健康に不可欠な紫外線、正しく付き合うには?

2019年4月22日(月)6時45分 ウェザーニュース


2019/04/22 06:43 ウェザーニュース

そろそろ紫外線が気になる季節。実は、4〜9月までの半年で紫外線の量は1年間の70〜80%になります。
皮膚ガンや老化促進、美容の大敵など、悪いイメージが先行しがちな紫外線ですが、適度に浴びると体に良いという研究も少なくありません。
紫外線と正しく付き合えるよう、性質をおさらいしましょう。

そもそも紫外線とは

太陽から地球に届く光は赤外線、紫外線、可視光線(目に見える光)に分けられます。
可視光線には、波長の短い順に紫、藍、青、緑、黄、橙、赤とありますが、紫よりも波長が短い紫外線は目に見えません。

太陽光の種類。数字は波長で単位はnm:ナノメートル(気象庁ホームページより)

その紫外線(UV)は波長の長さによって3種類に分類され、波長の短い順に「UV-C」「UV-B」「UV-A」と呼ばれています。種類によって性質が違うので、それぞれがもたらすダメージを知ることで、日焼け止め選びの参考になります。

紫外線の種類

UV-C
大気圏(オゾン層)などに全て吸収され、地表には届きません。
UV-B
ほとんどは大気圏で吸収されますが一部は地表に到達し、人体に悪影響を及ぼします。皮膚細胞のDNAを傷つけるなど、主に皮膚や目の表面に作用し、炎症・シミの原因となります。また、皮膚ガンも「UV-B」との関連が指摘されています。日焼け止めの効果はSPF(Sun Protection Factor)で表示されます。
UV-A
波長が長いため皮膚の奥深くまで到達し、真皮にあるコラーゲンなどを破壊することで、しわ・たるみなどの原因となります。また、一部は目の奥にある水晶体や網膜まで到達するので、白内障の原因と考えられています。日焼け止めの効果はPA(Protection grade of UV-A)で表示されます。

健康には不可欠な紫外線

悪影響ばかり注目されがちな紫外線ですが、実はビタミンDを生成する効果もあります。皮膚に「UV-B」が照射されるとビタミンDが皮下でつくられるのです。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨の形成や筋力を高める効果が広く知られていますが、その他にもガンや感染症、糖尿病などの予防にも働いているといわれています。
ビタミンDは食事から摂取できますが、食事だけから必要量を摂るのは容易ではありません。そのため、多くの人は1日に必要ビタミンD(1日400-1000単位、10−25μg)の半分以上を紫外線でつくられるビタミンDに依存しているのが現状です。
このようにビタミンDをつくるために紫外線は必要ですが、一方で人体への悪影響もあるというジレンマが紫外線には付きまといます。
では、1日分のビタミンDをつくるには、どのぐらいの時間の日光浴が必要なのでしょうか。地域や時刻、天候、皮膚の色(スキンタイプ)、食事内容などで違うため、あくまで目安として参考にしてください。
「400単位(10μg)のビタミンDを産生するのに必要な時間を計算してみると、標準的な日本人が、皮膚の25%(概ね、両腕と顔に相当)を日焼け止めをせずに露出して、東京都心で8月1日の昼ごろ、雲が少しある晴れた日に外出するとして3分間。同様に1月1日の昼ごろに12%(顔と手程度に相当)を露出して外出すると約50分などと計算されます」(環境省「紫外線環境保健マニュアル2015」より引用)
メリットとデメリットがある紫外線。「お肌に悪い」と避ける人もいますが、性質を理解して、上手に付き合いたいですね。

参考資料など

環境省「紫外線環境保健マニュアル」(https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf)
WHO“GLOBAL SOLAR UV INDEX” (http://www.who.int/uv/publications/en/UVIGuide.pdf)
『身近にあふれる「科学」が3時間でわかる本』(左巻健男、明日香出版)


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