木の上のモコモコ、実は生き物だった 謎の生物「ヤドリギ」とは

3月2日(火)5時0分 ウェザーニュース

2021/03/02 04:55 ウェザーニュース

木々の葉が落ちている今の時季に、公園などの木の枝でモコモコした塊(かたまり)を見たことがありませんか?それは「謎の生物・ヤドリギ」です。冬はヤドリギが見つけやすい季節です。多いと1本の木に100個体以上が寄生しているのが見られることもあるそうです。

ヤドリギってどんな木?

ヤドリギは漢字で書くと「宿り木」、その名の通り樹木に寄生する植物です。寄生する相手はすべて落葉広葉樹なので、今の時季は常緑性のヤドリギがとても目立ちます。すっかり落葉した樹木の枝に、モコモコした緑の塊があれば、それがヤドリギなのです。
その不思議な生態を千葉県立中央博物館の生態学・環境研究科長である尾崎煙雄(おざき・けむりお)さんに伺いました。
「ヤドリギはユーラシア大陸の温帯に広く分布し、いくつかの亜種に分けられます。淡黄色(たんこうしょく)の実がなる日本産のヤドリギは、中国や朝鮮半島と共通の東アジア亜種です。本州中部以南の平野部ではケヤキ、エノキ、サクラなどによく寄生し、北日本の山地などではナラ、ブナ、シラカバ、ナナカマドなどに寄生します」(尾崎さん)
これらは代表的な例で、ほかにも多くの落葉広葉樹が寄生する相手(ホストと呼ばれます)になるそうです。通常、1本のホストに数〜十数個体のヤドリギが寄生し、大きな株では直径1mほどになります。
「ほかの樹木にくっついたヤドリギのタネは、木の枝で発芽して 胚軸(はいじく)と呼ばれる根っこのようなものを伸ばし、吸盤状になったその先端部から寄生根をホストの樹皮の下に侵入させます。この寄生根を通してホストの養分や水分を奪いながら成長します。ただしヤドリギ自身も光合成をして、養分の一部を自給しています」(尾崎さん)
ヤドリギと見間違えやすいものもあります。たとえばカラスの巣もそのひとつですが、カラスの巣は必ず枝のまたの部分につくられるところがヤドリギとの違いだそうです。

ヤドリギと小鳥との素敵な関係

ネバネバした長い糸状のフンを出すヒレンジャク

では、ヤドリギのタネはどうやってほかの樹木にくっつくのでしょうか。
それはヤドリギの実を好んで食べる小鳥たちによって散布されるのです。代表格は冬鳥として渡来するレンジャク類(ヒレンジャクやキレンジャク)。また、ヒヨドリもヤドリギの実を食べます。
ヤドリギは雌雄別株で、雌株だけが翌冬に直径7mmほどの実をつけます。これらの小鳥たちがヤドリギの実を食べると、タネだけは消化されずにフンとして排出されます。このときタネのまわりのネバネバした成分が長い糸状に伸びて鳥のお尻から垂れ下がります。タネは 地面に落ちると生きられませんが、うまく木の枝にくっつくと寄生のはじまりです。
「あんな高い木の枝に、どうやって寄生するんだろう」という疑問は、これで解決ですね。ヤドリギが淡黄色の実を色づかせるのは、ちょうど今ごろ。それに合わせるかのようにレンジャク類も飛来するので、ネイチャーカメラマンにとっては絶好の時季です。
ヤドリギと小鳥たちの素敵な関係を知っておくと、冬の散歩や自然観察がもっと楽しくなることでしょう。

参考資料など

写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)

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