昭和三陸地震津波から90年 アウターライズ地震の特徴とは

2023年3月3日(金)10時30分 ウェザーニュース

2023/03/03 10:24 ウェザーニュース

今から90年前、昭和8年(1933年)の今日3月3日未明、三陸沖を震源とするマグニチュード8.1の大地震が発生しました。昭和三陸地震と呼ばれる地震です。
当時の基準での最大震度は5でしたが、大津波が発生して20m以上の高さの津波が襲来し被害が発生しました。
昭和三陸地震は「アウターライズ地震」といわれていますが、どんな地震でどんな特徴があるのかを解説します。

昭和三陸地震 プレート境界の遠方で発生

昭和三陸地震は岩手県の沿岸から東におよそ200km、ごく浅い深さの震源で発生しました。三陸沖のプレート境界よりも東側で発生した地震と考えられています。
地震の規模はM8.1と大きかったものの、震源が陸地から遠かったため最大震度5で、揺れによる被害は限定的だったと考えられます。
一方、発生した津波は最大で20mを超える高さで陸地に襲来し、沿岸の町や村を中心に3千人以上の死者・行方不明者をだしました。

アウターライズ地震とは

三陸沖にある日本海溝は、東北地方が乗った陸側の北米プレートの下に海側の太平洋プレートが沈み込むプレート境界に存在します。
アウターライズ地震とは、プレート境界をはさんで陸地より遠い海域(海溝外側)で起きる地震のことです。海溝外側(outer)の隆起部分(rise)で起きる地震という意味です。
プレートは厚さ数10kmから100kmくらいの岩の板で、一直線に沈むのではなく弧を描くように沈んでいきます。このため、曲げられたところの海底寄りの上面部分(赤丸)は引っ張られる力が常に働き、不安定な状態になっています。そのような中、プレート境界付近の地震などにより力のバランスが崩れると、しばらく後にアウターライズ地震が起こることが多いといわれます。
▼先行したプレート境界地震とその後のアウターライズ地震の例
 1896年 明治三陸地震(M8.5)
 1933年 昭和三陸地震(M8.1)
 2004年 スマトラ島沖地震(M9.1)
 2012年 スマトラ島沖地震(M8.6)
 2006年 千島列島沖地震(M7.8)
 2007年 千島列島沖地震(M8.2)
引き金となった先行地震からアスターライズ地震発生までの間隔は数か月〜数十年と大きな幅があり、普通の余震がほとんど収まった時期でも発生することがあります。こういった点で普通の余震とは違う性質があるといえます。

アウターライズ地震の防災上の特徴

アウターライズ地震はメカニズムも特徴的ですが、沖合で発生する地震と共通する防災上の特徴も持ち合わせています。
◆大津波を起こす可能性がある
これはどんな大地震でもそうですが、特にアウターライズ地震の場合は注意が必要です。
東日本大震災を起こしたプレート境界地震は「逆断層」と呼ばれるタイプです。一方で日本海溝東側のアウターライズ地震は「正断層」と呼ばれるタイプの断層が原因です。正断層は逆断層に比べて、海底がずれる角度が急な場合があります。同じ量の岩盤のずれであっても断層の角度が急なほど押しのける海水の量が増えるため大きな津波が起きやすくなります。アウターライズ地震は津波への警戒がいっそう必要な地震といえます。
◆規模の割には揺れが比較的小さい場合がある
アウターライズ地震は陸地からみて海溝の向こう側で起きる地震ですので、必然的に震源の距離が遠くなります。このため、規模の割に陸上での揺れが小さく油断する可能性があります。
しかし、はるか遠くで津波が発生している可能性があるため、沿岸で長くゆったりとした揺れを感じたら、即刻その場から離れ、津波警報などの情報を入手することが重要です。

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