「事件性なしとされた」「ストーカー相談の認識なかった」 川崎・女性遺体遺棄で食い違う家族と警察の説明

2025年5月4日(日)12時20分 J-CASTニュース

川崎市の住宅で、同市の岡崎彩咲陽さん(20)の遺体が見つかり、白井秀征容疑者(27)が逮捕された事件で、家族は神奈川県警の対応に抗議の声を上げた。

一方、県警は当初ストーカー被害の相談を受けていた認識はなかったと説明した。

警察に9回電話も...被害者家族「捜査が不適切だった」と抗議

岡崎さんの家族は2025年3月末以降、SNSで事件の情報を発信、以下のような経緯を説明した。

岡崎さんは白井容疑者と交際関係にあったが、ほどなく暴力やストーカー行為を受け、昨年6月に神奈川県警川崎臨港署へ被害届を提出、岡崎さんは同市内の祖母宅などで暮らすことになった。

しかし、白井容疑者はつきまといを続け、12月12日に岡崎さんと友人が撮影した映像には、不審な男がうろついている様子が映っていた。

岡崎さんは臨港署に通報。家族が、本人の失踪後に携帯電話の発信履歴を調べたところ、12月9日から失踪した20日までに9回、臨港署へ電話をしていたことがわかった。

そして12月20日以降、岡崎さんは所在不明に。その2日後、窓ガラスがバーナーのようなもので切られていたことが判明し、臨港署に届け出た。

しかし、臨港署から捜査の末に「事件性はない」と説明されたという。

その後、25年4月に白井容疑者の所在が不明になったことを受けて、臨港署は4月30日にストーカー規制法違反の容疑で白井容疑者宅を捜索、若い女性とみられる遺体が発見された。

その翌日、家族や友人らは臨港署の捜査が不適切だったとして、抗議活動を行った。

遺体は5月3日になって岡崎さんと確認された。同日、県警は米国から帰国した白井容疑者に任意同行を求め、夜になって逮捕した。

容疑者の事情聴取は計7回に及んだと説明

5月3日夜、神奈川県警は岡崎さんからストーカー被害の相談を受けていた認識はないとし、その経緯と対応を説明した。

昨年9月20日、父親より岡崎さんが白井容疑者から暴行を受けたとの通報があり、被害届を受理したが、後に岡崎さんから「事実と異なる説明をした」として取り下げの申告があった。

11月10日には父親から岡崎さんが所在不明になったとの通報があったが、11月22日には白井容疑者と再び復縁したとして、防犯指導を行った。

ところが12月9日以降、岡崎さんから臨港署へ「白井容疑者が家の周りをうろついている」といった通報が何度もあり、署員はトラブルが起きないよう白井容疑者に連絡をとったり、顔を合わせないよう指導した。

12月12日、白井容疑者とみられる男性が祖母宅周辺をうろついているという通報があった際には、警察官が捜索を行ったが、不審者の発見には至らなかった。

岡崎さんは12月20日以降、所在不明となった。12月22日の通報時には、臨港署員が白井容疑者の自宅に赴き、任意で自宅の確認および事情聴取を行った。

翌日、岡崎さんの父親が行方不明者届を提出。臨港署は同日と25年1月16日の計3回にわたって、白井容疑者宅を任意で確認。その際に遺体の発見場所も訪れたが、親族が食事をしているとして、細かく確認できなかったという。事情聴取も計7回に及んだ。

ストーカー規制法に基づく警告を行わず

基本的に警察は民事不介入が原則だ。しかし、1999年の桶川ストーカー殺人事件などの痛ましい事件を受けて、例外的に警察が早期介入できるような法整備を行った。

こうして2012年に制定された「ストーカー規制法」は「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情」をきっかけとしたつきまとい行為などが規制の対象となる。しかし、この線引きは極めて難しい。

県警は、昨年6月の段階で白井容疑者に口頭注意を行ったものの、ストーカー規制法に基づく警告を行っていなかった。その理由について「あくまで被害者の意向を踏まえた」と、家族の主張とは食い違うコメントを発表した。

岡崎さんの父親はこの発表を受けて、事実と違う点があるとし、「本当の話をしてほしい」と改めて抗議の意を示している。

真相はどこにあるのだろうか。いずれにしても、SNSで「生きていればそれだけでいいんです」と訴えてきた家族の望みが踏みにじられたことは、まぎれもない事実である。

J-CASTニュース

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