「備蓄米」を見分ける方法ってある? ポイントは袋の裏面に書いてある“2つの表示”【専門家が解説】

2025年4月20日(日)20時25分 All About

日本人の主食である米の価格高騰が続いています。政府は備蓄米を放出しましたが、いまだ値下げを実感できないという声も聞こえてきます。今回は、「備蓄米の素朴ギモン」について、宇都宮大学農学部助教の松平尚也が解説します。

米価格の高騰が続いています。政府は対策として「備蓄米」を放出しましたが、SNSではまだその効果を感じられていないといった声も……。今回は備蓄米の素朴なギモンについて、宇都宮大学農学部助教の松平尚也が解説します。

備蓄米を見分ける方法はありますか?

【今回の素朴なギモン】
私のよく使うスーパーはまだ米の価格が高いままなのですが、備蓄米はいつ店頭に並び始めるのでしょうか。また、備蓄米を見分ける方法はありますか?

そもそも「備蓄米」とは

【回答】
まず「備蓄米」について、解説しましょう。備蓄米の制度は、1993年の米騒動をきっかけに始まり、深刻な米の不作や災害時に対応するため約100万トンの米が備蓄されてきました。毎年20万トンずつ備蓄され、5年分の備蓄米が全国の300の倉庫で保管されています。
これまで東日本大震災や熊本地震のときに放出されてきました。“令和の米騒動”で米価格が高騰する中、2025年1月に運用ルールを見直し、流通の円滑化を目的として放出できるようルールが変更されました。

備蓄米はすでにスーパーに並び始めているけれど

備蓄米の販売は3月末から大手スーパーや生協で始まっています。ただ備蓄米の供給においては、大手小売店や学校給食や外食・業務加工用といった年間契約をしている所にまず出回っており、中小のスーパーや米屋では入荷の情報もない状況です。
備蓄米が放出された後でも米価格が高止まりしており、中小の小売店では卸から値上げの連絡も来ていると言います。流通の関係者の間では、国産米はまだ不足しているというのが実感です。
その中で輸入米を取り扱いし始める小売店も出てきています。外食産業やコンビニでは、輸入米の利用が始まっており、知らない間に輸入米を食べている人も多いでしょう。
いずれにせよ備蓄米が広く出回っていないため、米価格の下げ材料となっていない現状があり問題です。広く消費者が手に取ることができる備蓄米の仕組みづくりが必要な状況です。

備蓄米とそれ以外の米を見分ける方法

備蓄米はそれと表示されず販売されていますが、米袋の裏を見て「国内産・複数原料米」と表示され精米した時期が「3月末以降」であれば備蓄米である可能性が高いと言えます。
また備蓄米はこれまで主に販売されてきた単一の銘柄(種類)の米と比べると価格が1〜2割ほど安いという特徴も見分けるポイントとなります。
ただし最近は、国産米である備蓄米だけでなく、「輸入米」や「輸入米と国産米のブレンド米」の販売も始まっており、米袋の裏面をよく見て中身を確認する必要があると言えます。
輸入米の多くは、中粒種や長粒種が多く、短粒種の日本の米とは種類も食味も異なります。輸入米と国産米のブレンド米では、少しでも日本の米の食味に近づけようと取り組みがなされ販売されています。ぜひいろいろな米を食べて好みの味を見つけてみてください。
【この記事の筆者:松平 尚也】
宇都宮大学農学部助教。持続可能な食料や農業について研究。実際に農業に従事してきた視点を生かし農業政策全般についても研究・情報発信している。専門分野のキーワードは、アグロエコロジー・有機農業・食と農の社会学。
(文:松平 尚也)

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