動画拡散で波紋、万博で警備員はなぜ土下座したのか 万博協会が明かした意外な経緯
2025年4月22日(火)18時10分 J-CASTニュース
開催中の大阪・関西万博の会場内で、男性警備員が客の男性に土下座する様子を撮った動画がテレビニュースで取り上げられ、カスタマーハラスメントではないかと波紋が広がっている。
警備員が土下座した前で、ピンク色のカバンを左肩にかけた客の男性が、腕組みして立っている。
駐車場の場所が分からず、客に案内所を教えると...
男性が何か大声を出すと、警備員は、右手に帽子を持って、両手を地面に着こうとした。すると、男性は、怒鳴り声を上げた。「誰も土下座なんか...」などと言っているようにも聞こえる。
警備員は、両手を着いて男性に頭を下げ、立ち上がったところで映像が終わっている。
この動画は、フジテレビ系のウェブ版ニュースが2025年4月21日に記事で取り上げた。
その報道によると、17日の16時ごろ、会場西ゲートの出入り口付近で、男性の怒鳴り声を聞いた別の客が動画を撮影したという。男性の家族が来て、男性は立ち去ったといい、家族は、警備員に対して申し訳なさそうな様子だったとしている。撮影者は、「土下座しろ!」と大声が聞こえたともいう。
その後方には、別の警備員らしき男性がいて、2人の様子を見ていた。
もし男性が土下座を求めたとすると、過去には、強要などの疑いで逮捕されたケースがいくつか報じられている。
現場は、一体どのような状況だったのだろうか。
大阪府や国でつくる主催者の日本国際博覧会協会(万博協会)の広報報道課は22日、J-CASTニュースの取材に対し、報道通りに警備員が土下座した事実は認めた。
その説明によると、客の男性からは、万博から帰るに当たって、シャトルバスで会場を結ぶパーク&ライドの駐車場はどこにあるか警備員が聞かれたことがきっかけだった。
この警備員は、正確な案内ができず、駐車場が分かるスタッフがいるデジタルサイネージ(電子看板)の場所を教えた。
身の危険を感じて自ら土下座した、と警備員は説明
ところが、男性は、「なぜ分からないんですか?」と警備員を詰問し、警備員は、「申し訳ありません」と謝罪して、再度デジタルサイネージの場所を教えた。
この男性は、その場所へ向かったが、警備員が無事に行けるのか確認しようとしたところ、男性は、大声を出して詰め寄って来た。警備員が男性をにらんでいると見られてしまったといい、警備員は、身の危険を感じて、その場で自ら土下座したというのが経緯だという。
「土下座しろと言われたわけではないと聞いており、自らの意思でしたということです。強要などはなかったと考えています。周囲にも警備員はいましたが、傍観していたとは聞いていません。その後に鎮静化しましたので、警備員は、特に報告しなかったということでした」
土下座した警備員は、警察に被害届を出す意向はないという。万博協会では、同様な事案の発生を防止する観点から、大阪府警の会場警察隊に今後の対応を相談している。
男性への警備員の対応については、こう説明した。
「駐車場の場所が分からないとして、デジタルサイネージを案内した対応は、適切だったと考えています。土下座については、特に定めていませんが、警備員が突発的に取った行動だと聞いています。これが適切かどうかについては、特に判断していません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)