歴史的変革期を迎えた日本の教育

4月19日(木)6時10分 JBpress

熱中小学校の東京分校で授業を行った内田洋行の大久保昇社長(2018年4月14日)

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 4月14日、伊那食品工業の塚越寛会長が校長を務める「信州たかもり熱中小学校」(参照「トヨタの師匠、小学校の校長に」)が開校した。2015年に山形県高畠町から始まった熱中小学校のプロジェクトは、ここで9校目となった。

 一方この日、東京では熱中小学校の始まりから現在に至るまでの発展をつぶさに記した「地方創生“熱中小学校”の果てしなき挑戦 もういちど七歳の目で世界を・・・」(滝田誠一郎著、辰巳出版)の出版記念講義が内田洋行の本社で開催された。


迫力あふれる理科授業

 著者である滝田氏による熱中小学校誕生の裏話、プロジェクトに関わってきた人たちの様々な人間模様や心の葛藤などが紹介された。

 また、記念講義として内田洋行の大久保昇社長の理科の授業が行われた。

 大久保社長は、時に白衣をまとい、AV機器を駆使して地球にいるユニークな生物の生態を分かりやすく、また面白く紹介。

 さらに自社の社員で博士号を持ち、自席の上でミドリムシを育てているという社員を登場させ、ミドリムシについて詳しく紹介した。

 顕微鏡上のシャーレの上で泳ぐミドリムシが、何千倍もに拡大されてスクリーンに映し出され、その迫力に会場の聴衆からはどよめきが起こった。

 何十年も前に受けた小学校の理科の授業とは違う何かを感じたようだった。それは、授業のやり方次第で、子供たちに与える刺激が大きく異なり、いかに理科に興味を抱かせることができるかを暗示しているようでもあった。

 実際、教育論に詳しい大久保社長は、理科の授業と並べて、日本でいま進んでいる教育改革についても詳しく紹介した。

 その中でとりわけ強調していたのが英語だ。

 文法や読み書き中心だったこれまでの英語の授業から、実際に聞いて話して理解する、コミュニケーション中心の授業へと本格的にシフトしてくという。


大変革の英語、大学入試からはなくなる?

 大学入試では、欧州を中心に行われている英語能力の検定を使うことで、独自の英語入試は行わない大学も出てくるのではないかと示唆していた。

 日頃、新聞やテレビで報道されることが少ない教育改革の進行状況が分かりやすく紹介され、熱中小学校で授業を聞きながら、教育とは何かを深く考えさせられるものでもあった。

 今回の記念授業で最後に登場したのが墨田区でTシャツメーカーを経営する久米繊維工業の久米信行社長。

 久米氏は慶応大学を卒業した後、ゲームソフトメーカーのイマニジアに就職、人気ゲームソフトとなった「松本亨の株式必勝学」の開発などに携わった後、日興証券に転じ、「AI資金運用・相続診断システム」の開発などを手がけた。

 その後、家業のTシャツメーカーの3代目社長となり、熱中小学校では東京分校の用務員を務めている。

 用務員という肩書はその名前から受ける印象とは全く異なる。

 熱中小学校のプロジェクト全体を取りまとめる重要な役割で、熱中小学校の生みの親である元日本IBM常務の堀田一芙氏によれば「用務員の上に人を作らず、用務員の下に人を作らず」だそうだ。


地方へ移住したいなら熱中小学校

 その久米用務員は、東京分校の役割を熱く紹介していた。「東京分校は各地にある熱中小学校のゲートウェーですから」(久米氏)と言い、東京から地方へ移住したい人たちを様々な面でサポートするという。

 東京から地方へ移住を考えている人がいたら、住みたい地域へ直接問い合わせるのもいいが、熱中小学校という日々強力になりつつある人的ネットワークを持つこのプロジェクトを利用してみるのも手だと思う。

 移住を考えている人は素晴らしい自然を求めてのことだと思うが、住み始めてからの人間関係もまた重要だからである。

 今回の記念授業では、東京分校の教頭である澁谷哲一・東京信用金庫会長が地元が生んだ天才、葛飾北斎の法被を着て登壇した。

 信用金庫と言えば地域の金融を支える存在で、「熱中小学校の教頭を依頼されたとき、地域振興のために受けない選択肢はなかった」と話す。

 北斎の法被はこの日のために新たに作ったものだという。法被一つをとっても熱中小学校への期待が強く表れているようだった。

筆者:川嶋 諭

JBpress

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