現行の10円玉が“18万円”に大化け! 実は探せば見つかるかもしれない「お宝の10円玉」の特徴とは?
2025年3月16日(日)21時15分 All About
2025年2月9日に終了した「第121回入札誌『銀座』」から、10円玉の落札結果を取り上げます。10円玉がまさかの18万円に化けました。決してきれいであるとは言えず、同じようなものは探せば見つかる可能性があります。いったい、どのような10円玉なのでしょうか? ※サムネイル画像はイメージ
貴重なギザ十だけれど
平等院鳳凰堂が描かれている表面側は、特に普通のものと変わりありません。昭和26年発行の10円玉です。昭和26年から、縁にギザギザのあるギザ十が発行されることになりました。その最初の年号のものであり、ギザ十の中では3番目に発行枚数が少ないことから、流通品でも若干ではあるもののプレミアム価格がついています。ただ、そうはいっても発行枚数が1億106万8000枚も発行されていることから、探そうと思えば探せる10円玉なのです。
それでは、裏面はどうでしょうか?
表面は普通、一方で裏面は……
今回落札された10円玉の裏面はパッと見ると何も変わらない通常の10円玉のようです。しかしながら、商品写真では10円玉の“10”が右側に傾いています。横にずらして写真を撮っただけでは?と思われるかもしれませんが、実はそうではないのです。表面をひっくり返すと、裏面は右に90度傾いて打たれているものなのです。このように表面と裏面の刻印の位置がずれているものは「傾打ズレ」「傾打エラー」といい、れっきとしたエラーコインの一種なのです。
実は古いコインほど傾打ズレのものは見つかっています。今回、手数料込みで18万575円(落札価格は15万5000円)となったのは、ギザ十最初の年号であり、90度傾打であるからといえます。
傾き度合いが大きければ大きいほど価値を生みます。少しズレているものは割と見つかっているように見受けられますが、90度はそう多くないように思います。
未使用であればさらなる高値になる可能性
そしてもう1つ、高値となった理由があります。それは、コインの鑑定結果が出ているものであること。PCGSというコインの鑑定機関から、エラーであるお墨付きを得ているのです。ただし、鑑定では「Graffiti(落書き)」とあり、墨か何かで線が描かれていて、評価が「AU Detail(ほとんど未使用に近いレベルではあるもののダメージあり)」となっています。もし、こうした線がなく、仮に未使用であればさらなる高値となったと推測されます。
この傾打エラーコインは、表と裏をよく確認しないとエラーかどうか分からないため、流通品の中にも紛れ込んでいる可能性があります。特に昭和時代のコインでは現在のような技術はなかったことから、傾打エラーのものが見つかる可能性があります。
自分で1つひとつ地道に探すと大変な作業とはなるものの、少しでも変だなと思ったらエラーコインの可能性がありますので、コイン業者に見てもらうといいでしょう。
<参考>
銀座コインオークション「第121回入札誌『銀座』」 Lot番号:429 0円青銅貨 昭和26年 右90度傾打 PCGS(Graffiti-AU Detail Mint Error)
伊藤 亮太プロフィール
慶應義塾大学大学院商学研究科修了。一般社団法人資産運用総合研究所代表理事。ファイナンシャルプランナーとして、家計・保険等の相談、執筆、講演、大学講師を主軸に活動。大学院時代の専門は社会保障で、経済・金融に関する解説も得意。コイン収集マニアの一面も。(文:伊藤 亮太(株式・ファイナンシャルプランナーガイド))