GW明け 子どもの自殺サイン見逃さないで コロナで深刻さ増す

5月4日(火)20時55分 毎日新聞

気をつけたいサイン

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 新型コロナウイルスの影響で家庭や教育環境が変化する中、子どもの自殺が深刻化している。昨年は5月以降、小中高生の自殺が増え始め、過去最多となった。今年も首都圏などで緊急事態宣言が続いており、不登校などの子どもと関わる関係者は連休明けを前に、子どもの「サイン」を見逃さないように注意を呼びかけている。

 子どもにとっては、新しい学校環境になじめず行事の重圧などでストレスを感じやすいのが5月と指摘されている。

 一般社団法人「子ども若者応援ネットワーク品川」は、東京都品川区で不登校や高校中退などの子どもの「居場所」を区の委託を受けて運営している。子どもたちが自由にくつろげる場を提供してきたが、新型コロナの影響で人気プログラムだった調理活動を中止。利用者の「密」を避けるため、積極的に利用を呼びかけられないでいる。

 代表の中塚史行さん(48)によると、新型コロナの流行から丸1年を迎えた今年2、3月は「死にたい」といった思い詰めた相談も多く、例年は5月の連休明けに多い不登校の相談も、4月から増え始めたという。

 家が安心して過ごせる場ではない子どもにとっては、「逃げ場」になる公園や公共施設が閉まるとストレスが大きくなるため、「かつてないほど子どもたちの状況が深刻になっている」と心配している。

 中塚さんはコロナ禍での学校の指導も、子どもたちを追い詰める一因と考える。感染防止のためとはいえ、子どもたちの行動を制限し、注意することが増えた結果、子どもたちが「自分は迷惑をかけている」「いない方がいいのでは」——と感じやすいという。「学校はもう少し一人一人に目が行き届くようなゆとりを持ってほしい」と訴える。

先の見えない不安増幅

 20年以上、不登校の子どもを取材し、相談にも乗ってきたNPO法人「全国不登校新聞社」の編集長、石井志昂さん(39)は「新型コロナが終息しない状況で大人だけでなく、子どもにも先が見えない不安が高まっている。そこに学校の人間関係などの問題が重なると、苦しくなって追い詰められてしまう」と警戒する。

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)が昨年11〜12月、小学4年から高校生の715人を対象に実施したインターネットのアンケートによると、「死んだ方がいい、または自分を何らかの方法で傷つけようと思ったことがある」と答えたのは、小学4〜6年、中学生、高校生ともそれぞれ約2〜3割に達し、小学4〜6年の15%、中学生の24%、高校生の30%にそれぞれ中等度以上のうつ症状があることも明らかになった。

 また、昨年は新型コロナの影響のためか小中高生の自殺者が計499人に上り、過去最多となった。月別でみると、昨年1〜4月は2019年とほぼ同水準で推移したものの、5月から増加傾向を示し、8月に差が最大になった。

 石井さんは子どもが死を口にしても、「そんなこと言わない」と叱ることや、軽く受け流すことは子どもをさらに傷つける恐れがあると指摘。さらに、子どもは感じているストレスを体調不良やこだわりが強くなるなどの「サイン」で示すことも多いという。子どもを注意して見守り、「死にたい」「学校を休みたい」などと打ち明けてきたら、遮らずに耳を傾けることが大切だと強調する。

 中学時代に不登校を経験した石井さんは「『学校を休みたい』と言った時は休ませて」ともアドバイスする。無理をさせず、休みたい気持ちを受け入れることで子どもは安心し、登校できるようになることもあるという。

 子どもが心身とも癒やせる連休となるよう、「ゲームなど、子どもに好きなことをさせて解放してあげて」とも助言する。親も余裕を持って子どもに接するために「1日の間に子どもから離れる時間を作ってほしい」と話す。「親は我が子の専門家。おかしいと思ったら相談窓口に当たってほしい」。石井さんは呼びかけている。【谷本仁美】

毎日新聞

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