日本は失業率低いが心配な数値も OECD諸国の比較で「ワースト5」だった社会問題とは

2025年5月17日(土)18時30分 J-CASTニュース

「豊の国とは」。この質問に答えるのは難しい。その手掛かりを求めて、中央大学の石川晃弘名誉教授(産業社会学)がOECD諸国の統計を比較してみた。2025年2月に同大学紀要に発表した論文で、「国民一人当たり総生産(GDP)、総所得(GNI)で高く豊かな国なのに、貧困率が目立って高いのは唯一、米国だった」と指摘している。

失業率の低さでは日本は2位

石川名誉教授は観察の対象として、経済指標などが多く公開されている経済開発協力機構(OECD)加盟国から37か国を選び、ネット上から統計数値を集めた。国民一人当たりの経済的豊かさと、その国の社会病理現象との相関性を探ってみた。その結果の一部がこの表である。


GDPの順位で見ると、1位はアイルランド、2位スイス、3位米国、4位デンマーク、5位オランダとなる。日本は17位だ。最下位のほうには、37位ブラジル、36位メキシコ、35位コスタリカ。中南米の国々である。

失業率が低い順では、1位がスイス、2位日本、3位チェコ。貧困率が低い順では、1位チェコ、2位デンマーク、3位ハンガリーとなる。

殺人率が低い国では、1位スペイン、2位スイス、3位韓国。自殺率が低いのは、1位ギリシャ、2位トルコ、3位イスラエル。

米国は殺人発生率、犯罪指数で上位

逆に、殺人発生率が高い順では、メキシコ、ブラジル、コスタリカと貧困率の高さに比例している。そして、米国だが、殺人発生率は高い順で行くと5位、犯罪指数では7位と高い。所得格差の大きさでも7位なのだ。

石川名誉教授はいくつかの興味ある相関関係を指摘している。

犯罪指数は国民の経済的豊かさとの関係は統計的には見られない。GNI(国民総所得)の大きい国の中で自殺率が低い国は一つもない。豊かさと関係なく死を選んでいるのか。しかし、失業率は関係がありそうで、低い国では自殺が少ない。米国、日本、韓国は失業率が低いのに自殺率が高く、反対に地中海沿岸国のイタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、トルコ、南米のチリでは失業率が高いのに自殺率は低い。

石川名誉教授は日本と韓国は似たような特徴が見られるとしている。

日本、韓国のGNIは調査対象国の中では中間的な位置にあり、失業率は低い。しかし、貧困率は高く、日本では格差も大きい。殺人発生率や犯罪指数は低いが、自殺率が高い。

(ニュース・リサーチ班)

J-CASTニュース

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