「あの時の生活は多分もうできない」「撮影後は2日間ぐらい動けなかったり…」あべみかこが語った“アダルトビデオ撮影現場のリアル”

2025年4月26日(土)18時0分 文春オンライン

〈 「お前何やってんの!?」「事務所燃やしに行くぞ!」…女優デビューがバレたあべみかこ(31)が体験した“周囲からの恐るべき反応” 〉から続く


 デビュー作は約1万本のベストセラー、大手配信サイトで行われるアワードで最優秀女優賞に複数回ノミネートされるなど、多くのファンに愛され、セクシー女優として第一線で活躍し続けたあべみかこ(31)。


 そんな彼女は2022年に現役引退を決意した。当時のセクシービデオ業界を振り返り、いま何を思うのか——。業界から離れたからこそ語れる話を聞く。





◆◆◆


早朝4時までの撮影現場


——13年前にデビューした当時と、2022年の引退間近の業界で違いはありますか?


あべみかこ 13年前は、ハチャメチャなことをやっていたとは思いますね。「こういう流れですよ、こういうシーン撮りますよ」みたいな説明はあるんですけど、事前に台本は送られてこなかったり、深夜にマネージャーから電話がきて、「明日現場できる?」って聞かれたり。


——前日に撮影が決まる?


あべみかこ 「他の女優さんが体調不良で、現場空いたから来て」とか。本当に、当日に何をやるのか知るぐらいの勢いでしたね、当時は。


——今は法整備もあり、事前に撮影内容の詳細が伝えられるようになりましたが、どちらが良いと思われますか?


あべみかこ 今は台本があって、嫌なことは事前に打ち合わせできる。けど、どっちもどっちかな。私が楽しいなって感じるのは、ハチャメチャな感じだったんですよね。撮影が朝の4時ぐらいに終わって、「やっと終わったー!」と思いながら、朝焼けを見ながら帰って、達成感が半端ない、みたいな。


 ただ、私の場合、当時から嫌なことは嫌だって言えていたというのもあるかもしれません。もちろん言えない子もいたと思うので、業界に関わる女の子のことを考えると、今の方がいいんじゃないかなとは思います。


——ずいぶんハードな働き方をされていたようですが、現役時代に辛かったことはなかったですか?


「あの時の生活は多分もうできないですね」


あべみかこ 辛かったこと……というか、無茶はしていましたね。撮影後は筋肉痛で2日間ぐらい動けないことがよくありましたし、土日はイベント、平日は夜まで現場があるからご飯は行けない、みたいな。あの時の生活は多分もうできないですね。


 今は朝昼夜ちゃんと食べられるし、お風呂にゆっくり浸かったりもできる。あと、友達との時間がすごく使いやすくなりました。


——引退されて、演技、歌、YouTubeなど多方面に活躍していますが、今後一番力を入れたいのはなんでしょう?


あべみかこ お芝居です。


 自分ではわかんなかったんですけど、「演技もいいし、あべちゃんの目がいいよね」なんて声をかけてもらえたりもして。嬉しかったですね。最初はなんとなく始めたんですけど、舞台に出るようになるうちにめちゃめちゃ面白くなっています。


——演技のどんなところが面白かったのでしょう?


あべみかこ 人との掛け合いが面白いですね。AVにはない瞬間がある。AVは身体での会話はあるけど、実際に声に出してコミュニケーションをとる会話っていうのはあんまりなかったので、そういったところが楽しかったです。


 芝居相手が、今日なんか怒っている、機嫌悪いなって演技をしている時に、じゃあ自分も機嫌悪く返そうとか、逆に明るい感じに言ってみようとか、色々想像してみたり。言葉になっていない感情を読み取って、お互いにそれがフィットする瞬間があるんですよ。そんなときに「今日超楽しい!」「噛み合っちゃった!」みたいな。


「相談していないのに、フィットした! やばい!」といった瞬間にドーパミンみたいなものが出て気持ち良くなっちゃって。それが、「あのシーン今日良かったよ」とか褒められたら、「よっしゃ!」って、気分が上がりますね。


作品の配信・販売を停止する予定は…


——YouTubeで行った引退会見で、「AV女優時代は、プライベートを充実できてなかった。今後は身を固めたい」と語っていました。今後、家族を持ちたいなと思ったりしますか?


あべみかこ 身を固めたいって言ったけれど、実際身を固めたいかって言われると、お芝居も楽しいし、今はお仕事やりたいってなっちゃっていますね。


——AV新法の施行によって、元AV女優さんのなかには、作品の配信・販売を停止する方もいます。あべさんはそうしようと思う瞬間ってありましたか?


あべみかこ 一切ないです。どうせ消したところで残っちゃうものですし、出ていた事実は変わらない。私の性格的には仮に子供ができたとしても「こういうお仕事していたよ」ってたぶん言っちゃいます。


 天狗になるのもよくないですけど、セクシー女優として、ちょっと売れちゃったから自慢できるぐらいに思ってはいるんですよ(笑)。残していても別に恥ずかしくないからいいかなって。


——作品の配信・販売を停止しないことで、引退後に不都合はなかったんですか?


あべみかこ 全然ないですね。


 YouTubeでコラボしづらい企業さんがあったりはしますけど、作品を消したからって、企業さんがコラボしてくれるわけではないですよね。それを不都合とは思っていません。


——最後に、もしAVデビューする18歳に戻れたとしたら、またセクシービデオに出たいですか?


あべみかこ どうだろう? どうせやってたんじゃないですか。別に今も後悔はないので。きっとAVをやりたいと思うし、なんなら、もっといろんな作品に出たかもしれない。体を無茶させていたかもしれない。年をとったからこそ、当時だったらもっと無理できたなって思っていますね。


撮影=坂口尚


(堀江 もちこ)

文春オンライン

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