大型マリモ激減は「回転不足」、阿寒湖の水草8000平方m除去へ…文化庁と釧路市教委が原案
2025年5月18日(日)17時29分 読売新聞
水草に遮られて転がることが出来ず、枯死していくマリモ(2011年8月 釧路市の阿寒湖チュウルイ湾で)
国の特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」が生息する釧路市の阿寒湖で大型マリモが激減した問題で、原因とされる水草の本格除去に向けて文化庁と市教育委員会が6月に実施する作業概要の原案が17日、判明した。かつて大型マリモが群生していた湖北部のチュウルイ湾で6月中旬から約1か月かけ、約8000平方メートルの範囲で水草を取り除き、マリモの成長に必要な水流の回復を目指す。
大型マリモの減少を巡っては、繁茂した水草により水流が弱まって回転不足を招き、成長を妨げていることが指摘されている。市教委は2018〜20年に水草を除去したが、範囲は約2800平方メートルにとどまった上、コロナ禍や台風被害などの影響もあって十分に作業できず、水流が回復しなかった可能性があるという。
過去の反省を踏まえ、6月の本格除去ではチュウルイ湾に長さ200メートル、幅40メートルの長方形の試験区域を設定。全範囲にわたって水中を浮遊する水草・マツモを抜本的に取り除いて水路を確保し、南からの風通しを良くして水流を促す。
市教委は19日に専門家らでつくるマリモ科学委員会を開いて原案を説明した上で、本格除去に着手する考えだ。併せて作業完了後の水流やマリモの回復状況を検証するため、具体的な観測手法などについて助言を求める。