「破損なら弁済を」同意書を要請→半数が入館せず 新潟のレトロ博物館、それでも意義強調「効果あった」

2025年4月21日(月)18時24分 J-CASTニュース

新潟県出雲崎町内の博物館「出雲崎レトロミュージアム」が、入館者に対して「展示品を破損させたら弁済願います」などとする同意書へのサインを求めたところ、入館せずに帰る家族連れが多かったとXで明かし、話題になっている。

この博物館では、昭和時代の街並みを再現しており、入館者は、タイムスリップしたような体験を楽しめる。

展示品壊せば、「警察に被害届」

2023年12月にオープンした後は、中野賢一館長が30年以上かけて集めた懐かしいおもちゃなど数千点を展示していた。ところが、子どもが展示品を壊したり、持ち帰ったりする被害が相次ぎ、24年12月には、注意された親から「子供が触れられるようにしている方が悪い」などと反論されることがあった。

中野館長は、心が折れたとして、翌25年2月3日に一時閉館し、4月4日からは、おもちゃから展示替えして、大人の博物館としてリニューアルオープンさせた。

子どもも入館できるものの、中学生以下については原則、親が入館同意書にサインすることを求めている。

そこでは、射的やガチャガチャなど以外では展示品に手を触れず、「常に子供から目を離さない事を約束いたしますか?」と同意を求めた。そして、「万が一展示品を触っていたり、破損した場合は即時退館、時価総額での請求となります」とし、館内には防犯カメラが12台設置されており、展示品を壊したことを自己申告しないときは「警察に被害届を出します」としている。

この同意書について、出雲崎レトロミュージアムは20日、「サインするのが嫌で 入館せずに帰る家族連れが多い」などとXで報告した。

この投稿は大きな反響を呼び、様々な意見が寄せられている。「他人のを壊したら弁償するのは当たり前」「最低限の一定の"ふるい"は必要」「魔除けが効いてると思いましょう」などと同意書の要請に理解を示す声が多かった。

同意書導入について、中野館長は21日、J-CASTニュースの取材に対し、以前よりも家族連れが7〜8割ぐらい減り、高齢者の数が多くなったと状況を説明した。

「展示品の大きな破損は、ゼロに近いですね」

「同意書を書かせるような博物館がほとんどありませんので、『なんでこんなのを書かんといけないのですか?』と言われることがあります。同意書の存在を知らない方も、何組かおられますね。同意書を求めたところ、昨日までの週末は、家族連れで半分の方が帰られました。4、5歳ぐらいですと、加減が分からず、親も人によってはリスクを分かっているので、止めておこうとなるのだと思います」

その結果や展示替えもあって、以前は、1日400人以上が入館していたが、リニューアル後は、半分以下になってしまったという。

ただ、中野館長は、それでもメリットがあると強調する。

「展示品の大きな破損は、ゼロに近いですね。入館者は、子どもにしっかり教えているので、効果があったと思います。以前は、派出所へ相談に行って、度が過ぎたケースは、警察に被害届を出したことが1、2回あります。しかし、リニューアル後は、被害届を出すようなことはまったくなく、防犯カメラの映像チェックもしていません」

「子どもを締め出している」などと意見が来るが、そんな考えはないという。

「すぐに切り替えるのは難しいですが、順を追って、子どもも楽しく遊べるようにどうするか考えています。インベーダーゲームなどテレビゲーム系も規制解除しており、効果を見極めなければいけないと思っています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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