二ホンタンポポ(在来種)とセイヨウタンポポ(外来種)の見分け方
2023年4月16日(日)5時10分 ウェザーニュース
2023/04/16 05:00 ウェザーニュース
道端で黄色い可憐な花を咲かせて春の到来を告げるタンポポ。今年もあちこちで見かける季節となりました。
日本で見られる代表的なタンポポは、二ホンタンポポ(在来種)とセイヨウタンポポ(外来種)です。さらに、その雑種もあるといいます。それらの見分け方を、日本花の会 研究員の小山徹さんに伺いました。
二ホンタンポポとセイヨウタンポポの特徴
タンポポはごく身近な花ですが、どのような種類があり、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
「タンポポはキク科タンポポ属の植物で、原産地はヨーロッパです。多年草で日当たりのよい野原や田んぼの畔や草地に生えます。タンポポの種類は、大きく在来種と外来種に分けられます。
在来種はエゾタンポポ、カントウタンポポ、カンサイタンポポなど22種類あります。種子は比較的少な目ですが大きく、風に乗って飛ばされると地上に落下しても秋までは発芽しない性質を持っています。
夏場は自らの葉を枯らして根だけを残した休眠状態(夏眠)になり、秋に再び葉を広げて越冬します。日本の自然環境に合わせた生活サイクルを身につけているといえるでしょう。
外来種はいろいろありますが、海外から入ってきた黄色いタンポポはすべてセイヨウタンポポと総称されています。個体と花粉を交雑(こうざつ)しなくても種子をつくることができるため、繁殖力が極めて強いのが特徴です。
また種子が小さく発芽するときの芽も小さいので、他の植物が生えないような都市化された環境でも生育でき、豊かな自然環境が残るところでは生息が難しいといわれています」(小山さん)
二ホンタンポポとセイヨウタンポポの見分け方
二ホンタンポポとセイヨウタンポポは、どこを見れば見分けられるのでしょうか。
「最大の違いは、花のつけ根にある総苞片(そうほうへん)の形です。セイヨウタンポポは総苞片の外片が下に反り返っていますが、二ホンタンポポは上向きで内片に付いています」(小山さん)
よく見られる場所にも違いがあるのでしょうか。
「繁殖力が強いセイヨウタンポポは、ほぼ日本全域に分布しています。都市化によって造成された土地に、よく見られます。
里山のような昔ながらの土地に分布しているのが二ホンタンポポです。昔から環境が変化しにくい寺社仏閣の境内や昔からの田畑で見られます」(小山さん)
在来種と外来種の雑種もいる!?
在来種と外来種の雑種もいるのでしょうか。
「最近では在来種と外来種の雑種が、非常に多くなっています。環境省が行った「緑の国勢調査(2001年)」で全国の市民から集められたサンプルを調査したところ、雑種のタンポポが全国に広がっているという結果が得られました」(小山さん)
雑種の中には総苞片の反り返り具合が弱く、在来種と間違いやすいタンポポもあるそうです。こうした反り返りが弱いタンポポは、より在来種の特徴が出ている雑種で、反り返りが強いタンポポは、より外来種の特徴が出ている雑種であるといいます。
二ホンタンポポは春に咲き、セイヨウタンポポは春から秋まで咲き続けます。春以降、私たちの暮らしを彩ってくれる黄色い花を、ときには立ち止まってじっくり観察してみてはいかがでしょう。