終末期医療 本人の意思生かす体制作りを

4月17日(火)6時0分 読売新聞

 人生の最終段階で、いかに本人が望む医療・介護を提供し、その人らしい最期を迎えられるようにするか。超高齢社会が到来した今、国民全体で考えねばならない課題だ。

 厚生労働省が11年ぶりに改定した最終段階の医療・ケアに関する指針は、本人が医療・ケアチームや家族らと事前に繰り返し話し合う重要性を強調する。内容を毎回、文書に残すことも求めた。

 終末期をどう過ごすか、という判断は人生観や価値観と密接に関わる。途中で思いが変わることもある。欧米では、話し合いのプロセスを重視する手法が普及しつつある。本人の意思を的確に把握し、尊重するための取り組みだ。

 指針は、本人が意思表示できない場合に備え、信頼できる家族など、判断を委ねる人を決めておくようにも提唱している。

 人生の最終段階は、いつ訪れるか予測しがたい。認知症や独り暮らしで意思確認の困難な高齢者も増えている。救急医療の現場では、本人の意思が分からず、望まぬ延命治療につながる例も目立つ。

 最期をどこで迎えるか。どこまでの治療を望むか。元気なうちから考え、周囲と認識を共有しておく必要性は高まっている。

 こうした話し合いを実際にしている人は4割、文書を作った人は1割にも満たない。高齢者の多くは自宅での最期を望んでいるが、8割近くが病院で亡くなる。

 政府は、超高齢社会に適した医療・介護体制の構築を進める。看取みとりの場も在宅や施設に広げる方向だ。病院だけでなく、家族や在宅ケア関係者も終末期の患者と向き合うことになる。それを踏まえた体制作りが大切だ。

 在宅医療・介護の現場では、終末期の希望を会話の中で繰り返し尋ねる試みも始まっている。希望を記すノートを作成し、住民に配布している自治体もある。

 留意すべきは、自分の死を考えることに抵抗を覚える人もいる点だ。周囲への気兼ねから本音を言えない場合もある。無理に選択を迫るようでは、本末転倒だ。

 本人の不安や迷いを理解し、思いをくみ取りながら意思決定を支援する。それができる医療・介護人材の育成が欠かせない。

 受け皿となる終末期の医療・介護サービスを質、量ともに充実させることも課題である。

 延命治療の抑制を通じた医療費削減が目的であっては、国民の理解は得られまい。あくまで本人の意思に沿った最善策を選ぶことを主眼として、慎重に進めたい。

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