池上彰氏「過去には『ほめ殺し』でノーベル平和賞に推薦された人物がいます」

2月25日(月)17時0分 文春オンライン


 池上彰さんの連載「WEB悪魔の辞典」では、政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説します!



【ノーベル賞推薦・のーべるしょうすいせん】


 トランプ大統領はノーベル平和賞にふさわしいという推薦。これは悪い冗談か「ほめ殺し」か。


【池上さんの解説】


 2月15日、ホワイトハウスでのトランプ大統領の記者会見で、トランプ大統領は、安倍首相が自分をノーベル平和賞に推薦したと得意げに説明しました。メキシコとの国境に壁を建設する資金を捻出するため非常事態宣言を出し、国内外から批判を受けている中での“反撃”でした。


 トランプ大統領は地球温暖化対策のパリ協定から離脱し、イランの核合意から離脱、中距離核戦力(INF)全廃条約破棄等々、ノーベル平和賞とは真逆の政策を次々に打ち出している中で、ノーベル平和賞に推薦する。まさか「ほめ殺し」ではないかと思いました。



トランプ大統領 ©getty


 過去には、そんな「ほめ殺し」でノーベル平和賞に推薦された人物がいます。アドルフ・ヒトラーです。


 ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発する直前の1939年、スウェーデンの国会議員が推薦しています。皮肉だったのでしょうが、万一ヒトラーが受賞したら、以後の戦争ができなくなったかもしれません。


 念のために言っておけば、トランプ大統領をヒトラー並みに考えているわけではありません。世界から批判が殺到している人物に対する「ほめ殺し」があったこともある、と言っているのです。


 ノーベル平和賞の推薦文は、50年後に公開されます。このとき安倍首相は「先見の明」があったと称賛されるのか、「ほめ殺しの皮肉が効いている」と評価を受けるのか、それとも……。




(池上 彰)

文春オンライン

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