5月になると見かける"小さな赤い虫"の正体は「タカラダニ」 人への影響は?
2025年5月10日(土)5時10分 ウェザーニュース

2025/05/10 05:00 ウェザーニュース
5〜6月にかけて、家の塀やベランダ、公園の階段などさまざまなコンクリート壁に、体長1mm程度の小さな赤い虫がチョロチョロ動き回っているのを見ることがあります。小さい頃に外で遊んでいる時に見た方も多いかもしれません。
この虫は昆虫ではなくダニの仲間だということを知っていますか? 最近よく見かけるようになりましたが、意外と知らないことが多いのです。
5月になると「小さな赤い虫」の問い合わせが集中
「私たちがよく目にする小さな赤い虫は『カベアナタカラダニ』です。タカラダニ類は日本で4属13種が報告されていますが、カベアナタカラダニは人家付近で一番多く見られ、北海道から沖縄まで広く分布しています。タカラダニはコンクリートや岩石、煉瓦など乾いた高温の場所を好み、建物壁面などでよく見られます」と言うのは、虫ケア用品最大手のアース製薬です。
この時期、アース製薬へはタカラダニについて問い合わせも増えるそうです。
「毎年5〜6月に小さな赤い虫について問い合わせが集中します」
この時期にタカラダニを見かけるのはなぜ?
タカラダニの問い合わせが5〜6月に集中するのはなぜでしょうか。
「カベアナタカラダニのライフサイクルに関係しているのです。毎年春先に卵が孵化し、5月になると成ダニが出現するため、この時期によく見かけます。成ダニは産卵後に死亡し、7月以降はほとんど見られなくなります」
産卵場所は、屋上や地上敷地の壁面の隙間・割れ目です。このような狭い空間は温度や湿度の変化が少なく、アリやクモなどの外敵から身を守れます。卵のまま夏・秋・冬を越して翌年の春先に孵化するそうです。
タカラダニは血を吸っているの?
タカラダニは何を食べているのでしょうか。
「カベアナタカラダニは赤い虫なので、血を吸っているようにも見えますが、花粉や昆虫を摂食する雑食性のダニです。ブロック塀の壁面やコンクリートを這い回っている姿をよく目撃しますが、人の目では見えないような微細な花粉を食べにきていることもあるようです」
人を刺したり噛んだりすることは?
タカラダニは人を刺したり噛んだりすることはありませんが、潰すと赤い体液が皮膚につき、場合によっては皮疹を生じることがあるそうです。大阪府池田保健所衛生課によると、コンクリートの建物の外壁やベランダ、屋上などで大量発生した場合は、水で洗い流すとよいそうです。
また、小さいため、窓や扉が閉まっていてもほんのわずかな隙間があれば室内に侵入することもあるようです。
「タカラダニはベランダなどから家の中に入ってくることがあります。さまざまな害虫を駆除するスプレータイプの駆除剤を使用するのがオススメです。待ち伏せ効果が持続するタイプなら直接噴霧しなくても家に侵入することを防げます」
ちなみにタカラダニという名前は、子どもたちがセミを捕っていたとき、セミの体に赤い小さな虫がたくさんついていると金持ちになれるといって喜んだのが由来と言われています。