農業の節目 縁起がいいとされる『八十八夜』の由来
2019年5月2日(木)5時0分 ウェザーニュース
2019/05/02 05:53 ウェザーニュース
♪夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘(ちゃつみ)じゃないか
あかねだすきに菅(すげ)の笠
これは唱歌『茶摘』の一番です。思わず口ずさんでしまう人もいるのではないでしょうか。なかには、「せっせっせーのよいよいよい♪」から始めて、「夏も近づく八十八夜」につなげて歌う人もいるでしょう。
みなさんは、「八十八夜」とはいつのことか、ご存知ですか?
今年の八十八夜は「5月2日」
今年の八十八夜は、5月2日です。基本的には、平年は5月2日で、閏年(うるうどし/じゅんねん)は5月1日になります。
八十八夜は「緑茶の日」でもあります。公益社団法人日本茶業中央会で、平年の5月2日と閏年の5月1日を「緑茶の日」と定めているのです。もちろん『茶摘』の歌にちなんでいます。
でも、そもそも「八十八夜」とはいったい何なのでしょうか。
八十八夜は、立春から数えて(立春を1日目として)88日目のことです。立春は二十四節気(にじゅうしせっき)の一つで、暦の上で春が始まる日。太陽暦では、2月4日ごろです。
今年は平年だから、今年の立春は2月4日。そこから88日経つ5月2日が「八十八夜」です。
「八十八夜の別れ霜(じも)」が過ぎて、夏が近づく
「八十八夜の別れ霜」という言葉もあります。晩春の八十八夜のころに降りる霜で、この日以降は霜が降りないことをいいます。
八十八夜以降、霜の心配がなくなり、初夏が訪れる。それとともに、茶摘みが始まる。野にも山にも若葉が茂って、あかねだすきをして、菅の笠をかぶった人たちが茶摘みをしている。『茶摘』はそんな光景を歌った歌なのです。
八十八夜は縁起がいい
八十八夜に摘んだ新茶は、不老不死の縁起物といわれます。八十八夜の文字に末広がりの「八」が重なっていることを考えると、いっそう縁起がよさそうです。
八十八夜はお米にも関係しています。「八十八」という字を組み合わせると、「米」という字になりますね。八十八夜に稲の種まきをすると、秋にお米がたくさんとれると、昔はいわれていました。八十八夜は茶摘みだけでなく、稲の種まきに適した時期でもあったのです。
例年はゴールデンウィークの中にあって、出勤日や登校日にあたりがちな八十八夜。しかし、こうして見てみると、私たち日本人にとって、とても大切な日であることに改めて気がつくのではないでしょうか。
参考資料など
『ちょっと幸せ 暮らしの歳時記』(植草桂子、主婦と生活社)