初夏の風物詩「卯の花」って、「おから」のこと?

2019年5月14日(火)10時0分 ウェザーニュース


2019/05/14 10:34 ウェザーニュース

「卯の花(うのはな)」というと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 卯の花って、ナニ? どんな花? そもそも花なの? ひょっとしたら、そんなふうに思う人もいるかもしれませんね。
そのような人のためにも、「初夏の風物詩」ともいわれる卯の花について紹介していきましょう。

旧暦4月の「卯月」は卯の花が由来

卯の花はウツギの花の別称で、日本では、主に5〜6月に開花します。旧暦の4月の異称「卯月」はこの卯の花が由来で、「卯の花が咲く月」であることから名づけられました。
卯の花というと、唱歌『夏は来ぬ』(作詞/佐佐木信綱、作曲/小山作之助)を思い浮かべる人もいるでしょう。一番の歌詞を紹介しましょう。
♪卯の花の 匂う垣根(かきね)に
 時鳥(ほととぎす) 早(はや)も来(き)鳴きて
 忍音(しのびね)もらす 夏は来(き)ぬ
「ほととぎす」といえば、山口素堂(1642-1716年)の俳句「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」を思い起こす人もいるでしょう。卯の花やほととぎすからは、まさに初夏の情景が浮かんできますね。

「卯の花」と「おから」は同じもの?

卯の花って「おから」じゃないの? と思う人もいるでしょう。
卯の花は確かにおからの別名でもあって、卯の花の小さな花が集まる様子がおからと似ていることから、おからは卯の花ともいわれるようになりました。
でも、どうでしょうか? 実際のところ、似ているでしょうか? 写真を並べて見比べてみましょう。

どうですか? なんとなくではありますが、似ていると思いませんか!?

『万葉集』にも歌われた卯の花

 霍公鳥(ほととぎす) 来(き)鳴き響(とよ)もす 卯の花の 共(とも)にや来(こ)しと 問はましものを
……これは新元号「令和」で今、改めて注目されている『万葉集』に載っている歌で、作者は奈良時代の官吏・石上堅魚(いそのかみのかつお)です。
「ほととぎすがやってきて、鳴き声を響かせているよ。卯の花が咲くとともにやってきたのか、と問いたいものだな」と詠んでいるのです。
「そうだよ。卯の花と一緒にやってきたんだよ」と、ほととぎすが答えてくれるとよいのですが、さて、答えてくれたでしょうか。
卯の花は古来、日本人に親しまれていました。食文化としての卯の花(おから)を大切にしつつ、初夏を告げる花である卯の花にも、今一度、目を向けてみたいものですね。

参考資料など

『日本の365日を愛おしむ』(本間美加子、東邦出版)、『散歩で見かける草木花の雑学図鑑』(金田洋一郎、実業之日本社)、『美しい花言葉・花図鑑』(二宮孝嗣、ナツメ社)、万葉集入門(http://manyou.plabot.michikusa.jp/manyousyu8_1472.html)


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