人間の細胞を1列に並べたら一体どれくらいの長さになるか?→誰もが「ええっ!」と驚く衝撃の答え
2025年4月24日(木)7時30分 ダイヤモンドオンライン
人間の細胞を1列に並べたら一体どれくらいの長さになるか?→誰もが「ええっ!」と驚く衝撃の答え
写真はイメージです Photo:PIXTA
人間の細胞の数が60兆だろうが30兆だろうが、普通の人にはなんの役にもたたない。しかし、そうして真実を追い求めることこそが、サイエンスの根幹であり基礎研究の重要性であると永田和宏京都大名誉教授は語る。そんな永田教授の研究指針と基礎研究の意義とは。※本稿は、大隅良典・永田和宏『基礎研究者 真理を探究する生き方』(角川新書)のうち、永田和宏による執筆パートの一部を抜粋・編集したものです。
予測通りの答えを出すより失敗した方がおもしろい
アメリカから大学に戻った私は、自分の研究室(ラボ)を持つようになったが(編集部注/筆者は36歳でアメリカ国立がん研究所に客員助教授として留学し、3年後に京都大学再生医科学研究所教授に就任)、これまでの自分の経験から、ラボの方針は決めていた。「おもしろいほう」を選ぶこと、大股で歩くこと、流行を追わず自分だけの分野に取り組むこと、の3つだ。
学生があるデータを提出すると、メンバー全員でそれについてディスカッションを行う。たいてい1つのデータは、さまざまな可能性を示唆している。しかもデータが出された時点では、いくつかの可能性が考えられるうちどれが正しいのかは、まだわからない。
どの可能性から試すか、ラボの方針を決定するときの基準が「どれがいちばんおもしろいか」だ。私のラボの学生は「よくやってるな」より、「おもろいことやってるな」と言われるほうがうれしいようで、学生も私のその言葉を待っている、と言っている。
たとえば最速で論文を書き上げたいなら、もっとも安全確実と予想される可能性から試したらいいだろう。しかし、これでは論文の数は増えても、インパクトの大きな論文にはならないことが多い。パラダイムシフトという言葉がある。これまでの価値観や考え方を根本的に変えてしまうようなものを言うが、そこまではなかなか到達しないまでも、結果が出て、「その結果は予測通り、当然だよね、うん、ご苦労さん」ではおもしろくない。
一方、いちばんおもしろい可能性にチャレンジすると、たいていは失敗する。もっともおもしろいと思えるものは、可能性としては低いのが当然である。
「やっぱりダメだったか。じゃあ仕方がないから、次におもしろそうな可能性を……」
と別の可能性を試していくことになる。次の実験もまた失敗し、「では次の可能性を」と試していくわけだが、私のラボでは、同じ取り組むならまずおもしろい可能性から試みるということを徹底してきたように思う。