出るなど、圧力路線を強めた。これを受け、北朝鮮側は調査の全面中止を宣言。この間、拉致問題については「ゼロ回答」とされてきた。


 しかし、今回の共同通信の報道が事実ならば、日本政府は少なくとも田中さんと金田さんの北朝鮮での状況を、北朝鮮側から伝えられながら、このことを国民に知らせなかったことになる。なぜ、安倍政権は2人のことを隠しているのか。


 周知の通り、安倍首相は拉致問題を最大に政治利用して総理大臣まで上り詰めた政治家だ。しかし、実際には第二次政権発足以降も拉致問題に進展はなく、拉致被害者家族や支援者の一部でも不満がくすぶるさなか、2014年のストックホルム合意はまさに“やってる感”の演出だった。ところが今度は、それが「軟弱な対北対話路線」だとして支持層である極右界隈から突き上げをくらう羽目となっていた。全国紙政治部記者が言葉をついでこう分析する。


「そこで、安倍首相は世論を『ゼロ回答の北朝鮮が悪い』というふうに誘導しながら、再び圧力路線をとったわけですが、そんな政治的思惑のなか、北朝鮮が被害者の情報を出してきたということを公式に認めてしまえば、『ゼロ回答の北朝鮮』という攻撃材料が崩れてしまう。しかも、北朝鮮側は『田中さんが帰国するかどうかは本人の考え次第だが、家族との生活のため現地に残る意向』と言う。強引に連れ戻しをはかっても、本人たちが北朝鮮を擁護すれば、安倍首相にとっての政治的価値はなくなります。ようするに、安倍政権が北朝鮮との対決姿勢を維持するために、2人の情報は“不都合な真実”として秘密裏にされたんでしょう


 いずれにしても、安倍政権が田中さん、金田さんの情報を北朝鮮側から得ていたことをまったく国民に伏せ続けているのは、拉致被害者たちを“政治利用のコマ”としか見ていないからではないのか。事実、安倍首相は国会で繰り返し追及されてもひたすらはぐらかしているのだ。


●田中実さん、金田竜光さんの存在は何度も報じられていたのに、回答拒否


 そもそも、ふたりの北朝鮮生存情報については、共同通信が昨年3月以降なんども報じ続けてきた。18年3月16日には“ストックホルム合意の前である2014年5月に、北朝鮮側が田中さんについて「入国していた」と日本政府に伝えていた”と報道。同3月25日には、金田さんの入国についても伝えられていたと続報をうった。同7月21日には、米朝首脳会談開催前後に田中さん、金田さんの二人以外に「新たな入国者はいない」と北朝鮮側から伝えられていたことが判明と報じた。なお、同10月19日には、その月の上旬に安倍首相の片腕である北村滋・内閣情報官が北朝鮮側と接触した際、〈田中さんを含む拉致被害者の安否確認方法を協議した可能性がある〉と報じている。


 日本政府は17名を拉致被害者と認定しているのに対し、北朝鮮の従来の主張は、2002年に帰国した蓮池薫さんら5名以外は「8人死亡、4人は入国していない」というものだったはず。北朝鮮が10年以上も「入国」すら認めてこなかったことを踏まえれば画期的な話だろう。にもかかわらず安倍首相らは、報道を受けて国会でも度々追及があったものの、「ゼロ回答」に終始。田中さん、金田さんの情報はおろか、北朝鮮側から二人について伝達があったことさえも隠してきた。


 たとえば、昨年3月28日の衆院予算員会では、立憲民主党の有田芳生議員が「北朝鮮は2014年に、田中さんは生存していると、そういう報告をしてきたと報道されていますが、事実ですか」と質したが、安倍首相は「今後の対応に支障を来すこれはおそれがある」などと言って「この報道についての逐一のコメントについては、お答えは差し控えさせていただきたい
「どのような対応をしているかどうかということについても、お答えは差し控えさせていただきたい」と繰り返し拒否。


 ほかにも同年3月20日の衆院安全保障委員会での河野太郎外相、4月2日の衆院拉致問題等に関する委員会及び6月4日の参院同委での加藤勝信・拉致問題担当相、11月7日さん予算委員会での安倍首相の答弁でも、同じように完全なノーコメントを貫いている。


●蓮池透氏に「政治利用している」と言われ逆ギレした安倍首相だったが…


 ようするに、これだけ何度も“北朝鮮側が日本政府に被害者の情報を伝えていた”と報じられ、国会で問いただされても頑として認めようとしないのだ。「今後の交渉に支障をきたすおそれ」などと言っているが、田中さんたちに関する情報がもはや“公然の秘密”となり、被害者家族らから「政府は情報をフルオープンにしてほしい」という声が出てきてもなお、安倍首相が公式発表をしないのは、どう考えてもおかしいだろう。


 しかも、安倍首相はほかにも、北朝鮮側の非公式な拉致被害者解放を拒否していたという情報もある。


「実はストックホルム合意の少し前にも、北朝鮮側から1、2名の拉致被害者の解放を秘密裏に打診されたにもかかわらず、安倍政権が拒否したという情報が流れたことがありました。もしこれが事実なら、やはり“その程度で妥協するのか”という国内右派の反応を恐れてのことでしょう」(全国紙社会部記者)


 以前、安倍首相は蓮池透氏から著書で「拉致問題を政治利用している」と批判されていることについて国会で問われ、逆ギレ。「バッジをかける」などと猛然と否定したが、今回の対応を見ても、もはや安倍首相が拉致問題を政治利用しているのは間違いないだろう。
(編集部)


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