ダニの繁殖ピークは5月〜7月 効果的な対策とは?
2020年5月19日(火)16時0分 ウェザーニュース
2020/05/19 07:26 ウェザーニュース
東京都の調べでは、約6割の住宅でぜん息発作を誘発するレベルのダニが検出されています。
梅雨をはさんでダニが繁殖しやすい時期を迎えていますが、対策はどうすればよいのでしょうか。
寝具が一番の繁殖源
東京都健康安全研究センターが、都内の住宅10軒について、居間、寝室、寝具を対象にダニ(コナヒョウダニとヤケヒョウダニ)の繁殖状況を調べました(2016年10〜11月)。繁殖のピークを過ぎていましたが、ダニの生体・死骸・糞などが採取されました。
採取されたダニの重量を測定したところ、1平方メートル当たり10,000ng(ナノ・グラム、1ngは十億分の1g)から1ngまで大きな幅がありました。採取場所別にみると、寝具>じゅうたん・畳>フローリングの順に多く、寝具が一番の繁殖源となっていることがわかりました。
ダニアレルギーを引き起こすレベルは?
ダニがいるからといって、直ちにアレルギーやぜん息を起こすわけではありません。WHO(世界保健機関)によるとチリの中のダニの量が問題で、チリ1g中にダニが2μg(マイクロ・グラム、1μgは百万分の1g)以上でアレルギーを起こす危険があり、10μg以上でぜん息発作を起こす危険があるとされています。
チリ1gの中のダニの重量を測定してみると、2μg以上が住宅10軒中9軒、10μg以上は10軒中6軒から検出されました。つまり、調査した住宅の6割からぜん息発作を誘発するレベルのダニが採取されたのです。
フローリングや布団丸洗いで対策
この調査結果をふまえて、東京都福祉保健局は『健康・快適居住環境の指針』(2017年3月)を改訂しました。「室内のダニ対策」は次のように具体的な対策をあげています。
(1)床面をダニが繁殖しにくい素材にする
▼床材はフローリングとし、カーペットを使用しないようにしましょう。
▼特に畳の上にカーペットを敷くと、通風が悪くなり畳が湿るのでやめましょう。
(2)床面への掃除機がけを行う
▼床への掃除機がけはできるだけ毎日行いましょう。少なくとも3日に1回は1平方メートル当たり20秒以上の時間をかけて丁寧に行いましょう。
▼掃除機がけは通常の吸引力(仕事率200W以上)のもので十分ですが、フィルターは高性能のものを使いましょう。
(3)ダニの生息場所を減らす
▼布製のソファーにも掃除機がけをし、カーテンは定期的に洗濯しましょう。
▼ぬいぐるみを置く場合は、こまめに洗濯するか、ビニール袋に入れましょう。
(4)寝具の乾燥と掃除機がけ
▼天気の良い日は布団を干し、よく乾燥させましょう。梅雨時期などは布団乾燥機を使用するとよいでしょう。
▼布団を干した後、布団を叩くとダニが浮かび上がるため、布団を干した後は必ず掃除機がけを行いましょう。
(5)寝具類の洗濯
▼シーツや布団カバーはこまめに取り替え選択しましょう。
▼布団を干せない家庭では、ダニの虫体や糞を丸ごと除去する布団の丸洗いが効果的です。専門の業者に頼んで1年に2回ぐらい行うとよいでしょう。
アレルギーを引き起こすのはダニだけでなく、花粉や食物などさまざまな要因がありますが、厚生労働省は「我が国全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患し、急速に増加している」と警鐘を鳴らしています。
住宅のダニは、工夫次第で減らすことができます。こまめに掃除機をかけるか洗濯をし、小さな子どもがいる家庭では床をフローリングに替えるのも効果的です。
参考資料など
『東京都内の住宅におけるダニアレルゲン調査』(東京都健康安全研究センターなど、2018年)
『健康・快適居住環境の指針』(東京都福祉保健局、2017年)