豚コレラで殺処分のブタの血、川に流れ込み赤く染める…県は「有害物質含まれない」と公表せず

2025年4月19日(土)7時26分 読売新聞

 前橋市の養豚場で2月に豚への感染が確認された家畜伝染病「CSF(豚熱=とんコレラ)」について、防疫措置の最中に殺処分した豚の血液を含む体液が河川に流出していたことが、群馬県などへの取材で分かった。県は有害物質は含まれていなかったと説明するが、「あってはならないこと」として再発防止を徹底する。

 関係者によると、前橋市内の利根川や広瀬川などの漁業権を持つ群馬漁業協同組合(前橋市)の職員が巡回した2月28日、河川に赤い液体が流れ込んでいるのを発見した。漁協は豚熱が発生した養豚場を把握していなかったが、組合員から河川に異常があると連絡があり、見回りをしていた。

 現場を撮影した画像では、排水溝から河川に流れる水が赤く染まっている様子が確認できる。殺処分した豚を埋めた場所の地下にある排水パイプから伝わったとみられる。

 県によると、殺処分した豚は袋に入れてブルーシートを敷いた穴に埋めたが、豚の爪などでシートが破損し、体液が漏れた可能性がある。漁協側の通報を受けた県は河川につながる排水パイプを閉鎖。迂回うかいする別のパイプを設置し、上流からの水が埋却地を通過しないようにした。

 県家畜防疫対策室は「想定外。繰り返さないようにする」として、今後は埋却地の選定に注意する。体液に豚熱のウイルスが含まれる可能性については、埋却時に消石灰をまいたため、「ウイルスの不活化で感染力はない状態になっている」と説明。人体に有害な物質が含まれていないため、公表しなかったという。

 ただ、漁協側には目撃者から「気持ち悪くなって近づくのをやめた。安全な川か」などの問い合わせも複数あった。同漁協管内には年間延べ約2万人の釣り人が訪れ、今月20日には付近でヤマメやニジマスの放流も予定するが、漁協は風評被害も懸念している。

 漁協は豚の排せつ物に含まれるアンモニアの影響も不安視するが、県は水質検査で異常はなかったとしている。漁協の岩崎広志組合長は「起きたことはやむを得ないが、県はきちんと公表、説明して再発防止を図るべきだ」と話した。

 県の発表によると、この養豚場では2月21日に豚熱の感染が確認された。28日にかけて7944頭を殺処分し、防疫措置は3月10日に完了したとしている。

 豚熱の殺処分を巡っては、2023年9月に佐賀県唐津市でも埋却場所付近から血液を含むとみられる液体の漏えいが確認された。近くの河川にも流出し、同県はオイルフェンスなどを使って対応した。

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