今日はアイスクリームの日 アイスには賞味期限がない!?
2020年5月9日(土)5時20分 ウェザーニュース
2020/05/09 05:19 ウェザーニュース
「アイスクリームの日」があるのを知っていますか。5月9日がその日で、アイスクリームの普及を願って、東京アイスクリーム協会(現 日本アイスクリーム協会)が制定しました。1964年の5月9日に都内の福祉施設や病院などにアイスクリームを寄贈したり、アイスクリームの祭典を開催したりしたことがきっかけでした。
そもそも、そのアイスクリームとは、どういうものなのでしょうか。意外に知られていない「アイスクリームとは何か」を調べてみました。
そのアイスクリームは本当にアイスクリーム?
アイスクリームの定義は「乳(にゅう)及び乳製品の成分規格等に関する省令」によって定められています。アイスクリームとは何か、国が定めているのです。
それによると、アイスクリームとは「乳固形分が15.0%以上、そのうち乳脂肪が8.0%以上入っているもの」をいいます。乳固形分とは、牛乳から水分を取り除いたもので、乳脂肪分とは、乳固形分に含まれている脂肪分のことです。乳脂肪分が多いと、濃厚でコクのある味になります。
アイスクリーム類には、アイスクリームのほかに「アイスミルク」と「ラクトアイス」もあります。アイスミルクは乳固形分が10.0%以上、そのうち乳脂肪が3.0%以上、ラクトアイスは乳固形分が3.0%以上入っているものをいいます。アイスキャンディーやシャーベットなど、乳固形分が3.0%未満のものは、アイスクリーム類ではなく、「氷菓」に分類されます。
日常会話では、これらの違いを意識することなく、「アイスクリーム」とか「アイス」などと言う人が多いでしょうが、正確には、アイスクリーム類と氷菓は違うし、アイスクリームとアイスミルクとラクトアイスも違うものです。
意外!? アイスクリームは高栄養
私たちはふだん、アイスクリーム類をおやつやお菓子として食べているでしょう。しかし、アイスクリーム類は豊富な栄養分を含む、健康に役立つ食品でもあります。
乳が主原料なので、アイスクリーム類にはタンパク質、乳脂肪、炭水化物、カルシウム、ビタミンなどが含まれています。
とりわけ、乳固形分が15.0%以上(うち乳脂肪が8.0%以上)含まれるアイスクリームは、タンパク質やカルシウムが豊富に含まれていて、栄養面でも優れています。
乳脂肪分8.0%のアイスクリーム100gには、カルシウムが約140mg含まれています。これは1日に必要とされるカルシウムの量の約20%で、このことからも、栄養面で優れていることがわかります。
賞味期限を定める必要がない
アイスクリーム類は賞味期限を設ける必要のない食品でもあります。賞味期限は「おいしく食べることができる期限」のことです。
アイスクリーム類は、食品衛生法の規定に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」や景品表示法の規定に基づく「アイスクリーム類及び氷菓の表示に関する公正競争規約」によって、期限を表示することを省略できるとされています。
アイスクリーム類は通常−18℃以下(倉庫では−20℃以下)で保存されるため、保存中の変化はごくわずかで、人の健康を損なうことは考えにくいのです。さらに、原料の品質基準が省令で厳しく規定されています。これらのことから、アイスクリーム類には賞味期限を設けなくてもよいことになっています。
アイスクリーム類は購入後も、−18℃以下に保った冷凍庫などに保存することが大切です。
気温25〜30℃がいちばんおいしい!?
気温とアイスクリームのおいしさとは、何か関係があるでしょうか。
日本アイスクリーム協会が発表している「アイスクリーム白書2019」によると、25〜30℃の気温がアイスクリームをいちばんおいしいと感じる人が多いようです。
地域などによりますが、5月は25〜30℃になる日もあります。栄養面や健康のことも考えつつ、アイスクリーム類を楽しみたいものです。
参考資料など
一般社団法人 日本アイスクリーム協会(https://www.icecream.or.jp/)、一般社団法人 日本乳業協会(https://www.nyukyou.jp/)、農林水産省 (https://www.maff.go.jp/)、『アイスクリームのひみつ』(漫画/宮原美香、構成/オフィス・イディオム、学研)