二十四節気「雨水」 春の霞は霧とは別物?など季節の小話をご紹介

2024年2月19日(月)5時10分 ウェザーニュース

2024/02/19 04:57 ウェザーニュース

2月19日(月)からは二十四節気「雨水(うすい)」。立春が過ぎ本格的な春を迎える予備期間ともいえる頃で、降る雪は雨に変わり、積もった雪や張った氷は解け、水になっていきます。

時に幻想的な「春の霞(かすみ)」

微細な水滴が空中に浮遊するため、遠方などがぼんやり見える現象や、その際に見えるうっすらした雲のようなものを「霞」といいます。
現象としては霧(きり)と同じですが、春に発生するものを「霞」、秋に発生するものを「霧」と呼び、区別することがあります。
ただし、気象用語に「霞」は入っていません。
〜春なれや名もなき山の薄霞(うすがすみ)〜
これは、江戸時代前期の俳人、松尾芭蕉(1644-1694)の句です。名もない山に、薄くたなびいている霞を見て、春を感じている様子がうかがえます。
山の麓や湖にかかる霞は、時に幻想的でもあります。

河原の「猫柳(ねこやなぎ)」に早春を感じる

猫柳はヤナギ科の落葉低木で、密生した銀白色の毛の花穂(かすい)を早春に付けます。
花穂とは、穂のように群がり集まって咲く花を付けた茎や枝、あるいは、その花の付き方のことをいいます。猫柳の花穂が猫の毛並みを思わせるため、この名前が付きました。
河原などの水辺に多く生えるため、川柳(かわやなぎ)などともいいます。
俳人の山口誓子(やまぐちせいし/1901-1994)は、次の一句を詠んでいます。
〜猫柳高嶺(たかね)は雪をあらたにす〜
近くにある猫柳は銀白色の毛を輝かせていて、遠くに見える高い山には新雪が降り注ぎ、鮮やかに光っているのでしょうか。春の兆しと身が引き締まる余寒の厳しさが感じられる句です。

「木の芽」と「木の芽」は同じ?

この見出しはいったいナニ? なぞなぞ? と思った人もいるかもしれませんね。
じつは、前者の「木の芽」は「このめ」で、後者の「木の芽」は「きのめ」のつもりで書いています。
木の芽を「このめ」と読めば、樹木一般の芽(主に新芽)を意味し、「きのめ」と読めば、山椒(さんしょう)の芽(主に新芽)を意味します。
近年はしばしば混同して使われますが、かつては分けて使っていました。
木の芽(このめ)がふいても、木の芽和え(きのめあえ)を食べても、早春が感じられる点は共通しています。

「雛(ひな)祭り」は女の子のための行事?

3月3日は、言わずと知れた「雛祭り」ですね。「上巳(じょうし)の節句」などともいいます。
古代中国では、3月初めの巳(み)の日を上巳といって、川で身を清める習慣がありました。これが上巳の節句で、雛祭りのルーツといわれます。
この上巳の節句が奈良時代に日本に伝わり、やがて人の代わりに紙や藁(わら)で作った人形に穢(けが)れを移して、川に流すようになったといわれます。
時代が下ると、この人形を雛壇に飾るようにもなり、雛祭りへと発展していったのです。
旧暦3月は桃が開花を迎える時季でもあるため、「桃の節句」の別名も生まれました。
現在、雛祭りは女の子の健やかな成長を願う行事として定着しています。
しかし、室町時代頃までは、女の子だけでなく、男の子や大人の男女も含めて、皆が健康で安全に過ごせることを願うお祭りだったようです。
春の気配が濃くなる雨水の時季。景色の変化などにも注目しながら散策してみるのも良さそうです。

参考資料など

監修/山下景子:作家。『二十四節気と七十二候の季節手帖』(成美堂出版)や『日本美人の七十二候』(PHP研究所)など、和暦などから日本語や言葉の美しさをテーマとした著書が多数ある。

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