<社会科見学>開通前の外環道千葉区間を一足先に見学してきたよ

5月19日(土)8時18分 おたくま経済新聞


 2018年6月2日、東京の周りをぐるりと囲む「東京外環自動車道(外環道)」の千葉県内を通る区間が開通します。開通前にこの部分を取材できるということで、社会科見学気分で出かけてきました。

 今回開通する区間は、高速道路部の約15.5km、並行する国道298号線の約12.1km。都市計画決定がなされた1969年からおよそ半世紀、かなり時間がかかりました。東京周辺の道路の中には、ほかにも関東大震災の復興計画で決定して以来、完成していない(多分もう完成しない)道路もありますが、随分長い期間がかかったんですね。

 見学する新しい区間は、現在工事の仕上げの真っ最中。なので安全のため、見学者は安全帽(ヘルメット)をかぶって出発です。まずはこれまでの開通部分とつながる、高架の松戸IC付近を見学してから、地下のトンネル区間へ入っていきます。



 トンネル区間は地下とはいえ、ほとんどの区間で中央部に明かり取りの開口部が設けられた形。切り通しとトンネルの中間のような感じです。



 もともとこの区間、1969年当時は高架で建設する予定だったのが、騒音や振動、排気ガス公害などを心配した沿線住民から反対の声が上がり、設計変更してこのような形になったんだとか。ちょうど1969年頃は「交通戦争」とか、大気汚染などの公害が深刻化していましたから、住民の心配は解ります。当時の車は、もっと騒音も排気ガスも出てました(1966年まで自動車の排気ガス規制がなかった)からね。

 明かり取りの開口部は、直射日光が入って明暗差が大きくならないように、光を通す屋根が設けられています。屋根があるため、雨も道路側に吹き込まず、濡れた路面と乾いた路面が混在する、走りにくい形にならないようになっているとのこと。短い周期で大きく明暗差がついていると、運転して目がチカチカして疲れやすくなるので、それを軽減する工夫だそうです。





 また、通常トンネル内を走っていると、照明によって前を行く車が明るく見えたり、暗く見えたりします。照明のある部分でだけ照らされて明るく見えるからですが、この外環道千葉区間では、進行方向を照らす「プロビーム照明」という新しいLED照明が採用されています。真下・真横から進行方向へ向けて照らす仕組みになっているので、前を走る車の明るさが変化しにくいとのこと。



 高速道路を歩くということがほとんどないので、なかなか新鮮な発見も。車で走っているとあまり判りませんが、カーブの区間は割と内側に向けての傾き(カント)がついているんですね。歩いた場所は半径500mと、この区間では最も緩いカーブだったのですが、それでも明らかに傾いているのが判ります。トンネル(函体)を傾けて施工するのは、周りの壁や柱の関係でできないので、舗装面を作る際に、外側の路床(舗装の土台)を厚くすることで、この傾きを作っているんだとか。



 ここでは沿線の千葉県松戸市と市川市の消防本部、そして千葉県警高速隊が合同で実施する、災害救助訓練の様子も見学しました。バスがトラックに追突し、トラックの運転手が壁に挟まれて脱出できない……という想定で行われたこの訓練。消防隊がキビキビ動くのはもちろんですが、全体の指揮をとる大隊長(ベストに大きく書いてあったので一目で判りました)がいろいろ動いて、状況の把握を自分の目で行って指示を出す様子も。





 消防隊は自治体ごとに分かれていますが、このように複数の自治体にまたがる高速道路の場合、現場へ進入する際に使うICごとに担当する消防の区間が決まっているとのこと。事故が大規模の場合は応援要請を出して、協定を結んでいる近隣の消防本部から応援が駆けつける仕組みです。

 このような場所で事故が起きた場合、一定間隔で設置されている非常電話で通報するのが一番早い手段。そして併設されている非常口から外へと脱出します。階段を上ると、道路のすぐ横に出てきます。









 続いて、京葉道路とつながる地下ジャンクション(JCT)、京葉ジャンクションへ。地下から地上を走る京葉道路へとつながる、地下の立体構造です。



 ここでは新しい標識板などを見せてもらいました。内部に照明を入れた内照式ではなく、路肩からの照明で照らす方式を採用。内部に照明を入れた大きく重い標識を上に設置すると、もし落下した際の被害が大きくなることと、照明が故障したりして交換する際、車線規制をしないといけなくなるために、外から照らす方式にしたんだとか。また、標識は今までより反射率と反射角度を大きくし、より明るく見えるようになっています。車線の切れ目で分割できるようになっていて、交換の際に片側だけ通行を規制するだけにしており、なるべく工事渋滞が起きないように配慮した設計になっています。





 こうしたトンネル内では、事故や災害が起きた場合、並行する避難トンネルを使います。あまり使いたくない通路ですね。





 ちょっと気になったのが、トンネルの天井に見える妙な金具。実はこれ、トンネルを作る際に壁が崩れてこないように支える枠の名残。工程上、枠を残したまま天井のコンクリートを打つので、最後に埋まっている部分を残して鋼材を切断した跡なんだそうです。多分走っている時には目に入らないものだと思いますが、歩いて初めて気づきました。



 市川南ICから首都高速湾岸線につながる高谷JCTでは、地下から最高35mの地点まで上がっていきます。上り勾配になると自然に速度が落ちて、渋滞の元になりかねないのですが、両側の壁にはそれを防ぐ「ペースメーカーライト」というものがついていました。それぞれのライトには黒い棒状のアンテナがついており、これで車の流れを検知しています。車の流れが遅くなってきたな……となると、自動的に青いランプが連続的に流れるように点灯し、スピードダウンを防ぐよう促します。点灯速度は時速40kmと時速80kmの2段階。3色LEDが用いられているので、黄色の警戒点灯、赤色の警告点灯も可能だとか。





 久しぶりに地上に戻ってきました。湾岸線と東関東自動車道(東関道)へ向かう標識と分岐です。



 この横には、アスファルト製造プラントが設置されていました。舗装作業で大量のアスファルトが必要なので、建設現場に作ってしまった方が輸送コストなどの点で便利だということで、ここと反対の三郷側の2か所に作って「産地直送」のアスファルトで舗装したんだそうですよ。



 ランプの坂道を登っていきます。車だとあっという間ですが、歩いてみると結構勾配がありますね。敷地面積の関係で、このジャンクションは道路(ランプ)の取り回しが難しかったとのこと。首都高湾岸線に合流する最後の部分は、この道路で最も急な半径100mのカーブになっています。





 上から「東京湾岸道路」こと、首都高湾岸線と国道357号線を見ると、車が長く連なっています。東関東自動車道〜首都高速湾岸線の交通量は1日平均10万台、並行する国道357号線の交通量も同じく10万台だそうで、この交通量を外環道や並行する国道298号線に誘導し、交通量の緩和を期待しているそうです。



 最後に、トンネル内で事故などが起きた場合、後続車にそれを知らせる赤色警告灯を見せてもらいました。トンネルの入り口区間に赤いLED照明があり、緊急時にはこれが点滅して危険を知らせます。逃げにくいトンネル内での停車を避けてもらって二次被害を防ぎ、緊急車両が現場へ近づくルートを確保するのに役立ちそうです。



 この工事で、最盛期には1日あたり4000人が従事していたとのことで、ひょっとしたら中には親子2代、3代にわたって関わった人もいるかもしれませんね。現在松戸から市川に向かう国道は慢性的な渋滞が続いているとのことで、この外環道と国道298号線の開通で、それが緩和されるといいですね。また、常磐自動車道から首都高で都心に向かうルートも、現在は中央環状線経由しかありませんでしたが、これからは外環道から湾岸線を通るルートもできて、状況に応じて選択することができます(外環道分の料金はかかりますが)。

 普段は車で通り過ぎてしまうだけの施設をじっくり見られて、ちょっと得した気分になりました。もし通る機会があれば、これらの工夫を気にして走ってみると面白いですよ。

<取材協力>

東日本高速道路株式会社

(咲村珠樹)

おたくま経済新聞

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