はあちゅう、女銭湯絵師炎上に見る「美人だから何をしてもいい」わけじゃないだろう問題

4月4日(木)6時0分 文春オンライン

 はあちゅうこと伊藤春香さんの妊活フェイク問題については、結構いろんな人から物凄い賛否両論が出ております。


「妊活フェイク」とは、はあちゅうさんが「旦那さんでAV男優であるしみけんさんが子どもを欲しがらないのを説得したけど子どもができないので妊活を始めました!」とブログやTwitter、Instagramなどで妊活関連記事を書いていたにもかかわらず、そのころにはすでに妊娠していたため、妊活記事自体が嘘んこではないかという疑惑が向けられている、という形であります。


可哀想な属性を乗っ取る「属性ジャック」


 また、はあちゅうさんは時として「可哀想な私」を演出するために、あるときはセクハラ被害者を、あるときは妊婦を標榜して自身への批判を「セクハラ被害者なのに叩くな」とか「妊婦なのに中傷される私は可哀想」というような態度を取るように見えます。それは単にセクハラ被害者や妊婦だから批判されているのではなく、はあちゅうさんが出鱈目な言動を繰り返すので、はあちゅうさん本人が自業自得で批判されているわけで、セクハラ被害者や妊婦と言った可哀想な属性を乗っ取る「属性ジャック」を繰り返すあたりに、はあちゅうさんの高いコンテンツ性があると言えます。


はあちゅう(伊藤春香)が懐妊も、妊娠してから妊活宣言した疑惑での炎上に見る「かわいそう属性ジャック」

https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20190330-00120278/


「どうにもしてやれない辛さ」に立ち向かう女性たち


 女性に人気の書き手が女性にウケるネタを作るにあたり、女性の、夫婦の人生として一大事である妊娠の話題を扱うのは王道であり、それ自体は別に構わないのです。「どうしても子どもが欲しくない」という女性もいれば、逆に「夫婦で頑張っているけどなかなか子どもが授からない」と嘆いている女性もいます。でも、出産はやはり一大イベントであり、それに立ち向かう女性が大きいお腹を抱えて期待と不安で思い悩む姿というのはひとりの男として応援したい。



©iStock.com


 だって、男からしたら、家内が妊娠して、日に日に大きくなる赤ちゃんをお腹に抱いてヨタヨタ歩いているのを見て「どうにもしてやれない辛さ」ってのがあるわけですよ。それは、愛する家内だろうが、満員電車に揺られている妊婦さんだろうが、ネットで余計なことを書いて炎上しているはあちゅうさんだろうが関係ない。子どもを産むというのは神聖なことであって、とにかく健康な赤ちゃんを無事に産んでほしい、母子ともに健康であってほしい、そして未来を背負って生きていく子どもたちに希望を与えるような家庭を築いてほしいと願うわけじゃないですか。



「大きいお腹」を巡る人間ドラマは、本当に凄い


 だからこそ、確かに書き手、作家として妊娠というのは「おいしい」し、でもそれ以上に無事に出産を終えてほしいと思うからこそ、はあちゅうさんのInstagramやnoteを見て「おっ、順調そうやな。良かった良かった」と眺めていたいのです。こんなにWIN-WINなコンテンツも珍しい。


 西原理恵子さんの『毎日かあさん』や、川崎貴子さんの『我がおっぱいに未練なし』とか、鈴ノ木ユウさんの『コウノドリ』なんかは、そういう母親とまだ見ぬ子と伴侶や関わる医師やおっちゃんなどなど、いろんな人間模様が「大きいお腹」を巡ってドラマを起こす。これは本当に凄いことだと思うわけですよ。だからこそ、どういう経緯であれ、生まれてくる赤ちゃんは無事であってほしいし、作家がテーマにするにしても、その赤ちゃんを巻き込まないように細心の注意を払っておくべきだと思うんですよね。



『妊活』女性という弱い立場を属性ジャックしているのか


 その点では、確かにはあちゅうさんも「妊活」をしていたのだろうし、その「妊活」をモチーフに記事でも本でも売ってやろうという目論見はよく分かります。しかし、妊活はじめて早々に新しい命をお腹に宿したのなら、順調なことは順調として、そのまま妊娠しましたと発表すればみんな祝福したと思うんですよね。でも、妊活して、頑張って、でも子どもが授からない、悩む、苦しい、みんな共感して! って話を無理に引っ張ろうとして演出めいた嘘をぶちかますから、あっという間にバレて「妊活フェイクやめろ」とか批判されてしまうのでしょう。


 だって、大きくなるお腹と、つわりや安定期までの不安さ、生活の不自由さ、それでも夫婦で寄り添って出産まで頑張ろうねって話だけでも、充分コンテンツになるはずです。みんなも暖かく見守ってくれることでしょう。でも、リアルタイムで見ていて応援するつもりでいた側からすれば「なんだよ妊活フェイクかよ」と思ってしまうともったいないですし、はあちゅうさんへの批判が沸き起こった際に、彼女が機敏に「妊活している人が妊娠したら裏切りと思われる」ようなことを書いてしまったのを見ると「おまえ、そこでまた可哀想な自分を演出するために『妊活』女性という弱い立場を属性ジャックしているのか」と思ってしまうのです。


 そして、はあちゅうさんの過去の経緯からすれば、あれだけ童貞を批判しておきながら #MeToo ではセクハラされた女性の立場を演じ、自身の運営するサロンの参加者に対価を払わずに仕事をさせ、そのサロン内で男性参加者によるレイプ騒ぎを起こして告発されるなどの話題を振りまいてきました。今回もその被害者っぽい属性をどこまでガチだと思えばいいのか、よく分からんなあとは感じます。



 妊娠が判明してからも繰り返し妊活記事を投稿して、炎上。炎上してアメブロ1位になって喜ぶ一方、読者を誤解させたと罪悪感を表明しつつも「妊活始めた直後に妊娠しちゃって不妊様から叩かれてる可哀想な私」ってうまく被害者属性に憑依しているんですよね。さらに、今度は「マタニティマーク付けていた友人が知らない男につきとばされた」とかいう、嘘松なんだかガチなんだか容易には判断できないネタをはあちゅうさんはぶっ込んできます。コンテンツというのはそういうものだと思いつつも、生まれてくる赤ちゃんがみんなから祝福されるように告知したほうが良いであろうし、なぜこんなサイコパス的な言動に見えることをしてしまうのかは謎です。


 はあちゅうさんは「私は中傷されて傷ついている」と言いたいのかもしれませんが、真面目に辛く苦しい妊活や不妊治療に取り組んで一喜一憂している女性とその伴侶のことを考えると、簡単に子どもや命のことをネタにするのもどうなのかと思ってしまいます。



それなりに黒煙が立ち上っていました


 そこへ来て、銭湯絵師に弟子入りしたとされる、モデルの勝海麻衣さんも思い切りパクリ疑惑が暴露されて、それも一度や二度ではないとのことで無事に炎上しています。久しぶりにパブリシティが大コケして大炎上した事例を見ました。どうも手掛けていたのはPR会社のサニーサイドアップのようで、10年越しに「ほっとけない世界のまずしさ」のホワイトバンド騒動を思い出しました。


 今回のパクリ騒動の元になったのは大正製薬の新炭酸飲料「RAIZIN」のプロジェクトで、クソをつかまされた大正製薬も可哀想だなと思うので、どっかで「RAIZIN」があったらご愁傷様でしたという気持ちを込めて浄銭を投じたいと存じます。


銭湯絵師の勝海麻衣氏が盗作疑惑で大炎上 “原作者”も激怒「納得できるわけない」

https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/1326571/


パクリ銭湯絵師の勝海麻衣さん、プロモの邪魔になる兄弟子の湯島ちょこさんを排除していた事が判明し大炎上 - NAVER まとめ

https://matome.naver.jp/odai/2155417341894276401


 さらには、この勝海さんのプロモーション開始よりも前に姉弟子として入っていた女性を都合が悪いからと追い出していた疑惑まで出てくるわ、他にもパクリ絵があったなどの暴露も相次いで、それなりに黒煙が立ち上っていました。もうここまでくると「美人は得だ」とか「売り出すからには多少の設定バレはOK」みたいなレベルとは異なる一線を軽々と超えてきているようにも思います。



コンテンツとしての美しさを目指すための虚構


 はあちゅうさんにせよ女銭湯絵師にせよ、炎上商法のつもりがあるのかどうかは別にして、とにかく「名前を売りたい」という本人や周辺の野望が高すぎるんじゃないでしょうか。売り出すにあたって、当然その辺にいる無名の妊活女子や華のない美大生とか銭湯絵師などは利用したり蹴散らす対象であって、結局はみんな商売なんだろうなあと思うわけであります。


 そういう他人を押しのけるようなプロセスを進めるにあたって、美人やカリスマであれば何をしてもいいのか、人垣となる信者が増やせればどういう方法も許されるのか、という問題意識を感じます。なんというか、プライベートをテーマにして売り出していく、人の生き様がコンテンツですと言ったとき、そこにどこまで欺瞞が許されるのか、コンテンツとしての美しさを目指すための虚構も仕方ないとされるのかは、かなりデリケートな目分量のところがあるわけですよ。それ、インチキなんじゃねえの? と。



愛されるだけではいけない。燃えてこそ、コンテンツ。


 そして、1か月も経てばみんな怒りも冷めて、他の話題に移っていくでしょう。いっときは、みんな忘れてくれます。あんなに「アンチだ」「批判だ」「罵倒だ」がネットに充満していたのも、過ぎれば嘘のように霧が晴れます。でも、そこからまた野心を滾らせて燃えた山からにょきにょきと新芽が出て欲望の森にまで復活できるのかどうか。その人に本当の実力があったのか、単なる大人の事情で売り出されただけの存在であったのかが分かる日が来ます。カロリーを維持できる人は何度でも立ち上がり、火災を起こし、天高く煙を噴き上げて灰燼に帰しても、また再び可燃性の幹や枝が大地を覆うのです。



 愛されるだけではいけない。燃えてこそ、コンテンツ。アンチと信者が本人を巡って言い争いをし、批判と擁護が交錯する状況そのものが売りになる世界がネット社会なのだとするならば、女性最大の資産である「美しさ」だけが賞味期限を超えて人々を楽しませることのできる桃源郷もこの焼け野原の向こうにあるのでしょうか。


人が精いっぱい生きた証の、その先


 ただまあ、くれぐれも生まれてくるお子さんの人生そのものまで左右するような燃え方をしないほうがいいだろうと思いますし、売り出す側もその子の実力を見極めてしっかりと固めていかないと何度でも下手を打って炎上することになります。ましてや、妊娠など初期流産も含めて切迫早産に流産死産は本当に起き得ます。まさかと思いますが、妊娠していなかったのに流産してしまいましたというコンテンツにして可哀想な属性を売りにすることはないでしょうけれども、妊婦はちょっとしたストレスで大変なことが起きてしまうので、無理なく最後まで母子健康で生まれてきてほしいと願っています。


 また、担がれて銭湯絵師で売り出されたにせよ、これを糧に自分なりの作風を編み出し、何か見返せるだけの作品にまで昇華させられる日が勝海麻衣さんに来ることを祈ります。その境地に辿り着くまで、何年かかったっていいじゃないですか。炎上した経験があるからこそ、そのとき指さして笑った人たちを見返せることもあるのは真理ですが、それは燃えても頑張った、大事にしてくれる人と復活に向けて努力したときだけだと感じます。



 人が精いっぱい生きた証として燃え焦げた黒歴史があったのだとしても、笑って振り返ることのできる余裕を持てる日が来るといいと願っています、かなり本気で。ああいうやらかしによる苦難があったから、いまの自分があるのだ、と言える日が。



(山本 一郎)

文春オンライン

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