万博無料予約枠の出品横行…人気のイタリア館や「くら寿司」、売買サイトやSNSで1枠数千円
2025年5月19日(月)6時34分 読売新聞
長い行列ができるほど人気のイタリア館(大阪市此花区で)=近藤誠撮影
大阪・関西万博で、人気のイタリア館や回転ずし店「くら寿司」に入る「予約枠」が、チケットを売買するサイトやSNSに出品されていることがわかった。本来は無料だが、1枠数千円で販売されている。列に並んだ来場者からは不満の声が出ており、イタリア館とくら寿司はそれぞれ対策を進めている。
パビリオンの予約は原則、氏名など個人情報を登録した「万博ID」にひもづいた入場券を通して行う。しかし、イタリア館はこれとは別に独自アプリでも予約でき、配布されたQRコードが手元にあれば入館できる。くら寿司は独自の予約システムで予約を受け付けている。双方とも、実際に万博会場に来ない人でも予約枠を取得できる仕組みだ。
読売新聞がチケット売買仲介サイト「チケジャム」を確認したところ、18日正午時点で、イタリア館への入館時に使うQRコード計13点が1500〜2700円で売られていた。実際に売買が成立した例もあった。
イタリア館は、古代ローマ時代の彫刻やレオナルド・ダ・ビンチの直筆スケッチが並び、話題のパビリオンの一つ。すでに予約枠は10月の閉幕まで埋まっており、入館するにはパビリオン前で待つ必要がある。
列に並んだ長崎県佐世保市の男性(69)は「予約枠がなく長時間並ぶしかなかった。こうした行為は許せない」と憤った。同館のマリオ・バッターニ政府代表は18日、取材に対し、「万博の理念に反する行為だ。システム改修ができないか相談している」と述べ、対策を取る考えを明らかにした。
70か国・地域の料理が楽しめるくら寿司は連日、予約が取りづらい状況だ。同社によると、X(旧ツイッター)など複数のSNSで少なくとも数十件の予約枠が販売されているのが確認された。1000〜2000円で売られていたという。
同社は16日、会員規約に反する「禁止行為」だとして、予約サイトなどを通して注意喚起した。不正が発覚した場合、予約を取り消し、法的措置も検討するとしている。