「うわーん、うわーん」心愛さん号泣動画に女性裁判員が泣き出し一時休廷 そのとき父親は……

2月23日(日)7時0分 文春オンライン

「私がしてきたことはしつけの範囲を超えたものだと深く反省しております。みーちゃん、本当にごめんなさい」


 千葉県野田市で昨年1月、自宅のアパートの浴室で小学4年生だった栗原心愛(みあ)さん(当時10)が虐待を受けて死亡した事件。心愛さんを虐待の末、死亡させたとして、傷害致死罪などに問われている父親の勇一郎被告(42)に対する裁判員裁判が2月21日、千葉地裁で始まった。


 検察官が1つ目の起訴状を読みあげ、前田巌裁判長に認否を聞かれると、「一言申し上げてよろしいでしょうか」と用意した紙を開いた。「私の気持ちです」。裁判長の許可を得て、書面を読み上げ始めた。


「娘のために真実を明らかにする」と涙したが……



栗原勇一郎被告の裁判員裁判初公判が開かれた千葉地裁の法廷 ©共同通信社


「娘のためにできることは、この事件にしっかり向き合い、真実を明らかにすることだと思います。知りうる限りの事実をお話ししたいと思います」と涙ながらに反省の弁を述べた。だが、続いて「罪状認否ですが、暴行について加えたものではありません」と話し、当時小学3年生だった心愛さんが小学校のアンケートで「お父さんにぼう力を受けています」と虐待を訴えた、2017年11月上旬の暴行については無罪を主張した。



 勇一郎被告は17年11月以降、心愛さんが死亡した19年1月24日まで、心愛さんに対する虐待5件と、妻(33)に対するDV(ドメスティック・バイオレンス)1件で起訴されている。それぞれ起訴状が読まれ、認否を問われたが、次々に虐待を否定した。



 18年12月30日から19年1月3日ごろ、心愛さんの両腕をつかんで引きずったり、両腕をひっぱり上げて離し、床に打ち付けたりし、心愛さんの顔に打撲や胸骨の骨折を負わせたとする虐待。勇一郎被告は「両腕を引きずったり、ひっぱり上げたりしたことは認めます。ですが、床に打ち付けて、顔面や胸部を圧迫・打撃していません。娘に顔面打撲や胸骨骨折を負わせたことは知りません」と大部分を否定した。


 心愛さんが死亡した原因とされる1月22〜24日の虐待については、十分な食事や睡眠を与えず、冷水のシャワーをかけたとされるが、「飢餓状態にし、強度のストレス状態にすることを構わないと考えたことはありません。また、暖房のない浴室で、冷水のシャワーをかけたことなどはしていません」としたうえで、「罪については争いません」と主張した。


検察は「日常的、継続的に虐待を受けた末に死亡した」


 検察側の冒頭陳述で、検察官は勇一郎被告の認否についてこうまとめた。「被告は起訴事実を概ね認めるが、心愛ちゃんを虐待した事実はないと主張しているが、心愛ちゃんは日常的、継続的に虐待を受けた末に死亡した」と裁判員に説明した。



 一方、弁護側は勇一郎被告の発言を補強。まず17年11月の暴行については「していない」と主張。「長女(心愛さん)は寝相が悪く、寝ている間に被告人を叩いたり、蹴ったりすることがあった。被告人は布団の中に戻し、駄々をこね、泣きわめく長女をなだめていた」と説明し、アンケートについても「身に覚えがない」とした。


 心愛さんの死亡直前の19年1月24日夜には、おもらししてしまった心愛さんに自身で掃除させようとしたところ「激しく抵抗したので風呂場に連れていき、シャワーで2〜3秒間、おでこと髪の毛の境に当てた」と述べ、検察側の「長時間、口や鼻にシャワーの冷水をかけた」とする主張を否定した。「落ち着いたので、シャワーを戻そうと後ろを向いたとき、長女がドンと音を立て倒れこんだ」と話し、直接手をかけていないとした。


 弁護人が被告の父親としての立場を擁護して、「被告は幸せな家庭を築きたかった。最悪の結果を招いてしまったことに、後悔の念をいだいている。長女を含め、家族を愛していました」と言うと、眼鏡をはずし、顔を真っ赤にしてタオルで涙をぬぐった。



 午後は証拠調べが行われ、勇一郎被告の携帯電話やノートパソコンから見つかった心愛さんの画像や動画も提出された。その中のひとつで、17年11月4日に自宅脱衣所で「うわーん、うわーん」と大きな声で泣き叫ぶ心愛さんが映った動画を5秒間、裁判員と裁判官に示された。女性裁判員は泣き出してしまい、一時休廷する場面もあった。被告はそれでも、表情を変えることなく、真顔でまっすぐ前を見たままだった。



反省の手紙には「もうしわけありませんでした。おてつだいします」


 心愛さんが書いたとみられる「反省の手紙」も証拠として提出された。「今日はもうしわけありませんでした。これからはおてつだいします。パパとママのいうことをききます」と始まる反省文が、自宅から押収されたという。勇一郎被告が心愛さんに書かせたとみられる。最後には、大きな字で「ほんとうにもうしわけありませんでした。みあ」と殴り書きされていた。


 虐待のほとんどを否定した勇一郎被告は、休憩などで裁判が中断し、入退場するたびに、傍聴人席や裁判官、検察官に深々礼をし、反省しているようなそぶりを見せたが、白々しく映ったことだろう。


 裁判は全11回の予定で、今月26、27日には、勇一郎被告の虐待を一番近くで見ていた心愛さんの母親(33)も出廷し、証言する。母親は昨年、被告の虐待を止めなかったとして、傷害幇助(ほうじょ)罪で有罪判決が確定している。また、被告人質問は3月4〜6日の3日間。9日に結審し、19日に判決が言い渡される予定だ。



(村田 珠里/週刊文春デジタル)

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