「ウルトラマン」シリーズ海外利用権訴訟、円谷プロ側が全面勝訴

4月24日(火)15時25分 おたくま経済新聞


 円谷プロの「ウルトラマン」シリーズの海外利用権をタイ人の実業家が取得したとして、海外でウルトラマンシリーズの「新作」などが作られている問題。2018年4月18日(現地時間)、アメリカ合衆国のカリフォルニア中央区地方裁判所で判決が下り、円谷プロ側が全面勝訴しました。

 この問題は、1976年3月4日に、当時の円谷プロ社長であった円谷皐氏(故人)がタイ人実業家のサンゲンチャイ・ソンポテ氏に「ウルトラマン」シリーズの海外利用権を譲渡した、という文書があるとして、円谷皐氏が亡くなった翌年の1996年、ソンポテ氏が円谷プロに文書の写しを持参して権利を主張したことから始まります。

 円谷プロによると、その文書には円谷プロの社名や「ウルトラマン」シリーズの作品名、作品の本数など、皐氏ならば間違えようのない基本的な事項について、誤った記載があったといいます。また、この手の文書では重要な、具体的なライセンス料などの記載もなかったとのこと。加えて、ソンポテ氏側は文書の日付である1976年以降、1996年に権利を主張するまで、その権利を行使したり、文書の存在を主張したりしたこともありませんでした。この間、円谷プロが「ウルトラマン」シリーズの海外展開をしていたにも関わらず、です。

 このため、円谷プロは文書が偽造されたものだと考え、ソンポテ氏および、その権利を承継したとするユーエム株式会社と争ってきました。文書が偽造されたものであるかどうかについては、過去に日本、タイ、中国の裁判所でこれまで争われてきました。日本の訴訟では、円谷プロ側が筆跡鑑定を求めたのですが、結局鑑定は行われず、原本の確認もないままに文書が真正であるという判断がなされました。タイでは筆跡鑑定が行われ、文書が偽造されたものだとして円谷プロ側が勝訴、ソンポテ氏に有罪判決が下りています。中国では1審で円谷プロ側が勝訴したものの、上級審ではタイで行われた筆跡鑑定の結果が「外国で行われた手続きである」などの理由で採用されず、中国で改めて鑑定が実施されることなく円谷プロ側の逆転敗訴となっています。

 ただし、円谷プロ側が敗訴した日本・中国の裁判においても、この文書において言及されている効力は、文書の作成日とされる日付以前の作品に限られること、そして作品の著作権自体は円谷プロに帰属することが確認されています。

 今回アメリカで行われていた訴訟は、2015年5月18日付でユーエム株式会社が円谷プロを訴えた件に関して、円谷プロ側が2015年9月11日付で反訴したもの。このアメリカでの訴訟手続きでは、今までの各国での訴訟手続にはなかった「ディスカバリー」と呼ばれる手続きを通じて、両当事者の持つ膨大な資料や通信履歴が顕出(けんしゅつ)され、長時間かけて調査分析が行われました。その結果、これまでの訴訟では明らかにならなかった新たな事実や証拠が顕出されました。また、両当事者の多数の証人や筆跡鑑定の専門家証人などについて、デポジション(トライアルの前に宣誓のもと行われる証言)および個人尋問も行われました。

 なお、事情を最もよく知るはずのソンポテ氏は、アメリカ訴訟の訴状の受け取りを理由なく拒否した上、証人としての出廷も拒否しています。

 このような手続きを経て、判決では相手方が権利主張のよりどころとしている1976年3月4日付の契約書は、円谷皐によって署名され捺印された真正な契約書ではなく、効力はないと判断されました。円谷プロ側の全面勝訴です。

 円谷プロ側は、このアメリカでの全面勝訴判決は、これまでの長い係争の集大成と考えています。この判決を踏まえて、円谷プロは今後さらにウルトラマン作品の積極的な海外展開を進めていくことを明らかにしています。

(C)円谷プロ

情報提供:円谷プロダクション

(咲村珠樹)

おたくま経済新聞

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