秋津壽男“どっち?”の健康学「GWに向けて体を動かして健康を維持したい。若い頃に比べて筋力などの衰えを自覚すべし」

4月30日(月)5時55分 アサ芸プラス

 スポーツ好きの人は、野球派とサッカー派に大別されますが、今回はここで質問です。運動不足の人が、健康に配慮してスポーツを始める場合、草野球かサッカーのどちらが適当でしょうか。

 競技として野球とサッカーを比べると、野球のほうがケガの確率は圧倒的に低くなります。

 なぜなら野球は打撃と守備の場面があり、半分以上運動をしていないからです。攻撃時は打順が回ってくるまで休憩ですし、守備の時も投手と捕手以外はほぼ休憩状態でしょう。投球を打って走る際も、準備運動さえしっかり行っていればスポーツ障害は起こりにくいと言えます。

 対するサッカーの場合ですが、キーパー以外は走りっぱなしで、ハードな運動量をこなさねばなりません。若い頃にサッカーをやっていた人は「昔取った杵柄」と、いきなり走り回ってしまうこともあるでしょう。激しい動悸や息切れに見舞われるばかりか、最悪のケースでは、心臓発作や不整脈を起こす可能性すらあります。

 この点で、サッカーは野球に比べて「ハードルの高いスポーツ」と言えます。

 加えて、サッカーは下半身のケガが非常に多いことでも知られています。キーパー以外はキック動作やジャンプ、ボール奪取、スライディングなど野球に比べて動きが多岐にわたります。ところが体力的には、20代をピークに低下し、関節や靭帯など体のクッションとなる部分も硬くなってきます。強い衝撃が加わった時に体が反応できず、準備運動を怠ると野球以上に太腿の肉離れや捻挫、半月板損傷、疲労骨折などを起こしやすいのです。

 もちろん、野球もケガと無縁ではありません。代表的なスポーツ障害が肩の障害です。投球動作を繰り返すことで、肩と肘に負担がかかります。野球経験者でもしばらくピッチングから離れていた場合、ピッチャーはやらないほうが無難でしょう。また、ヘッドスライディングやダイビングキャッチをして肩に衝撃がかかると筋や腱の損傷のリスクが生じます。

 野球とサッカーはもちろん、それ以外の種目も含めたスポーツ障害の中でも多いのが疲労骨折です。長期にわたり同じ箇所に力がかかったり、筋肉が無理やり引き伸ばされたりすると骨に負担がかかり、折れやすくなるのです。特に運動不足は、スポーツ障害の発生率を高めます。社会人のケガは家庭生活や仕事に支障を来しかねないので、細心の注意をすべきでしょう。

 ここでアドバイスを一つ。スポーツ障害は予防が可能です。ストレッチや準備運動をしっかり行うことです。血行をよくし、呼吸量を増やすことによって運動能力を上げることができるからです。硬くなった筋肉や腱を、ゆっくりと伸ばすことを心がけてください。試合や練習の前にラジオ体操をするだけで効果があります。また、軽くジョギングをすると筋肉の温度が上がり、筋肉の動きも滑らかになります。

 運動後にはクールダウンをおすすめします。急激な血圧や血流の変化を防ぐことができるので、心臓への負担を減らすことができます。もし、関節や筋肉に痛みや熱を感じた場合はアイシングも有効でしょう。

 水分補給も重要です。大量に汗をかいた場合は水分を飲むとともに、首や頭に水をかけて体温を下げるようにしてください。同時に塩分も必要となるので、水とスポーツドリンクを準備したいところです。夏は熱中症にかかりやすくなりますが、熱中症は体重の3%の水分が汗で出ると危険信号です。

 どんな種目でも、スポーツで本気度が高まるほどケガのリスクも増すことは理解しておいてください。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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