熱湯で「しゃぶしゃぶ」はNG? プロが教えるしゃぶしゃぶの極意

2023年2月25日(土)5時0分 ウェザーニュース

2023/02/25 05:00 ウェザーニュース

寒い日の楽しみ、鍋のなかでも、ちょっと贅沢なしゃぶしゃぶ。家庭で絶品のしゃぶしゃぶを味わう極意を東京広尾の「分とく山」総料理長の野﨑洋光さんに教えていただきます。

しゃぶしゃぶは熱湯ではなく低温で

家庭で作るしゃぶしゃぶは、なぜか今ひとつということはないでしょうか。せっかくのお肉、できるだけおいしくいただきたいものです。
「しゃぶしゃぶは、素材の味をいかす優れた調理法です。肉の脂がほどよく抜けてすっきりとした味になり、ゆで湯の水分も加わることでしっとりした食感になります。鍋1つで、家庭でも手軽に行えます。
ただ、誤解があるかもしれないのが、ゆで湯の温度です。ぐらぐら沸かしたところへ肉を投入してはいないでしょうか。沸騰した湯では肉の繊維がしまり、うまみも流出してしまいます。これではせっかくの肉がパサパサして風味に欠ける仕上がりになってしまいます」(野﨑さん)
湯の温度がポイントとなるのは、肉に含まれるたんぱく質の性質にあります。
「肉は、たんぱく質の間にうまみを含む水分があります。加熱するとたんぱく質は65℃を過ぎると固まり始め、80℃以上になると水分がなくなっていきます。ですから肉の加熱しすぎは、風味を損なうもと。沸騰しているような熱湯に肉を入れると、あっという間にかたくなってしまうのです。
70〜80℃の湯ならばゆっくり火が入って、うまみを含んだ水分を保ったまま、とろけるような口当たりに仕上がります」(野﨑さん)
ただし、あまり温度が低すぎると加熱殺菌できない恐れがあるので、注意してください。肉が赤色に見える部分がなくなるまで加熱しましょう。

プロが教える「しゃぶしゃぶ」

誰でも失敗しないしゃぶしゃぶの調理法を教えていただきましょう。
「鍋に1Lの湯を沸かし、沸騰したら火を止めて300mlの水を加えます。これで湯の温度が約70〜80℃になります。そこへ肉を入れます。
牛肉ならば赤みが残るくらい、豚肉ならば1分〜1分半浸して表面が白くなったら引き上げます。肉の量が多くて湯の温度が下がるときは、弱火で加熱して70〜80℃を保つようにします」(野﨑さん)
冷しゃぶにする場合はつい氷を使いたくなりますが、この冷やし方にも注意が必要です。
「冷しゃぶにするときは、牛肉は引き上げたら水に浸して加熱を止めます。氷水では肉の脂が固まってしまい、うまみを感じづらくなるので、水を使いましょう。豚肉はザルで水気を切り、粗熱をとります」(野﨑さん)
なお、牛肉を味わうには、ある程度厚みがある方が適しているそうです。しゃぶしゃぶ用の肉は薄過ぎることが多いので、牛肉はすき焼き用の肉がベターだと野﨑さんはいいます。
2月末になっても、まだ寒さはぶり返すもようです。温かい鍋を囲み、おいしくヘルシーなしゃぶしゃぶを心ゆくまで楽しみませんか。

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